2023.03.29
ナミビアのスポーツ大臣のA.ジョンガレロ氏が、先日発表された世界陸連(WA)の新規則について懸念を示していることが現地メディアで報じられている。
WAは先日トランスジェンダー・DSD(性の発達が先天的に非定型的である状態)に関する新規則を決定。来月からは、2年間以上、テストステロン値を制限値以下にすることが求められるようになった。
同国の女子短距離選手のC.ムボマとB.マシリンギは、先天的にテストステロン値が通常よりも高く、性分化疾患と診断を受けている。そのため、DSD選手として一部の種目への出場を制限されてきた。
新規則ではテストステロン値の規定が全種目に適用され、暫定措置がとられることになっている。半年間で基準以下に抑制することが求められており、今年8月に行われるブダペスト世界選手権への出場は絶望的な状況となった。
ムボマ、マシリンギはいずれも2003年生まれの20歳。ともにジュニア時代に400mで頭角をあらわしたが、この種目でのテストステロン値の基準値を上回っていたために、その後は200mを中心にレースに出場していた。東京五輪200mではムボマが銀メダル、マシリンギは6位の成績を残している。
DSDに関する新規則は、800mで16年リオ五輪800mの銀メダルを獲得した後、テストステロン値が高いことが判明し東京五輪は5000m(予選失格)と10000m(5位入賞)に出場したF.ニョンサバ(ブルンジ)などの選手にも影響があるものとみられる。
ジョンガレロ氏は「8月の世界選手権の準備をしている段階での決定は不公平である。この規定により、彼女たちは走る機会を奪われてしまう」と述べ、「テストステロン値を下げるための治療も身体に悪影響を与えるだろう」と懸念を示した。
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