2023.02.28
箱根駅伝は2年連続で5区に出走
今年の箱根駅伝は2年連続となる5区に登場。花田監督に言い渡された設定タイムを11秒クリアし、1時間11分49秒で走り切った。
「71分台に乗せられたのはかなり自信になりました。去年も自分の中ではベストの走りをして73分24秒だったので、そこから1分半縮めることができたのは、この1年間で成長できたということ。それが目に見えてわかったのは良かったです」
早大は5区で区間ふたケタ順位が4大会連続で続いていただけに、伊藤が区間6位でしのいだことは、チームにとっても明るい材料になった。
ただし、「満足のいく練習をして、満足のいく走りをしても区間6位だったことについては、走力の足りなさも感じました」とさらに上を向く。
ともあれ、6区で区間3位と好走した北村光(3年)と合わせて、箱根の山経験者が2人とも残るのは、早大にとって、次回の箱根駅伝を見据えれば大きなアドバンテージといえる。
だが、もともと伊藤は5000mで高校歴代2位(当時)の13分36秒57というタイムを引っ提げて、将来のエース候補として入学した選手だ。他に5区を務められる選手が台頭し、伊藤をエース区間に回したほうが、大きなアドバンテージが得られる可能性もある。
実際に、昨年の全日本大学駅伝、そして、箱根後の都道府県対抗駅伝、丸亀ハーフと、平地でも走れることは実証済み。「山へのこだわりはほとんどありません。僕が平地を走れれば、(チームは)一番強いと思います。もちろん花田さんから(5区に)行ってくれと言われたら、僕は確実に仕事をするだけですが……」と本人も平地区間に意欲を示している。
「一番は僕以外にも5区を走れる選手を作るのが大事。“作る”というか、“発掘する”という表現が正しいのかもしれません。経験者の僕にもできることは確実にあると思うので、花田さんと相談しながら着手していけたらと思います」
昨夏は早い段階から箱根5区を意識してトレーニングを積んでいたが、新年度は平地の主要区間を視野に入れながら取り組んでいくことになりそうだ。
次ページ 5000mでのユニバ出場がターゲット
箱根駅伝後も好調をキープ
屈辱のシード落ちから1年、早大は今年の箱根駅伝で総合6位と巻き返した。そして、箱根後も好調をキープし、選手たちは各大会で好走を見せている。2年生の伊藤大志もその1人だ。 1月22日の全国都道府県対抗男子駅伝には長野県チームの一員として出場し、3区区間8位と好走して優勝に貢献。さらに、2月5日の香川丸亀国際ハーフマラソンでは、大迫傑(Nike)の持つ早大記録にあと3秒と迫る1時間1分50秒の自己ベストをマークした(17位)。 「都道府県駅伝からうまく疲労が抜けなくて、花田さん(勝彦、駅伝監督)からは、100%出し切らなくてもいい、数%力を残すぐらいでいいから、と言われていました。前半で力を使い過ぎて、残り5、6kmでかなりペースが落ちてしまい、若林(宏樹、青学大)や山本さん(唯翔、城西大)に抜かれるなど他校のエースとの差を感じました」 こう反省を口にするように、15km以降に大きく順位を落としたのは事実。それでも、「1時間3分を切るぐらいから、良ければ1時間1分台」と幅広く目標を掲げていたなか、見事に上限のほうの目標をクリアした。 また、スピードに不安を残したなか、前半から積極的にハイペースを刻んだのも、伊藤にとっては大きなチャレンジだった。 「折り返しまでは、トヨタ自動車の大石(港与)さん、西山(和弥)さんがかなり良いペースで走っていたので、うまく集団走をしながら、引っ張ってもらったり、引っ張ったりして、うまくリズムを作っていけたかなと思います」 そのペースを最後までキープできなかったのは次回への課題だが、それ以上に収穫も多かった。 次ページ 箱根駅伝は2年連続で5区に出走箱根駅伝は2年連続で5区に出走
今年の箱根駅伝は2年連続となる5区に登場。花田監督に言い渡された設定タイムを11秒クリアし、1時間11分49秒で走り切った。 「71分台に乗せられたのはかなり自信になりました。去年も自分の中ではベストの走りをして73分24秒だったので、そこから1分半縮めることができたのは、この1年間で成長できたということ。それが目に見えてわかったのは良かったです」 [caption id="attachment_94493" align="alignnone" width="800"] 2023年箱根駅伝では5区区間6位だった伊藤[/caption] 早大は5区で区間ふたケタ順位が4大会連続で続いていただけに、伊藤が区間6位でしのいだことは、チームにとっても明るい材料になった。 ただし、「満足のいく練習をして、満足のいく走りをしても区間6位だったことについては、走力の足りなさも感じました」とさらに上を向く。 