HOME 国内、世界陸上、日本代表、五輪
日本陸連強化委員会が23年度の強化方針発表「パリ五輪見据えて」3つの国際大会活用
日本陸連強化委員会が23年度の強化方針発表「パリ五輪見据えて」3つの国際大会活用

会見に出席した山崎委員長と高岡シニアディレクター

日本陸連は4月6日、オンラインで会見を開き2023年度の強化方針を発表した。会見には強化委員会の山崎一彦強化委員長をはじめ、各ブロックのディレクターが出席。現状について報告した。

会見の前には強化委員会主催で、強化競技者と選任コーチ約250人に向けてカンファレンスを開いて情報を共有。山崎委員長は「東京五輪からの3年スパンは短く、来年のパリ五輪を射程圏に入れて戦っていく」とし、「東京五輪は1人でも多く出場者を出すことを目指したが、パリではもう一つステップアップして1人でも多く入賞、メダルが目標」と掲げる。加えて、「国際的な競争意識を持ち、世界で認められる競技者を育成・サポートしていき、結果を出していく」と方針を示す。

そのためには、「1大会だけではなく継続して結果を出せる選手」として、昨年の女子やり投・北口榛花(JAL)らのようにダイヤモンドリーグなどでシーズン通して活躍を続ける選手が多くなることに期待を寄せる。

今年の最大ターゲットは8月のブダペスト世界選手権となるが、7月にアジア選手権(タイ・バンコク)、秋にアジア大会(中国・杭州)と、「初めて3大会が同年開催」となる。これについては「パリ五輪に向けてという面では功を奏する。うまく活用して1人でも多く送り出したい」と述べた。各大会の日本代表については6月の日本選手権が一つの区切りとしつつ、その後は「各選手の戦略にもよって異なる。選手個人の判断」とし、「派遣について足切りはしない」と、資格を得た選手については積極的に派遣していく構え。

また、パリ五輪を見据えた活動として、「ブダペスト世界選手権の前にパリで事前キャンプをして候補地を精査していく」というプランを明かす。パリ五輪の代表選考要項については「日本選手権前には計画して青写真を描きたい」とした。

中長距離・マラソン担当の高岡寿成シニアディレクターは「オレゴン世界選手権では入賞ゼロだった。ブダペスト世界選手権ではパリ五輪を見据えてメダル獲得に向けて準備を進めていきたい」と話す。中長距離は参加標準記録がかなり高く設定されていることから、「ワールドランキングに反映されるロードやクロスカントリーへの出場も検討する必要がある。情報を集めていく」とした。

マラソンについてはすでにブダペスト世界選手権とアジア大会の代表は発表済み。パリ五輪代表は10月15日のマラソングランドチャピオンシップ(MGC)で決定するが、仮に参加標準記録(22年11月~24年4月:男子2時間8分10秒、女子2時間26分50秒)を突破していない選手が上位2人に入っても内定可能と世界陸連(WA)から言質を取っている。3枠目が決まる「MGCファイナルチャレンジ」の派遣設定記録については「協議を始めており、決まり次第報告する」とした。

広告の下にコンテンツが続きます

近年の国体大会でメダルを獲得している競歩について今村文男シニアディレクターは「男子の20kmはメダル、入賞に到達できる期待感がある」とし、女子についても「戦略的、フィジカル面の取り組みをしているので期待したい」と語る。一方、パリ五輪の35kmについて、混合レースとなることが決まっていたが男女1人ずつが42.195kmをリレーする案が出ているなど情報が錯綜。「どう判断されるかわからず、現場も戸惑っている」と今村ディレクター。「20kmの延長にある、という方向で強化を進めていく」と話した。

男子4×100mリレーの強化について、土江寛裕ディレクターは「東京五輪までは金メダルを目指して個人を犠牲にする部分もあったが、まずは個人で戦えた上でリレーを戦うという位置づけに変えた」。オレゴン世界選手権では失格に終わったが、「新しいメンバーで、これまでの経験を縦につないでいけなかったのは反省」と振り返る。まだブダペスト世界選手権の出場資格を持たないため、アジア選手権後のダイヤモンドリーグで記録を狙って出場権獲得を目指す。

ブダペストで4位となった男子4×400mリレーについては出場権を獲得済み。「いい流れができているので、メダルを現実的な目標としていく」。女子両リレー、男女混合4×400mリレーは「いい方向に来ているが、男子4継同様にまずは個人で強化して(国際大会に)出場するのが目標。その中でリレーのチャンスを考えていく」と言う。パリ五輪は来年5月の世界リレーが選考会となる。世界リレーへの出場を決めるためにも「今年の記録が大事になる」とした。

