2023.03.31
1年時から東農大の主力に
並木は友人に誘われたことで、神奈川・六ツ川中学で陸上部に入部。中学時代は3年時の神奈川県通信大会3000m7位が最高成績だった。
東京・東京実高に進学すると、5000mは14分29秒71まで記録を短縮する。高校時代は3年時2月の青梅マラソンで高校10kmの部を制したのが一番の思い出だという。
「前年に1学年上のチームメイトである下條乃將さんが優勝しており、自分が勝てば2連覇になるので意識していました。ただ高校時代は貧血に悩まされていたので、万全な状態でレースを迎えることのほうが少なかったですね」
高校時代、駅伝では全国行きのチャンスを逃してきた。2年時(2018年)の東京都高校駅伝で2位。駒大高に39秒差で敗れている。3区・並木が5秒遅れでタスキを受け取ったものの、追いつくことができず、逆にリードを12秒差まで広げられた。
「駒大高の背中が見えていて、あと少しで届くところだったんです。もし自分が先頭に立っていれば、都大路のチャンスがあったかもしれません」

東京実高時代は3年間全国大会には進めず。写真は2年時の関東高校駅伝(4区)
高校卒業後は「最初に勧誘を受けた」という東農大へ。「2014年を最後に箱根駅伝に出ていませんが、まだ自分がそこまで結果を残していない時から声をかけていただきましたし、強化を進めているのが伝わってきたんです」と、入学理由を明かす。
東農大は並木が高校3年時に小指徹監督が就任。同学年には学法石川高の全国高校駅伝5位メンバーである高槻芳照と長谷部慎が入部するなど“古豪復活”への機運が高まっていた。
希望を胸に抱いて入学したが、1年時はコロナ禍で7月まで寮が閉鎖。各自が地元で練習を重ねた。夏から合同練習が再開すると、並木は1年生ながら高槻とともにチームの主軸となった。
10月の箱根予選会は高槻が個人34位(1時間2分35秒)、並木が同47位(1時間2分48秒)に入り、チーム内で1年生がワン・ツーを占めた。
「自分と高槻と4年生の櫻井亮也さんがタイムを稼ぐ役。15kmから高槻がペースを上げましたが、自分はうまく反応できず、終盤は必死でした。それでも目標タイムが(1時間)3分台だったので、個人としては100%近くの結果を出せたと思います。ただ、予選会の突破は甘くないことがわかりました」
チームは総合17位と苦戦。高槻が1年生ながら関東学生連合チームに選出され、箱根駅伝本戦では8区に出走した。
学生ハーフで好走
3月12日の日本学生ハーフマラソンで積極的な走りを見せ、4位と健闘したのが並木寧音(東農大3)だ。日本人学生最高記録(1時間0分11秒)を持つ篠原倖太朗(駒大)が15km付近で放ったスパートにも反応。「最後まで持たないかなと思いましたが、思い切って行きました」と攻め続けた。 終盤は力が残っておらず、吉田礼志(中央学大2)、松永伶(法大3)に逆転を許して1時間2分48秒でフィニッシュ。3位までが内定となるワールドユニバーシティゲームズ(中国・成都/8月開催)代表をあと一歩で逃したが、「(10月の)箱根駅伝予選会につなげる走りはできたかなと思います」と自身の走りに胸を張った。 「チームのために走りたい」という気持ちが強い並木にとっては、箱根駅伝予選会は絶対に負けられない戦いだ。 「最上級生で箱根駅伝の第100回大会を迎えます。予選会を突破できれば、10年ぶり70回目の出場になるので、何としても決めたいです!」 古豪・東農大を牽引してきた並木は最後のチャンスに燃えている。 次ページ 1年時から東農大の主力に1年時から東農大の主力に
