2023.01.16
2強崩しを狙う順大、國學院大、中大、創価大
ただし、青学大も駒大も、1つでもミスが出るようだと他校の猛追に遭う可能性がある。
そのチャンスを秘めるのが前述のデータや至近の駅伝成績に優れる順大、國學院大、中大、創価大の4校だ。
順大は前回準優勝の実績があり、前回往路5位のメンバーが全員残っている。そのうち区間エントリーの段階では3区の伊豫田達弥(4年)、4区の石井一希(3年)のみが往路に配置されたが、3000m障害の日本記録を持つ三浦龍司(3年)や前々回2区を担った野村優作(4年)が当日変更で起用されそうだ。
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順大は3000m障害の日本記録保持者である三浦龍司を補欠登録。伊豫田達弥が3年連続で3区に入った
復路にも前回1区の平駿介(4年)が8区にエントリーされており、長門俊介駅伝監督が「復路のキーマン」と自信を持つ西澤侑真(4年)が補欠登録から当日変更で入る見込みだ。総合力では2強にやや劣るため、確実に往路で先手を取っておきたいところだろう。
國學院大は出雲、全日本で2位となり、いずれも青学大に先着した。前回2区の伊地知賢造(3年)が5区にエントリされていることから、2区は当日変更で中西大翔(4年)か平林清澄(2年)が当日変更で入る可能性が高い。全日本5区区間賞の青木瑠郁(1年)も補欠に控えており、上記選手で固めれば往路優勝も不可能ではない。
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出雲、全日本ともに2位と好成績を挙げている國學院大
復路には6区に経験豊富な島﨑慎愛(4年)がいるものの、残りは駅伝経験の少ない選手が多い。ハーフマラソンで1時間3分前後の選手は多いだけに、“先頭効果”で首位をひた走れば、そのまま逃げ切る可能性も秘める。
中大は、前回1区区間新の吉居大和(3年)の起用区間に注目が集める。区間エントリーの段階では補欠登録だったが、1区~3区のどこかに入る見込みだ。その吉居を上回る10000mのベストを持つ中野翔太(3年)も2区の候補となっており、順当なら「1区・吉居、2区・中野」あるいは「2区・中野、3区・吉居」という配置になりそう。
中大は前回山区間で区間上位だった5区の阿部陽樹(2年)と若林陽大(4年)の存在が強みだ。2人はともに区間新記録を目指しており、仮に4区までで多少出遅れたとしても、この2区間で大きく挽回することが可能だ。復路にも前回8区と9区で区間3位だった中澤雄大(4年)と湯浅仁(3年)が控え、バランスのいいオーダーが完成する。優勝へのポイントは、吉居と中野とセットとなる、もう一人の往路序盤候補の活躍か。
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前回1区で衝撃の区間新をマークした中大の吉居大和
創価大はフィリップ・ムルワ、嶋津雄大、葛西潤の4年生トリオが強力。ムルワが2区、嶋津が4区、葛西が7区に配置され、復路に回った葛西が本調子であればライバル校の脅威となる。1区の横山魁哉(4年)は全日本1区でも区間5位と好走しており、大きく出遅れなければ2区のムルワで先頭に立つことも可能。3区で出遅れても4区の嶋津で再び浮上する算段か。
総合優勝のためには5区のルーキー・野沢悠真の奮闘が必要不可欠となりそうだが、6区には2年連続で区間ひとケタで好走している濱野将基(4年)がおり、7区以降も実力者がそろう。10区途中まで先頭をひた走った前々回の再来となるか。
次のページは 上位進出を狙う東洋大、東京国際大、早大
青学大&駒大がデータ面でも2強
まずは参考となる前回大会の順位、今季の予選会、出雲駅伝、全日本大学駅伝の成績を振り返っていく。 大学名 前回 予選会 出雲 全日本 青学大 優勝 ―― 4位 3位 順 大 2位 ―― 5位 4位 駒 大 3位 ―― 優勝 優勝 東洋大 4位 ―― 9位 8位 東京国際大 5位 ―― 8位 10位 中 大 6位 ―― 3位 7位 創価大 7位 ―― 6位 5位 國學院大 8位 ―― 2位 2位 帝京大 9位 ―― 11位 ―― 法 大 10位 ―― 7位 ―― 大東大 ―― 1位 ―― 14位 明 大 14位 2位 ―― 9位 城西大 ―― 3位 ―― ―― 早 大 13位 4位 ―― 6位 日体大 17位 5位 ―― ―― 立 大 ―― 6位 ―― ―― 山梨学大 18位 7位 ―― ―― 専 大 20位 8位 ―― ―― 東海大 11位 9位 ―― 10位 国士大 15位 10位 ―― ―― 前回3位の駒大が出雲、全日本で優勝を飾り、チーム初の3冠へ王手をかけている。 