2023.04.05
今年の箱根駅伝に55年ぶりの出場を果たした立教大の上野裕一郎男子駅伝監督と、関口絢太(新4年)、國安広人(新2年)の3人が米国ノースカロライナ州へ遠征を行った。今回、現地滞在中にリモート取材でその様子を聞いた。
遠征はパートナーシップ契約を結ぶプーマとの連携、サポートで実現したもので、プーマ契約アスリートを中心に世界のトップランナーが集う「PUMA ELITE RUNNING TEAM」の練習に参加。南アフリカ出身で元アイルランド代表のアリステア・クラッグ氏と、2012、16年五輪米国代表で17年ロンドン世界選手権マラソン銅メダルのエイミー・クラッグ氏がコーチを務めている。
日本を3月18日に発った3人。時差ボケの残るなか、現地21日が練習初日で23日にはレースに出場した。上野監督が13分52秒59をマーク。別組だった関口は14分19秒91、國安は14分43秒73だった。その後、本格的に練習参加。強度の高いポイント練習も3回ほど行ったという。
「時差ボケでレースに出場するなど経験になったと思います」と上野監督。一方、選手たちは「監督はどんな状況でも13分台を安定して出す」と脱帽していた。
世界大会に出場するトップ選手たちが集まるとあって、「質が高い」と関口。特にスピード面での違いを感じ、「例えば400mを10本走る練習でも、60秒くらいまでペースが上がることもあるそうです」と言う。一方で、國安は「練習の流れは似ていて、ポイント練習をした次の日にロングランを入れるなど、やっていることは一緒なのかなと思いました」とも。洗練されたフォームのトップ選手と一緒に走ることで「同じペースでも余裕を持って速いペースで走れました」と収穫は大きかった。関口も「練習量や距離などはさほど変わらないと知ることができました」と話す。
それについて上野監督は、「僕が(現役時代から)やってきたことが海外に近い部分もありました。ただ、ポイント練習の翌日のロングジョグでもダラダラしたジョグはしないし、必ず後半にペースを上げるなど質が高いです」と分析する。そうしたことも踏まえて、「やっていることは間違っていないと僕も感じることができましたし、それを2人もわかってくれれば。うまく取り入れていきたいです」と言う。
関口は人生初の海外。「実は少し食事が合わなくて最初のほうはおなかを壊しました」とエピソードも。國安も「レースでは体格の違いを感じました」と、海外ならではの状況も大きな経験となった。
米国遠征を経て高まった意識
[caption id="attachment_97404" align="alignnone" width="800"] 「PUMA ELITE RUNNING TEAM」でのトレーニングの様子(提供/プーマ ジャパン)[/caption] 3人は31日に帰国。「こちらで経験したように、練習の質を求めていき、監督の出すメニューに自分で追加していきたい。それに多くのチームメイトが感化されればいいですし、熱を伝播させていければと思います」と関口。國安は「新しい経験ができました。僕は言葉で引っ張るタイプではないので、行動、練習でチームに伝えられればと思います」と話す。 個人ではいずれも各種目の立教大記録(5000m13分49秒74、10000m28分29秒24、ハーフ1時間2分45秒)の更新を目標としていく。 「1回の遠征で力がついた、とは言えません」と上野監督。しかし、「この経験がいつか花開く」。今回の2人は「現在一番力のある選手(関口)と、将来のエース候補(國安)」と期待を寄せる。米国での「テンション」によって故障のリスクや、チームメイトとギャップが生まれることのないように意識しつつも「身体で表していってほしい」と、2人の成長とともに帰国後のチーム力アップをもくろむ。 チームは100回大会となる箱根駅伝の出場はもちろん、「今年は全日本大学駅伝への初出場を目指しています」と上野監督。「前回は出られる力があるなかで出られなかった。ここを逃すようだと、『昨年と同じ』というイメージがつきます。箱根予選会で余裕を持って通過するためにも、全日本が転機になると思っています」と言い、「底力はついているので、トラック強化2年目として今年も5000mのタイムをしっかり上げていき、トラック・駅伝としっかり考えて強化していきます」とプランを明かした。 帰国後、なんと中1日で東京六大学対校陸上の1500mでペースメーカーを務めた上野監督。「一緒に走ることで、終わった後に同じ目線で話せるのも大きいです。学生たちも頑張ってくれているので、身体が動く範囲で続けていきます」と笑顔を見せる。 指揮官、そしてエース格2人の米国滞在は、立教大の勢いをさらに加速していく起爆剤となりそうだ。 文/向永拓史
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.17
不破聖衣来が香港で10kmレースに出場 9位でフィニッシュ
-
2024.11.16
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.16
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会