並木は友人に誘われたことで、神奈川・六ツ川中学で陸上部に入部。中学時代は3年時の神奈川県通信大会3000m7位が最高成績だった。 東京・東京実高に進学すると、5000mは14分29秒71まで記録を短縮する。高校時代は3年時2月の青梅マラソンで高校10kmの部を制したのが一番の思い出だという。 「前年に1学年上のチームメイトである下條乃將さんが優勝しており、自分が勝てば2連覇になるので意識していました。ただ高校時代は貧血に悩まされていたので、万全な状態でレースを迎えることのほうが少なかったですね」 高校時代、駅伝では全国行きのチャンスを逃してきた。2年時(2018年)の東京都高校駅伝で2位。駒大高に39秒差で敗れている。3区・並木が5秒遅れでタスキを受け取ったものの、追いつくことができず、逆にリードを12秒差まで広げられた。 「駒大高の背中が見えていて、あと少しで届くところだったんです。もし自分が先頭に立っていれば、都大路のチャンスがあったかもしれません」 [caption id="attachment_96695" align="alignnone" width="800"]
2年時に関東学生連合の一員として箱根駅伝に出走
2021年は3月の日本学生ハーフ(75位/1時間6分42秒)と2年生になった5月の関東インカレ(2部ハーフ37位/1時間6分03秒)で思うような結果を出せず。この結果を受け、並木はチームの練習以外に、「月に2回ほど外部のパーソナルトレーナーとマンツーマンのトレーニングを取り入れるようになりました」という。 その成果もあり、2年時の箱根予選会は前年の個人47位から同28位(1時間3分17秒)にアップ。高槻(14位/1時間2分52秒)には負けたが、関東学生連合チームに選ばれた。 勢いに乗る並木は関東学生連合の区間選考会にもなっていた11月中旬の日体大長距離競技会10000mで28分20秒49をマーク。高槻(28分22秒69)にも先着した。 「28分40秒くらいは出したいなと考えていた」という中で、5000mを14分03秒で通過。「高槻に負けられない」という攻めの気持ちが功を奏した。 箱根駅伝は希望していた“花の2区”を勝ち取ると、1時間8分16秒で走破。区間13位相当(オープン参加)の好走を見せた。 [caption id="attachment_96692" align="alignnone" width="800"]
10年ぶり70回目の箱根駅伝復帰がターゲット
2区を駆け抜けて「幸せを感じた」と言う並木だが、レース後、左アキレス腱に痛みが発生。長期離脱することになる。 「早く復帰しないといけない」という焦りもあり、「少し良くなって、走り出したら、また痛みが出る」の繰り返し。左アキレス腱の完治は9月半ばまでズレこんだ。 箱根予選会はどうにかスタートラインに立ったが、調整不足は明らかだった。高槻が個人12位(1時間2分46秒)に食い込むも、並木は同104位(1時間4分43秒)と力を発揮できず、チームは総合17位に終わった。 「自分が万全な状態で迎えられれば、こんな結果ではなかった。自分を何度も責めました」と並木。悔しさをエネルギーに変えると、12月の日体大長距離競技会10000mで快走する。高槻(28分11秒99)とともに、28分16秒30の自己ベストを叩き出したのだ。 卒業生を除き、チーム内に10000m28分20秒切りの選手が複数在籍しているのは駒大、中大、東農大のみだ。並木は高槻について「よく2人で練習していますし、高槻と走る時は毎回タイムも出るので意識する存在です」と語る。 学生ハーフでも奮起した並木はラストイヤーに懸けている。東農大は昨年の箱根予選会でチーム内10位に入った選手が8人残っており、4月には昨年のインターハイ5000mで日本人トップ(4位)に輝いた前田和摩(兵庫・報徳学園高卒)が入学。戦力を考えると、近年で最も充実している。 「自分たちの代はチームを良い方向に変えようと、試行錯誤してきました。なんとしても箱根駅伝に出たい。前田は寮で同部屋なんですけど、『予選会日本人トップを狙いにいきます』と言っているくらいで、とんでもないのが入ってきた感じです。当然、先輩としては負けられません。自分の目標は他校のエースと互角に戦える強さを身につけること。4年生になりますし、エースの意地を見せたいです」 10年ぶり70回目の箱根駅伝出場へ。並木の激走がチームに火をつける。
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