前回王者の青学大は出雲4位、全日本3位とやや苦戦し、國學院大が両駅伝で2位と駒大に次ぐ位置につけた。それ以外では出雲3位の中大、全日本4位の順大、同5位の創価大の成績が光る。 そして5000m、10000m、ハーフマラソンにおけるエントリー選手上位10人の平均タイムのまとめたのが下記の表だ(カッコ内は順位) 青学大 13.45.73(2) 28.25.11(2) 1.02.58(4) 順 大 13.49.96(6) 28.40.34(6) 1.02.26(3) 駒 大 13.38.91(1) 28.24.91(1) 1.02.14(1) 東洋大 13.55.62(9) 28.49.93(11)1.03.25(11) 東京国際大 13.49.24(5) 28.47.85(10)1.04.32(21) 中 大 13.48.78(4) 28.27.66(3) 1.03.00(5) 創価大 13.57.68(11)28.28.52(4) 1.03.20(9) 國學院大 13.57.31(10)28.43.70(8) 1.02.21(2) 帝京大 14.12.42(20)29.09.91(18)1.03.12(7) 法 大 14.03.11(15)28.52.19(13)1.03.20(9) 大東大 13.57.72(12)28.45.04(9) 1.03.46(15) 明 大 13.50.81(7) 28.39.05(5) 1.03.13(8) 城西大 14.00.91(14)28.56.60(15)1.03.30(12) 早 大 13.47.82(3) 29.00.23(16)1.03.33(14) 日体大 13.58.46(13)28.51.58(12)1.03.57(17) 立 大 14.03.70(16)29.00.75(17)1.04.24(20) 山梨学大 14.11.31(18)28.55.47(14)1.03.11(6) 専 大 14.14.46(21)29.12.04(19)1.04.11(19) 東海大 13.53.64(8) 28.42.71(7) 1.03.30(12) 国士大 14.11.54(19)29.14.53(20)1.04.07(18) 学生連合 14.10.84(17)29.15.13(21)1.03.47(16) ここでも駒大と青学大が上位につける。特に駒大は3種目でトップに立ち、いずれも“過去最速”とさらなるレベルアップを遂げている。青学大も平均タイムでは駒大に劣るものの、総合優勝を果たした前回大会よりも3種目のタイムを上げている点が見逃せない。 先ほど名前の挙がった大学ではハーフマラソンで2位、3位の國學院大と順大、10000mで3位、4位の中大と創価大が上位につけており、強さが数字として表れている。 上記以外では5000m3位の早大、10000m5位の明大、ハーフマラソン6位の山梨学大ら予選会通過校が健闘している。 こうした自己記録によるデータは貴重な参考資料となるが、前回5000m、10000mともに19位だった法大がシード権を獲得したように、20km超えの箱根駅伝ではデータ通りにならないこともある。あくまでも参考資料と割り切って見ていただきたい。 また、同様に全日本と箱根では距離が異なるため、全日本に出場していない大学でも10位以内に入るケースは至近10大会で延べ13校もある。そうした意味では、前回シード校ながら全日本の選考会を突破できなかった帝京大と法大にもチャンスはありそうだ。 <全日本不出場から箱根駅伝で10位以内に入ったチーム> ※2013年以降 2013年 順 大 6位 2013年 青学大 8位 2013年 法 大 9位 2013年 中央学大 10位 2014年 拓 大 9位 2017年 順 大 4位 2017年 神奈川大 5位 2017年 法 大 8位 2018年 日体大 4位 2018年 拓 大 8位 2020年 創価大 9位 2021年 創価大 2位 2022年 創価大 7位 ここまでの情報をまとめると、この1年間の駅伝成績が優れ、トラックのスピードを兼ね備えた駒大と青学大が優勝候補と見ていいだろう。 それに追随する勢力図は前回も上位につけた順大、中大、創価大、國學院大あたりか。 これらデータと12月29日に発表された区間エントリーをふまえ、各校の戦力と戦い方を展望していく。 次のページ 2強対決のポイントは!?2強対決のポイントは!?
