◇第99回箱根駅伝(1月2、3日:東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km)
第99回箱根駅伝が行われ、駒大が2年ぶり8度目の総合優勝を果たした。記録は10時間45分11秒。往路、復路ともに制して完全制覇し、昨年の出雲駅伝、全日本大学駅伝に続いて3冠を達成した。学生駅伝3冠は史上5校目で、同校にとって初となる。
「最高の子供たち。感謝しています」。大八木弘明監督は優しい眼差しになった。決して、万全な状態ではなかった。田澤廉(4年)が12月に新型コロナウイルスに感染して練習を中断。「エークスラスの選手が体調を崩して2名ほど使えなかった」と、花尾恭輔(3年)、佐藤圭汰(2年)といった主力も外れた。
ただ、今年度は「厚い選手層を作ろう」と取り組んできた駒大。それは、選手たちから「3冠を狙う」という言葉があったから。指揮官は「各区間5位以内で走れば勝てる」と送り出した。
その期待に見事に答えて見せる。区間賞は6区の伊藤蒼唯(1年)のみだが、全員区間5位以内でつないだ。「夢だった」という最初で最後の箱根となった円健介(4年)が区間2位で発進すると、急ピッチで仕上げた田澤も区間3位。言い訳は決してせず「不安もありましたがやるべきことはやって納得のいくレース。悔いはないです」と言う。
篠原は「2年生エース」としての自覚を持って区間2位。そして、次期エースの鈴木芽吹(3年)が復活の走りでトップへ。前回は8区で区間18位と苦しい走りとなり、ケガで長期離脱。「前回終わってからたくさんの人に支えてもらってここまでこられました」。見事に蘇り、青学大との競り合いを制してトップに立った。
その後は一度も譲らなかった。5区の山川拓馬(1年)はルーキーらしからぬ堂々の走り。「上りで反省点がある」と語るも、フィニッシュテープを笑顔で切った。圧巻は6区の伊藤。こちらも1年生とは思えない度胸で「区間賞は当然」と胸を張った。
安原太陽(3年)は前回3区区間16位で序盤遅れる走りとなったが見事にリベンジ。「大きな迷惑をかけたので1年間準備して借りを返したかった」。8区の赤星雄斗(3年)は前回当日変更。「悔しさを忘れずに練習を積んできた」。だからこそ自信を持ってスタートに立てた。
そして主将の山野力(4年)。一般入試で入部し、「箱根駅伝を走って絶対に優勝すると決心して大学に入りました」。後輩たちがつないできたタスキ。「情けない走りをしたら示しがつかない」。背中でチームを引っ張ってきた。
前回に続いて青柿響(3年)が10区。今年は笑顔で、3本指を掲げてフィニッシュした。「プレッシャーもありましたが、9人が競り合いで負けずにつないできたタスキ」を大事にかけて大手町に戻ってきた。
田澤は「3冠は大八木監督への恩返し」と語ってきた。大エースは本来の走りができず悔しさも募るが、間違いなく2区の粘りが最高の恩返しになったと言える。
鈴木を筆頭に3年生は「自分たちの代でも3冠」を誓う。「平成の常勝軍団」と言われた駒大。しばらく頂点から遠ざかった時期もあったが、大八木監督は「3年生以下もいい選手が残っているので、令和でも常勝軍団にしたい」と力強い。藤色のタスキは、これからも学生長距離界をリードしていきそうだ。
◎駒大の優勝メンバー
1区 円 健介(4年) 区間2位
2区 田澤 廉(4年) 区間3位
3区 篠原倖太朗(2年) 区間2位
4区 鈴木芽吹(3年) 区間3位
5区 山川拓馬(1年) 区間4位
6区 伊藤蒼唯(1年) 区間1位
7区 安原太陽(3年) 区間5位
8区 赤星雄斗(3年) 区間4位
9区 山野 力(4年) 区間3位
10区 青柿 響(3年) 区間2位
・補欠
小野恵崇(4年)、金子伊吹(3年)、花尾恭輔(3年)、吉本真啓(2年)、帰山侑大(1年)、佐藤圭汰(1年)
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