2023.02.14
仲間と一緒なら、つい本音がこぼれてしまう。学生駅伝で活躍したチームの主力数名に語り合ってもらう短期連載「学生長距離座談会」。第2回は、下級生の頃から世代全体で活躍してきた青学大の最上級生たちに4年間を語り合ってもらった。
主将の宮坂大器、副主将の横田俊吾、ダブルエースの岸本大紀と近藤幸太郎、そして裏方としてチームを支えた主務の保手濱涼介。苦楽をともにした5人のオンライン座談会は、終始和やかで、仲の良さが画面越しにも伝わってくる内容となった。
最高水準の選手層も
無冠に終わったラストイヤー
――まずは今季の三大駅伝を振り返っていただきます。出雲駅伝は4位、全日本大学駅伝と連覇が懸かった箱根駅伝が3位という結果でした。
宮坂 夏合宿後半で主力が複数故障で抜けたこともあって、出雲は足並みが揃わなかったよね。
保手濱 正直に言うと、出雲は勝てる気がしなかったよ。やっぱり短い距離の駅伝だからこそ、走るべき6人を揃えたチームが上位に来た感じだったかな。
横田 出雲から足並みを揃えられれば、そこから勢いついたと思うんだけど、それができなかったよね。故障者が出てしまったのは敗因だったかなと思う。
岸本 なんで故障しちゃったのかな……。
※夏に故障して出雲駅伝を欠場
宮坂 それでも全日本や箱根に関しては、力を発揮できれば勝てる布陣だったと思う。
保手濱 確かに勝てる手応えはあった。けど、どこかちょっと上手くいかない部分があったし、三大駅伝直前で寮内にミスが連続で発生してしまって、レース前の張り詰めた空気が例年に比べると薄かったかな。
近藤 今年は練習の消化率がちょっと悪かったかな。ちゃんと練習しないと厳しいなというのがあるね。
横田 やっぱり万全じゃない選手がレースでうまく走れず、また自信を失うみたいな悪循環が続いたかな。
宮坂 逆に駒大は特にスキがなくて、勝つたびに自信を深めていったよね。
保手濱 確かに、ウチが上手くいかなかった分を差し引いても今回の駒大は強かったよ。

2022年全日本大学駅伝7区で従来の区間記録を大幅に更新する走り(区間2位)を見せた近藤幸太郎(左)と8区の宮坂大器
――今年度は「青学大史上最強世代」と呼ばれ続けてきました。
宮坂 最強世代と呼ばれるプレッシャーはなかったかな。エースの近藤や岸本が一番プレッシャーあったんじゃない?
近藤 確かに「ない」とは言わないけど、みんながカバーしてくれたから、その分楽にやらせてもらった部分はあったと思うよ。
岸本 僕も結果を出すだけだったので、楽に走らせてもらったよ。やっぱり役職を持つ人たちのほうが大変だったと思うし、それに対して(自分が)他人事だった部分もある。その分まで結果を出さないといけないのに、最後は(箱根駅伝で)復路を走ることになってしまって、すみませんでした!
横田 初めて謝ったね(笑)。僕は今までプレッシャーは感じていないと思っていたんだけど、箱根が終わってからのマラソン練習の時に、今季で一番調子が上がってきて、そういう意味では見えないところでプレッシャーはあったんだなって思う。
保手濱 勝ちたいという思いもあったけど、勝たないといけないっていう考えのほうが強かった。1年間主務やらせてもらって、自分もやっぱり気を張っていたというか、箱根が終わった翌日くらいから気持ちが楽な生活を送れているから。それだけストレス溜まった1年だったと思う。でも、やっぱり主将が一番重圧あったんじゃないの?
