HOME 学生長距離

2023.04.05

米国遠征の立教大 上野裕一郎監督「やってきたこと間違っていない」関口、國安はチームへの還元誓う

米国遠征を経て高まった意識

「PUMA ELITE RUNNING TEAM」でのトレーニングの様子(提供/プーマ ジャパン)

3人は31日に帰国。「こちらで経験したように、練習の質を求めていき、監督の出すメニューに自分で追加していきたい。それに多くのチームメイトが感化されればいいですし、熱を伝播させていければと思います」と関口。國安は「新しい経験ができました。僕は言葉で引っ張るタイプではないので、行動、練習でチームに伝えられればと思います」と話す。

個人ではいずれも各種目の立教大記録(5000m13分49秒74、10000m28分29秒24、ハーフ1時間2分45秒)の更新を目標としていく。

「1回の遠征で力がついた、とは言えません」と上野監督。しかし、「この経験がいつか花開く」。今回の2人は「現在一番力のある選手(関口)と、将来のエース候補(國安)」と期待を寄せる。米国での「テンション」によって故障のリスクや、チームメイトとギャップが生まれることのないように意識しつつも「身体で表していってほしい」と、2人の成長とともに帰国後のチーム力アップをもくろむ。

チームは100回大会となる箱根駅伝の出場はもちろん、「今年は全日本大学駅伝への初出場を目指しています」と上野監督。「前回は出られる力があるなかで出られなかった。ここを逃すようだと、『昨年と同じ』というイメージがつきます。箱根予選会で余裕を持って通過するためにも、全日本が転機になると思っています」と言い、「底力はついているので、トラック強化2年目として今年も5000mのタイムをしっかり上げていき、トラック・駅伝としっかり考えて強化していきます」とプランを明かした。

帰国後、なんと中1日で東京六大学対校陸上の1500mでペースメーカーを務めた上野監督。「一緒に走ることで、終わった後に同じ目線で話せるのも大きいです。学生たちも頑張ってくれているので、身体が動く範囲で続けていきます」と笑顔を見せる。

広告の下にコンテンツが続きます

指揮官、そしてエース格2人の米国滞在は、立教大の勢いをさらに加速していく起爆剤となりそうだ。

文/向永拓史

[caption id="attachment_97399" align="alignnone" width="800"] 米国遠征を行った立教大の上野裕一郎監督と関口絢太、國安広人。充実したトレーニングとなった(提供/プーマ ジャパン)[/caption] 今年の箱根駅伝に55年ぶりの出場を果たした立教大の上野裕一郎男子駅伝監督と、関口絢太(新4年)、國安広人(新2年)の3人が米国ノースカロライナ州へ遠征を行った。今回、現地滞在中にリモート取材でその様子を聞いた。 遠征はパートナーシップ契約を結ぶプーマとの連携、サポートで実現したもので、プーマ契約アスリートを中心に世界のトップランナーが集う「PUMA ELITE RUNNING TEAM」の練習に参加。南アフリカ出身で元アイルランド代表のアリステア・クラッグ氏と、2012、16年五輪米国代表で17年ロンドン世界選手権マラソン銅メダルのエイミー・クラッグ氏がコーチを務めている。 日本を3月18日に発った3人。時差ボケの残るなか、現地21日が練習初日で23日にはレースに出場した。上野監督が13分52秒59をマーク。別組だった関口は14分19秒91、國安は14分43秒73だった。その後、本格的に練習参加。強度の高いポイント練習も3回ほど行ったという。 「時差ボケでレースに出場するなど経験になったと思います」と上野監督。一方、選手たちは「監督はどんな状況でも13分台を安定して出す」と脱帽していた。 世界大会に出場するトップ選手たちが集まるとあって、「質が高い」と関口。特にスピード面での違いを感じ、「例えば400mを10本走る練習でも、60秒くらいまでペースが上がることもあるそうです」と言う。一方で、國安は「練習の流れは似ていて、ポイント練習をした次の日にロングランを入れるなど、やっていることは一緒なのかなと思いました」とも。洗練されたフォームのトップ選手と一緒に走ることで「同じペースでも余裕を持って速いペースで走れました」と収穫は大きかった。関口も「練習量や距離などはさほど変わらないと知ることができました」と話す。 それについて上野監督は、「僕が(現役時代から)やってきたことが海外に近い部分もありました。ただ、ポイント練習の翌日のロングジョグでもダラダラしたジョグはしないし、必ず後半にペースを上げるなど質が高いです」と分析する。そうしたことも踏まえて、「やっていることは間違っていないと僕も感じることができましたし、それを2人もわかってくれれば。うまく取り入れていきたいです」と言う。 関口は人生初の海外。「実は少し食事が合わなくて最初のほうはおなかを壊しました」とエピソードも。國安も「レースでは体格の違いを感じました」と、海外ならではの状況も大きな経験となった。