パリ五輪に向けて重要な1年となる今シーズン。パリ五輪までを見据え、チーム・・ジャパン一丸となってシーズンを戦い抜く。

日本陸連は4月6日、オンラインで会見を開き2023年度の強化方針を発表した。会見には強化委員会の山崎一彦強化委員長をはじめ、各ブロックのディレクターが出席。現状について報告した。 会見の前には強化委員会主催で、強化競技者と選任コーチ約250人に向けてカンファレンスを開いて情報を共有。山崎委員長は「東京五輪からの3年スパンは短く、来年のパリ五輪を射程圏に入れて戦っていく」とし、「東京五輪は1人でも多く出場者を出すことを目指したが、パリではもう一つステップアップして1人でも多く入賞、メダルが目標」と掲げる。加えて、「国際的な競争意識を持ち、世界で認められる競技者を育成・サポートしていき、結果を出していく」と方針を示す。 そのためには、「1大会だけではなく継続して結果を出せる選手」として、昨年の女子やり投・北口榛花(JAL)らのようにダイヤモンドリーグなどでシーズン通して活躍を続ける選手が多くなることに期待を寄せる。 今年の最大ターゲットは8月のブダペスト世界選手権となるが、7月にアジア選手権(タイ・バンコク)、秋にアジア大会(中国・杭州)と、「初めて3大会が同年開催」となる。これについては「パリ五輪に向けてという面では功を奏する。うまく活用して1人でも多く送り出したい」と述べた。各大会の日本代表については6月の日本選手権が一つの区切りとしつつ、その後は「各選手の戦略にもよって異なる。選手個人の判断」とし、「派遣について足切りはしない」と、資格を得た選手については積極的に派遣していく構え。 また、パリ五輪を見据えた活動として、「ブダペスト世界選手権の前にパリで事前キャンプをして候補地を精査していく」というプランを明かす。パリ五輪の代表選考要項については「日本選手権前には計画して青写真を描きたい」とした。 中長距離・マラソン担当の高岡寿成シニアディレクターは「オレゴン世界選手権では入賞ゼロだった。ブダペスト世界選手権ではパリ五輪を見据えてメダル獲得に向けて準備を進めていきたい」と話す。中長距離は参加標準記録がかなり高く設定されていることから、「ワールドランキングに反映されるロードやクロスカントリーへの出場も検討する必要がある。情報を集めていく」とした。 マラソンについてはすでにブダペスト世界選手権とアジア大会の代表は発表済み。パリ五輪代表は10月15日のマラソングランドチャピオンシップ(MGC)で決定するが、仮に参加標準記録(22年11月~24年4月:男子2時間8分10秒、女子2時間26分50秒)を突破していない選手が上位2人に入っても内定可能と世界陸連(WA)から言質を取っている。3枠目が決まる「MGCファイナルチャレンジ」の派遣設定記録については「協議を始めており、決まり次第報告する」とした。 近年の国体大会でメダルを獲得している競歩について今村文男シニアディレクターは「男子の20kmはメダル、入賞に到達できる期待感がある」とし、女子についても「戦略的、フィジカル面の取り組みをしているので期待したい」と語る。一方、パリ五輪の35kmについて、混合レースとなることが決まっていたが男女1人ずつが42.195kmをリレーする案が出ているなど情報が錯綜。「どう判断されるかわからず、現場も戸惑っている」と今村ディレクター。「20kmの延長にある、という方向で強化を進めていく」と話した。 男子4×100mリレーの強化について、土江寛裕ディレクターは「東京五輪までは金メダルを目指して個人を犠牲にする部分もあったが、まずは個人で戦えた上でリレーを戦うという位置づけに変えた」。オレゴン世界選手権では失格に終わったが、「新しいメンバーで、これまでの経験を縦につないでいけなかったのは反省」と振り返る。まだブダペスト世界選手権の出場資格を持たないため、アジア選手権後のダイヤモンドリーグで記録を狙って出場権獲得を目指す。 ブダペストで4位となった男子4×400mリレーについては出場権を獲得済み。「いい流れができているので、メダルを現実的な目標としていく」。女子両リレー、男女混合4×400mリレーは「いい方向に来ているが、男子4継同様にまずは個人で強化して(国際大会に)出場するのが目標。その中でリレーのチャンスを考えていく」と言う。パリ五輪は来年5月の世界リレーが選考会となる。世界リレーへの出場を決めるためにも「今年の記録が大事になる」とした。 パリ五輪に向けて重要な1年となる今シーズン。パリ五輪までを見据え、チーム・・ジャパン一丸となってシーズンを戦い抜く。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.01.18

選抜女子駅伝オーダー発表 積水化学は1区松本明莉、パナソニック5区森田香織 高校3連覇狙う神村学園は5区瀬戸口凜

第36回選抜女子駅伝北九州大会(1月19日/福岡・北九州市の小倉城歴史の道発着)前日の1月18日、各チームのオーダーが発表された。 一般の部(5区間27.2km)は実業団チームと地元・北九州市一般選抜を含めた10チームが […]

NEWS 都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔

2025.01.18

都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝前日の1月18日、オーダーリストが発表された。 エントリーされていた2人の日本記 […]

NEWS 西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

2025.01.17

西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]

NEWS 編集部コラム「年末年始の風物詩」

2025.01.17

編集部コラム「年末年始の風物詩」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS 中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

2025.01.17

中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年2月号 (1月14日発売)

2025年2月号 (1月14日発売)

駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝

page top