ともあれ、6区で区間3位と好走した北村光(3年)と合わせて、箱根の山経験者が2人とも残るのは、早大にとって、次回の箱根駅伝を見据えれば大きなアドバンテージといえる。 だが、もともと伊藤は5000mで高校歴代2位(当時)の13分36秒57というタイムを引っ提げて、将来のエース候補として入学した選手だ。他に5区を務められる選手が台頭し、伊藤をエース区間に回したほうが、大きなアドバンテージが得られる可能性もある。 実際に、昨年の全日本大学駅伝、そして、箱根後の都道府県対抗駅伝、丸亀ハーフと、平地でも走れることは実証済み。「山へのこだわりはほとんどありません。僕が平地を走れれば、(チームは)一番強いと思います。もちろん花田さんから(5区に)行ってくれと言われたら、僕は確実に仕事をするだけですが……」と本人も平地区間に意欲を示している。 「一番は僕以外にも5区を走れる選手を作るのが大事。“作る”というか、“発掘する”という表現が正しいのかもしれません。経験者の僕にもできることは確実にあると思うので、花田さんと相談しながら着手していけたらと思います」 昨夏は早い段階から箱根5区を意識してトレーニングを積んでいたが、新年度は平地の主要区間を視野に入れながら取り組んでいくことになりそうだ。 次ページ 5000mでのユニバ出場がターゲット5000mでのユニバ出場がターゲット
[caption id="attachment_94495" align="alignnone" width="800"] 高校2年時(2019年)の国体少年A5000mでは3位と好成績を挙げた伊藤[/caption] これまで主要大会の個人タイトルを取った経験はないが、中学時代から全中3000m5位、ジュニア五輪A3000m2位、高校2年時の国体少年A3位など、常に世代の最前線で戦ってきた。だからこそ、駅伝だけの選手で終わるつもりはない。 新年度はエース候補の1人として、個人の結果にもこだわりながら、さらなるレベルアップを誓う。今後は3月の日本学生ハーフマラソン選手権には出場せず、トラックの5000mで夏のワールドユニバーシティゲームズ(中国・成都)出場がターゲットだ。 「花田さんが、“攻める練習が全然できていなかった”とおっしゃっているように、今季の結果は最低限の走りに過ぎません。他のメンバーにも言えることですが、練習の内容からいっても、伸びしろは十二分にあると思います」 着実にステップを重ねてきた伊藤。大学3年目は、これまで以上の活躍を見せるつもりでいる。 ◎いとう・たいし/2003年2月2日生まれ。長野県駒ケ根市出身。赤穂中→佐久長聖高→早大。自己記録5000m13分35秒70、10000m29分42秒24、ハーフマラソン1時間1分50秒。同期の石塚陽士とともに入学時からチームの主力としてフル回転。箱根駅伝では2年連続で山上りの5区に出頭して区間11位、区間6位。3年生となる今年はトラックでユニバーシティゲームズ出場を目標に掲げる。 文/和田悟志
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
-
2024.12.12
-
2024.12.12
-
2024.12.11
2024.12.07
不破聖衣来が10000mに出場し12位でフィニッシュ 完全復活へ実戦積む/エディオンDC
-
2024.11.24
-
2024.11.20
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.12
日本GPシリーズチャンピオンは福部真子と筒江海斗!種目別800mは落合晃&久保凛の高校日本記録保持者コンビがV、女子1500m田中希実が4連覇
男女総合ランキングと種目別チャンピオンをチェック! 日本グランプリシリーズ2024結果 ●男子総合ランキングTOP8 1位 筒江海斗(ST-WAKO) 400mH 3652.0 2位 阿部竜希(順大) 110mH 36 […]
2024.12.12
世界陸連が6つの世界記録を承認 川野将虎が男子35km初代世界記録保持者に
12月11日、世界陸連は5月から10月にかけて誕生した世界記録を正式に承認したことを発表した。 10月27日の日本選手権35km競歩(山形・高畠)で、川野将虎(旭化成)が樹立した2時間21分47秒も世界記録として認定。同 […]
2024.12.12
月刊陸上競技2025年1月号
Contents W別冊付録 箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望 大会報道 福岡国際マラソン 吉田祐也 日本歴代3位の激走 涙の復活劇 全日本実業団対抗女子駅伝 JP日本郵政グループ 4年ぶりV 地域実業団駅伝 中学 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会