米国遠征を経て高まった意識

[caption id="attachment_97404" align="alignnone" width="800"] 「PUMA ELITE RUNNING TEAM」でのトレーニングの様子(提供/プーマ ジャパン)[/caption] 3人は31日に帰国。「こちらで経験したように、練習の質を求めていき、監督の出すメニューに自分で追加していきたい。それに多くのチームメイトが感化されればいいですし、熱を伝播させていければと思います」と関口。國安は「新しい経験ができました。僕は言葉で引っ張るタイプではないので、行動、練習でチームに伝えられればと思います」と話す。 個人ではいずれも各種目の立教大記録(5000m13分49秒74、10000m28分29秒24、ハーフ1時間2分45秒)の更新を目標としていく。 「1回の遠征で力がついた、とは言えません」と上野監督。しかし、「この経験がいつか花開く」。今回の2人は「現在一番力のある選手(関口)と、将来のエース候補(國安)」と期待を寄せる。米国での「テンション」によって故障のリスクや、チームメイトとギャップが生まれることのないように意識しつつも「身体で表していってほしい」と、2人の成長とともに帰国後のチーム力アップをもくろむ。 チームは100回大会となる箱根駅伝の出場はもちろん、「今年は全日本大学駅伝への初出場を目指しています」と上野監督。「前回は出られる力があるなかで出られなかった。ここを逃すようだと、『昨年と同じ』というイメージがつきます。箱根予選会で余裕を持って通過するためにも、全日本が転機になると思っています」と言い、「底力はついているので、トラック強化2年目として今年も5000mのタイムをしっかり上げていき、トラック・駅伝としっかり考えて強化していきます」とプランを明かした。 帰国後、なんと中1日で東京六大学対校陸上の1500mでペースメーカーを務めた上野監督。「一緒に走ることで、終わった後に同じ目線で話せるのも大きいです。学生たちも頑張ってくれているので、身体が動く範囲で続けていきます」と笑顔を見せる。 指揮官、そしてエース格2人の米国滞在は、立教大の勢いをさらに加速していく起爆剤となりそうだ。 文/向永拓史

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

NEWS コリルが2時間4分45秒でメジャーマラソン連勝!女子はロケディが2時間17分22秒の大会新V/ボストンマラソン

2025.04.22

コリルが2時間4分45秒でメジャーマラソン連勝!女子はロケディが2時間17分22秒の大会新V/ボストンマラソン

第129回ボストン・マラソンは4月21日に米国の当地で行われ、男子はジョン・コリル(ケニア)が大会歴代3位の2時間4分45秒で優勝した。女子でシャロン・ロケディ(ケニア)が2時間17分22秒の大会新で制した。 最初の5k […]

NEWS Onが三浦龍司をアスリート契約締結「新しい競技人生のスタート」本職初戦で世界陸上「内定決めたい」

2025.04.22

Onが三浦龍司をアスリート契約締結「新しい競技人生のスタート」本職初戦で世界陸上「内定決めたい」

スイスのスポーツブランド「On(オン)」は4月22日、男子3000m障害で五輪2大会連続入賞の三浦龍司(SUBARU)とアスリート契約締結を発表した。同日、国立競技場で会見を開いた。 勢いに乗るスポーツメーカーと日本のエ […]

NEWS 愛知製鋼にケニア出身の24歳サイモン・ガサ・ムンガイが加入

2025.04.22

愛知製鋼にケニア出身の24歳サイモン・ガサ・ムンガイが加入

愛知製鋼は4月22日、サイモン・ガサ・ムンガイが新たに加入したとチームのSNSで発表した。 ケニア・マウセカンダリ高出身の24歳。ケニアでは昨年12月のケニアクロスカントリーシリーズ第6戦の10kmシニア男子で5位(32 […]

NEWS 東京世界陸上が朝日新聞社とスポンサー契約締結 報道、スポーツ支援の実績で貢献目指す

2025.04.22

東京世界陸上が朝日新聞社とスポンサー契約締結 報道、スポーツ支援の実績で貢献目指す

公益財団法人東京2025世界陸上財団は4月22日、朝日新聞社とスポンサー契約を締結したことを発表した。 朝日新聞社は1879年1月25日に創刊。以来、全国紙として国内外のさまざまなニュース、情報を発信してきたほか、スポー […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top