宮坂 全日本(8区区間10位)を走ってから、なんか重圧というか、主将でしっかり走れなかったことに対するいう思いがあって、「あ、やばいな」って感じはあったかな。そこから上手く立て直せなくて、結局箱根も走れず……。今思えば、きっと無意識に重圧を感じていたのかもしれない。
最高水準の選手層も 無冠に終わったラストイヤー
――まずは今季の三大駅伝を振り返っていただきます。出雲駅伝は4位、全日本大学駅伝と連覇が懸かった箱根駅伝が3位という結果でした。 宮坂 夏合宿後半で主力が複数故障で抜けたこともあって、出雲は足並みが揃わなかったよね。 保手濱 正直に言うと、出雲は勝てる気がしなかったよ。やっぱり短い距離の駅伝だからこそ、走るべき6人を揃えたチームが上位に来た感じだったかな。 横田 出雲から足並みを揃えられれば、そこから勢いついたと思うんだけど、それができなかったよね。故障者が出てしまったのは敗因だったかなと思う。 岸本 なんで故障しちゃったのかな……。 ※夏に故障して出雲駅伝を欠場 宮坂 それでも全日本や箱根に関しては、力を発揮できれば勝てる布陣だったと思う。 保手濱 確かに勝てる手応えはあった。けど、どこかちょっと上手くいかない部分があったし、三大駅伝直前で寮内にミスが連続で発生してしまって、レース前の張り詰めた空気が例年に比べると薄かったかな。 近藤 今年は練習の消化率がちょっと悪かったかな。ちゃんと練習しないと厳しいなというのがあるね。 横田 やっぱり万全じゃない選手がレースでうまく走れず、また自信を失うみたいな悪循環が続いたかな。 宮坂 逆に駒大は特にスキがなくて、勝つたびに自信を深めていったよね。 保手濱 確かに、ウチが上手くいかなかった分を差し引いても今回の駒大は強かったよ。 [caption id="attachment_93281" align="alignnone" width="800"]
起爆剤となった岸本 人一倍の努力で刺激を与えた保手濱主務
――1年目は岸本選手の活躍が光りましたね。出雲駅伝2区で区間賞を獲得すると、箱根駅伝2区では衝撃の6人抜きで先頭に立ちました。同期としてはどのように感じていましたか。 宮坂 いまだに箱根2区で、あの戸塚の壁で先頭立つシーンをⅤTRを見ると、鳥肌立つよね。その走りを1年生で見せてくれたのが、同期に火をつけたよ。 横田 僕はその時2区で給水係をやったんだけど、中学時代に同じ新潟県で競いあってきたのに、どこでこんなに差がついたんだろうって、その帰りの電車でうなだれてたのを覚えてるよ。 近藤 当時の話じゃないけど、実際に2区を2回走ってみて、改めてあの走りは人間じゃないなって思ったよ。 ※近藤は3年時と4年時に2区を走り、4年時は岸本の青学大記録を更新 横田 お前が言うなよ(笑) 岸本 そうだよ、タイム抜いたくせに。でも、あの頃は学年を引っ張っているという気持ちはあったし、みんなに良い刺激を与えられたかな。最後はもう伸び伸びさせてもらったけど(笑) 保手濱 今年は後ろの運営管理車から見ていたけど、あのコースはやばいよ。本当に壁だもんね。 宮坂 あそこでスパートしたのはすご過ぎる。 岸本 あれは他の先輩方の後ろにずっとつかせてもらったからだよ。 ――そこから学年を重ねるごとに順調に成長を遂げていきました。学年全体で強くなることができた秘訣はなんでしょうか。 岸本 みんな負けず嫌いではあったよね。プライドも持っていたし、刺激し合って強くなったと思う。 宮坂 みんなで内に秘めるものを持っていつつ、協力して強くなっていったのかな。 [caption id="attachment_93277" align="alignnone" width="1566"]
次なるステージでも切磋琢磨で成長を!
――それでは最後に今後の目標を1人ずつお願いします。 宮坂 実業団となるとレベルが上がって責任も伴ってくるので、しっかり結果は出さないといけないなと思っています。青学大の主将になって、箱根は走れなかったですけど、最後はエースの近藤と岸本の給水もできたのは良い思い出でした。同時に彼らに追いついて戦えたらなと素直に思っています。 近藤 青学大で4年間やってきたことを次につなげていければと思っています。「青学大からは世界に行けない」とか言われますけど、この世代から世界大会に出場できる選手が出るように切磋琢磨してやっていきたいと思います。 横田 いや、近藤が行けよってみんな思っているよ(笑)。僕はトラックで敵わないので、マラソンで勝負したいと思っています。JR東日本に進むので、電車より速く走れるランナーになりたいです。 岸本 競技面ではトップレベルで戦いたいなと思っていますが、それ以上に地元・新潟の陸上競技を盛り上げたいという気持ちがあります。都道府県対抗駅伝でも20、30番あたりの順位が続いているので、将来は指導者として新潟の中学・高校の陸上を強くして盛り上げていきたいというのが一番の目標です。 保手濱 この1年みんなの走りを見ていてワクワクするというか、胸を弾まさせてもらったので、卒業してからも日本選手権とかニューイヤー駅伝とかに足を運んで、みんなの活躍を目に焼きつけます。 [caption id="attachment_93284" align="alignnone" width="800"]
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