2023.03.31
10年ぶり70回目の箱根駅伝復帰がターゲット
2区を駆け抜けて「幸せを感じた」と言う並木だが、レース後、左アキレス腱に痛みが発生。長期離脱することになる。
「早く復帰しないといけない」という焦りもあり、「少し良くなって、走り出したら、また痛みが出る」の繰り返し。左アキレス腱の完治は9月半ばまでズレこんだ。
箱根予選会はどうにかスタートラインに立ったが、調整不足は明らかだった。高槻が個人12位(1時間2分46秒)に食い込むも、並木は同104位(1時間4分43秒)と力を発揮できず、チームは総合17位に終わった。
「自分が万全な状態で迎えられれば、こんな結果ではなかった。自分を何度も責めました」と並木。悔しさをエネルギーに変えると、12月の日体大長距離競技会10000mで快走する。高槻(28分11秒99)とともに、28分16秒30の自己ベストを叩き出したのだ。
卒業生を除き、チーム内に10000m28分20秒切りの選手が複数在籍しているのは駒大、中大、東農大のみだ。並木は高槻について「よく2人で練習していますし、高槻と走る時は毎回タイムも出るので意識する存在です」と語る。
学生ハーフでも奮起した並木はラストイヤーに懸けている。東農大は昨年の箱根予選会でチーム内10位に入った選手が8人残っており、4月には昨年のインターハイ5000mで日本人トップ(4位)に輝いた前田和摩(兵庫・報徳学園高卒)が入学。戦力を考えると、近年で最も充実している。
「自分たちの代はチームを良い方向に変えようと、試行錯誤してきました。なんとしても箱根駅伝に出たい。前田は寮で同部屋なんですけど、『予選会日本人トップを狙いにいきます』と言っているくらいで、とんでもないのが入ってきた感じです。当然、先輩としては負けられません。自分の目標は他校のエースと互角に戦える強さを身につけること。4年生になりますし、エースの意地を見せたいです」
10年ぶり70回目の箱根駅伝出場へ。並木の激走がチームに火をつける。
◎なみき・ねお/2001年12月7日生まれ。神奈川県横浜市出身。六ツ川中→東京・東京実高→東農大。自己記録5000m14分12秒73、10000m28分16秒30、ハーフマラソン1時間2分48秒。同期の高槻芳照とともに1年時からチームの主力として牽引。箱根駅伝では2年時に関東学生連合チームの2区で出走(区間13位相当)。3年生シーズンはケガに苦しんだものの、今年3月の日本学生ハーフで4位と好走した。
文/酒井政人
学生ハーフで好走
3月12日の日本学生ハーフマラソンで積極的な走りを見せ、4位と健闘したのが並木寧音(東農大3)だ。日本人学生最高記録(1時間0分11秒)を持つ篠原倖太朗(駒大)が15km付近で放ったスパートにも反応。「最後まで持たないかなと思いましたが、思い切って行きました」と攻め続けた。 終盤は力が残っておらず、吉田礼志(中央学大2)、松永伶(法大3)に逆転を許して1時間2分48秒でフィニッシュ。3位までが内定となるワールドユニバーシティゲームズ(中国・成都/8月開催)代表をあと一歩で逃したが、「(10月の)箱根駅伝予選会につなげる走りはできたかなと思います」と自身の走りに胸を張った。 「チームのために走りたい」という気持ちが強い並木にとっては、箱根駅伝予選会は絶対に負けられない戦いだ。 「最上級生で箱根駅伝の第100回大会を迎えます。予選会を突破できれば、10年ぶり70回目の出場になるので、何としても決めたいです!」 古豪・東農大を牽引してきた並木は最後のチャンスに燃えている。 次ページ 1年時から東農大の主力に1年時から東農大の主力に
