2023.03.20
男子100m日本記録(9秒95)を持つ山縣亮太(セイコー)が、新シーズンを前にオンラインで会見を開いて意気込みを語った。
東京五輪後はパリ五輪を見据えて痛めていた右膝の手術を決断した山縣。実戦は21年9月の全日本実業団対抗以来となる。4月2日に六大学対校(国立)で200mに出場し、100mの復帰戦は地元・広島での織田記念(4月29日)になる。
久しぶりの実戦を前に、「試合というよりは200mか、というドキドキのほうが大きいです」と笑う。山縣の200mは2017年8月以来。ちなみにベストは慶大時代の2013年にマークした20秒41だ。
200mを選択した理由について、痛めていた膝を考慮して「走りの技術を見直してきた」ため、100mとは違って「考える余裕のある」なかで新しい走りを確認する意味合いがある。
「患部については順調にトレーニングができています」と言うものの、身体の状態や走りのフォームについては「6、7割くらい」だと山縣。昨年の8月に北海道で合宿をし、そこで久しぶりにトラックの上を走るメニューを再開させた。「太陽の下に出るだけで気分が晴れやかでした」と振り返る。
12月に沖縄合宿をし、2月にはハワイでトレーニング。3月上旬に1週間ほど再び沖縄で練習をしてきた。「12月に長い距離を走るなど、追い込むメニューを再開させました。ハワイくらいから、強度の高い練習ができるようになった」と、実戦に向けて調整してきたという。
ケガをする前は「右膝が内側に倒れ込む走り」という癖があり、その影響もあって右膝や右足首に痛みが出ていた。手術後は高野大樹コーチらとともに身体の使い方を見直し、「股関節をじょうずに使う」走りの定着に励んでいる。ウエイトトレーニングなど、力の最大発揮の面では「手術前より強くなっている」という手応えをつかんでいるが、どう走りにつなげていくかがポイントになる。
今シーズンは「新しい走りが完全に定着させる土台の1年」と位置づける。実戦復帰に向けて「ワクワクと不安、半々です」と山縣。「世界を見据えた時に、以前の10割を超えていかないといけない」。ただ、「自分の技術的な変化と手応えを感じています」とその表情は充実感が漂う。
来年のパリ五輪は、「年齢を考えれば最後のオリンピックになるかもしれない」。東京五輪では予選落ちに終わったこともあり、「出るだけではなく戦う」ために手術も決意した。
パリ五輪の参加標準記録は10秒00と高いが、「日本の選手としてはそのタイムを切るというのは意識して取り組む必要がある」と言うように、そこを超えなければずっと目指してきた世界のファイナルに届かないのは承知の上だ。
「今年はブダペスト世界選手権もアジア大会もありますが、意識せず1年間走りきることを大切にしたい。土台を固めることで来年につながります。もう一度、輝くために、心理的な壁など、いろんなものを取り払わないといけないと覚悟しています」
これまで長く日本の男子短距離陣のトップを走り続けてきた。30歳になってから走る初めてのレース。頼もしい日本のエースが、いよいよ帰ってくる。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.22
三浦龍司が圧巻スパートで優勝 井川龍人は2年連続2位/日本選手権クロカン
2025.02.22
【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日)
-
2025.02.21
-
2025.02.21
-
2025.02.21
-
2025.02.21
2025.02.17
日本郵政グループ女子陸上部 「駅伝日本一」へのチームづくりとコンディショニング
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.26
-
2025.01.31
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.22
「インターハイでも勝ちたい」高校2年の栗村凌がU20男子を制す 女子は真柴愛里が貫禄/日本選手権クロカン
◇第40回U20日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) U20日本選手権クロスカントリーが行われ、男子(8km)では栗村凌(学法石川高2福島)が23分20秒で優勝を果たした。 今年も全国から有力 […]
2025.02.22
三浦龍司が圧巻スパートで優勝 井川龍人は2年連続2位/日本選手権クロカン
◇第108回日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) 来年1月の世界クロスカントリー選手権(米国・タラハシー)の代表選考を兼ねた第108回日本選手権クロスカントリーが行われ、男子(10km)はパリ […]
2025.02.22
【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日)
【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日/福岡・海の中道海浜公園) ●男子10km 1位 三浦龍司(SUBARU) 28分24秒 2位 井川龍人(旭化成) 28分25秒 3位 塩尻和 […]
2025.02.22
今年も福岡でクロカン日本一決定戦! 日本選手権&U20日本選手権クロカンに有力選手が多数出場
第108回日本選手権クロスカントリー、第40回U20日本選手権クロスカントリーは今日2月22日、福岡・海の中道海浜公園の1周2kmのコースを舞台に行われる。 日本選手権は男子が10km、女子が8kmで争われ、男子にはパリ […]
2025.02.21
編集部コラム「奥が深い」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