2020.07.16
【Rising Star Athlete】
クレイ・アーロン竜波(相洋AC)
米国でさらなる進化を
参加標準突破を目指し、TOKYOへ
米国留学を控え、その胸中を語ったクレイ
男子800mで日本選手権優勝、インターハイ2連覇、高校記録樹立など、3年間で輝かしい実績を打ち立てて、この春に神奈川・相洋高を卒業したクレイ・アーロン竜波(相洋AC)。この秋からは米国・テキサスA&M大への進学が決まっており、日本中距離界の〝原石〟に注目は大きい。1年後の東京五輪に向け、米国でさらなる躍進を期す。
◎文/小野哲史
テキサスA&M大学へ進学
今秋から米国・テキサスA&M大学に進学するクレイ・アーロン竜波(相洋AC)。海外の大学に行きたいという思いは高2の頃からあったという。「陸上以外にも仕事でも何でもいいので、世界を回りたい、いろいろな文化を見てみたいと思っていました」。米国出身の父を持つというルーツも、〝海外〟をより身近に感じさせていたかもしれない。競技者としては、陸上大国への憧憬の念を深めていた。
「SNSなどでアメリカの試合を見ていると、ものすごくレベルが高かった。自分もああいうレベルが高いところで陸上をやってみたいと思いました」
テキサスA&M大に決めたのは、「全米学生選手権などで800mの実績があり、4×400mリレーも強かった」からだ。昨年のドーハ世界選手権の金メダリスト、ドノヴァン・ブレイジャー(米国)は同校出身。在学中の2016年には当時の全米学生記録である1分43秒55をマークした。また、マイルリレーは昨年、2分59秒05の全米学生記録を打ち立てた。
練習環境や、「どの選手に対しても気遣ってくれる」というコーチ陣も申し分なかった。ただ、そうした点以上に、テキサスA&M大がクレイの目に魅力的に映ったのは、チームの雰囲気だった。ブレイジャーがドーハで金メダルを手にした同時期に渡米して大学を見学したが、「中距離チームが練習している時の、みんなでがんばって切磋琢磨しているところが一番いいなぁと。楽しそうにしつつも、真剣に取り組んでいる姿が印象に残りました」。
とはいえ、米国の大学への進学は簡単なものではない。英会話は問題ないが、GPAという内申点のような成績評価値や、SAT(大学進学適性試験)で一定基準を満たす必要がある。クレイは早い段階から準備し、そうした難関を一つずつクリアしていった。
高校の枠を飛び出し、世界へ
高校3年間を「とても充実していた」とクレイは振り返る。800mで全中2位の実績を引っ提げて、2017年春に神奈川・相洋高に入学した。インターハイでは1年生で2位に入ると、2、3年と2連覇。2年の秋には高校新記録(1分47秒51)を樹立した。またマイルリレーや駅伝でも活躍するマルチな才能を見せ、1年時には日本陸連のダイヤモンドアスリートに認定された。
3年生だった昨季は、5月の世界リレー選手権で日本代表として、2×2×400mリレーの3位に貢献。翌月の日本選手権800mでは同種目史上初めて高校生で優勝を遂げた。タイムも日本歴代6位となる1分46秒59をマーク。自身の高校記録を1秒近く更新した。
昨年の日本選手権800mでは日本記録保持者の川元奨(スズキAC、右)に勝利し、1分46秒59のU20日本新を樹立した
高校アスリートとしては十分の実績。相洋高の銭谷満先生は、入学時から3年間の活躍は予兆できたとそうで、「高望みした練習プランを立てず、ちょっと抑えた内容にしていましたが、それでも試合になればしっかり走ってきました。また私が言わなくても、しっかり管理してきました」と評価する。
そして、目線は自然と世界へ向き、インターハイ後は高校の枠を飛び出し、ドーハ世界選手権を目指したクレイ。だが、牙城は厚かった。
※この続きは2020年7月14日発売の『月刊陸上競技8月号』をご覧ください。
定期購読はこちらから
クレイ・アーロン竜波(相洋AC) 米国でさらなる進化を 参加標準突破を目指し、TOKYOへ

テキサスA&M大学へ進学
今秋から米国・テキサスA&M大学に進学するクレイ・アーロン竜波(相洋AC)。海外の大学に行きたいという思いは高2の頃からあったという。「陸上以外にも仕事でも何でもいいので、世界を回りたい、いろいろな文化を見てみたいと思っていました」。米国出身の父を持つというルーツも、〝海外〟をより身近に感じさせていたかもしれない。競技者としては、陸上大国への憧憬の念を深めていた。 「SNSなどでアメリカの試合を見ていると、ものすごくレベルが高かった。自分もああいうレベルが高いところで陸上をやってみたいと思いました」 テキサスA&M大に決めたのは、「全米学生選手権などで800mの実績があり、4×400mリレーも強かった」からだ。