並木は友人に誘われたことで、神奈川・六ツ川中学で陸上部に入部。中学時代は3年時の神奈川県通信大会3000m7位が最高成績だった。 東京・東京実高に進学すると、5000mは14分29秒71まで記録を短縮する。高校時代は3年時2月の青梅マラソンで高校10kmの部を制したのが一番の思い出だという。 「前年に1学年上のチームメイトである下條乃將さんが優勝しており、自分が勝てば2連覇になるので意識していました。ただ高校時代は貧血に悩まされていたので、万全な状態でレースを迎えることのほうが少なかったですね」 高校時代、駅伝では全国行きのチャンスを逃してきた。2年時(2018年)の東京都高校駅伝で2位。駒大高に39秒差で敗れている。3区・並木が5秒遅れでタスキを受け取ったものの、追いつくことができず、逆にリードを12秒差まで広げられた。 「駒大高の背中が見えていて、あと少しで届くところだったんです。もし自分が先頭に立っていれば、都大路のチャンスがあったかもしれません」 [caption id="attachment_96695" align="alignnone" width="800"]
2年時に関東学生連合の一員として箱根駅伝に出走
2021年は3月の日本学生ハーフ(75位/1時間6分42秒)と2年生になった5月の関東インカレ(2部ハーフ37位/1時間6分03秒)で思うような結果を出せず。この結果を受け、並木はチームの練習以外に、「月に2回ほど外部のパーソナルトレーナーとマンツーマンのトレーニングを取り入れるようになりました」という。 その成果もあり、2年時の箱根予選会は前年の個人47位から同28位(1時間3分17秒)にアップ。高槻(14位/1時間2分52秒)には負けたが、関東学生連合チームに選ばれた。 勢いに乗る並木は関東学生連合の区間選考会にもなっていた11月中旬の日体大長距離競技会10000mで28分20秒49をマーク。高槻(28分22秒69)にも先着した。 「28分40秒くらいは出したいなと考えていた」という中で、5000mを14分03秒で通過。「高槻に負けられない」という攻めの気持ちが功を奏した。 箱根駅伝は希望していた“花の2区”を勝ち取ると、1時間8分16秒で走破。区間13位相当(オープン参加)の好走を見せた。 [caption id="attachment_96692" align="alignnone" width="800"]
10年ぶり70回目の箱根駅伝復帰がターゲット
2区を駆け抜けて「幸せを感じた」と言う並木だが、レース後、左アキレス腱に痛みが発生。長期離脱することになる。 「早く復帰しないといけない」という焦りもあり、「少し良くなって、走り出したら、また痛みが出る」の繰り返し。左アキレス腱の完治は9月半ばまでズレこんだ。 箱根予選会はどうにかスタートラインに立ったが、調整不足は明らかだった。高槻が個人12位(1時間2分46秒)に食い込むも、並木は同104位(1時間4分43秒)と力を発揮できず、チームは総合17位に終わった。 「自分が万全な状態で迎えられれば、こんな結果ではなかった。自分を何度も責めました」と並木。悔しさをエネルギーに変えると、12月の日体大長距離競技会10000mで快走する。高槻(28分11秒99)とともに、28分16秒30の自己ベストを叩き出したのだ。 卒業生を除き、チーム内に10000m28分20秒切りの選手が複数在籍しているのは駒大、中大、東農大のみだ。並木は高槻について「よく2人で練習していますし、高槻と走る時は毎回タイムも出るので意識する存在です」と語る。 学生ハーフでも奮起した並木はラストイヤーに懸けている。東農大は昨年の箱根予選会でチーム内10位に入った選手が8人残っており、4月には昨年のインターハイ5000mで日本人トップ(4位)に輝いた前田和摩(兵庫・報徳学園高卒)が入学。戦力を考えると、近年で最も充実している。 「自分たちの代はチームを良い方向に変えようと、試行錯誤してきました。なんとしても箱根駅伝に出たい。前田は寮で同部屋なんですけど、『予選会日本人トップを狙いにいきます』と言っているくらいで、とんでもないのが入ってきた感じです。当然、先輩としては負けられません。自分の目標は他校のエースと互角に戦える強さを身につけること。4年生になりますし、エースの意地を見せたいです」 10年ぶり70回目の箱根駅伝出場へ。並木の激走がチームに火をつける。
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