何と言っても今大会は「青学大vs駒大」の“2強対決”の様相を呈している。 青学大は前回Vメンバーが7名エントリーし、3名が区間賞(うち2名は区間新)、2区や5区といった主要区間の経験者もいる。出雲や全日本の敗戦は気になるところだが、原晋監督は箱根駅伝の戦い方を熟知しており、優勝候補となるのは間違いない。 [caption id="attachment_90009" align="alignnone" width="800"]
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2強崩しを狙う順大、國學院大、中大、創価大
ただし、青学大も駒大も、1つでもミスが出るようだと他校の猛追に遭う可能性がある。 そのチャンスを秘めるのが前述のデータや至近の駅伝成績に優れる順大、國學院大、中大、創価大の4校だ。 順大は前回準優勝の実績があり、前回往路5位のメンバーが全員残っている。そのうち区間エントリーの段階では3区の伊豫田達弥(4年)、4区の石井一希(3年)のみが往路に配置されたが、3000m障害の日本記録を持つ三浦龍司(3年)や前々回2区を担った野村優作(4年)が当日変更で起用されそうだ。 [caption id="attachment_90008" align="alignnone" width="800"]
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上位進出を狙う東洋大、東京国際大、早大
前回4位、5位の東洋大と東京国際大、全日本6位の早大も虎視眈々と上位を目論む。 東洋大は1区に3年連続となる児玉悠輔(4年)を配置し、2区には1年時に出雲5区と全日本4区で区間賞経験のある石田洸介(2年)が入った。これまで2年連続で2区を担ってきた松山和希(3年)がエントリーから外れた影響は大きいが、箱根駅伝に合わせる調整力や構成力の高さは、これまでの実績で証明済み。往路で出遅れたとしても、前回10区区間2位の清野太雅(4年)らが控える復路で巻き返す力がある。 東京国際大は2区と3区で区間記録を持つイェゴン・ヴィンセント(4年)が補欠登録となり、代わりにルカ・ムセンビ(4年)を4区に登録。箱根の実績でいえばヴィンセントが一枚上手だが、ムセンビも全日本8区区間賞や北海道マラソン優勝などの実績を持つ実力者だ。どちらが起用されたとしても、1区の山谷昌也、2区の丹所健(ともに4年)と並んで強力なトリオを形成する。 早大は前回シード落ちを喫したが、井川龍人や鈴木創士(ともに4年)、石塚陽士、伊藤大志(ともに2年)ら実力者がそろう。近年は2区と山区間で苦戦する傾向にあり、2区の石塚、5区の伊藤、6区の北村光(3年)の快走が目標に掲げる「5位以内」へのカギを握る。 その他にも前々回3区区間賞の東海大・石原翔太郎(3年)や、予選会日本人トップの専大・木村暁仁(3年)ら個人の活躍や、55年ぶり出場となる立大のなども含め、見どころ満載だ。 スタートは1月2日の朝8時。99回大会の頂点に立つのはどの大学か。
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