昨年のドーハ世界選手権の金メダリスト、ドノヴァン・ブレイジャー(米国)は同校出身。在学中の2016年には当時の全米学生記録である1分43秒55をマークした。また、マイルリレーは昨年、2分59秒05の全米学生記録を打ち立てた。 練習環境や、「どの選手に対しても気遣ってくれる」というコーチ陣も申し分なかった。ただ、そうした点以上に、テキサスA&M大がクレイの目に魅力的に映ったのは、チームの雰囲気だった。ブレイジャーがドーハで金メダルを手にした同時期に渡米して大学を見学したが、「中距離チームが練習している時の、みんなでがんばって切磋琢磨しているところが一番いいなぁと。楽しそうにしつつも、真剣に取り組んでいる姿が印象に残りました」。 とはいえ、米国の大学への進学は簡単なものではない。英会話は問題ないが、GPAという内申点のような成績評価値や、SAT(大学進学適性試験)で一定基準を満たす必要がある。クレイは早い段階から準備し、そうした難関を一つずつクリアしていった。高校の枠を飛び出し、世界へ
高校3年間を「とても充実していた」とクレイは振り返る。800mで全中2位の実績を引っ提げて、2017年春に神奈川・相洋高に入学した。インターハイでは1年生で2位に入ると、2、3年と2連覇。2年の秋には高校新記録(1分47秒51)を樹立した。またマイルリレーや駅伝でも活躍するマルチな才能を見せ、1年時には日本陸連のダイヤモンドアスリートに認定された。 3年生だった昨季は、5月の世界リレー選手権で日本代表として、2×2×400mリレーの3位に貢献。翌月の日本選手権800mでは同種目史上初めて高校生で優勝を遂げた。タイムも日本歴代6位となる1分46秒59をマーク。自身の高校記録を1秒近く更新した。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.22
フランス発のランニング専門ブランド「KIPRUN」 いよいよ日本でも本格展開
-
2025.04.22
-
2025.04.22
2025.04.17
駅伝王者に復権した旭化成 選手たちがパフォーマンスを最大限に発揮できた要因とは?
-
2025.04.19
-
2025.04.17
-
2025.04.20
-
2025.04.16
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.04.01
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.22
フランス発のランニング専門ブランド「KIPRUN」 いよいよ日本でも本格展開
フランス発のランニング専門ブランド「KIPRUN」。2018年にその歴史が始まったが、瞬く間に世界中の話題を席巻した。2025年1月には千葉・幕張にもオフィシャルショップがオープンし、徐々に日本国内でもその名が知られるよ […]
2025.04.22
劇場長編アニメーション『ひゃくえむ。』 主演は松坂桃李さん&染谷将太さんに決定! 東京世界陸上開催中の9月19日から公開
人気漫画「チ。―地球の運動について―」で手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞するなど、注目を集める漫画家の魚豊さんの連載デビュー作「ひゃくえむ。」。その劇場版アニメの9月19日に公開されることが決まった。 また、物語に登場する […]
2025.04.22
コリルが2時間4分45秒でメジャーマラソン連勝!女子はロケディが2時間17分22秒の大会新V/ボストンマラソン
第129回ボストン・マラソンは4月21日に米国の当地で行われ、男子はジョン・コリル(ケニア)が大会歴代3位の2時間4分45秒で優勝した。女子でシャロン・ロケディ(ケニア)が2時間17分22秒の大会新で制した。 最初の5k […]
2025.04.22
Onが三浦龍司をアスリート契約締結「新しい競技人生のスタート」本職初戦で世界陸上「内定決めたい」
スイスのスポーツブランド「On(オン)」は4月22日、男子3000m障害で五輪2大会連続入賞の三浦龍司(SUBARU)とアスリート契約締結を発表した。同日、国立競技場で会見を開いた。 勢いに乗るスポーツメーカーと日本のエ […]
2025.04.22
愛知製鋼にケニア出身の24歳サイモン・ガサ・ムンガイが加入
愛知製鋼は4月22日、サイモン・ガサ・ムンガイが新たに加入したとチームのSNSで発表した。 ケニア・マウセカンダリ高出身の24歳。ケニアでは昨年12月のケニアクロスカントリーシリーズ第6戦の10kmシニア男子で5位(32 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)