◇第99回箱根駅伝・往路(1月2日:東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)
第99回箱根駅伝の往路が行われ、2位に中大が入った。2区では吉居大和(3年)、3区では中野翔太(3年)が区間賞を獲得した。
駒大・田澤廉(4年)を9秒差で追いかけた中大・吉居大和(3年)が花の2区で爆走した。田澤は最初の1kmを2分46秒で通過するが、1km過ぎにピタリと背後につける。ほどなくして田澤の前に出ると、自慢のスピードでグングンと突き進んだ。
「区間新記録を狙ってやろうという気持ちもあったので、10km地点までは、自分の予定していたペース通りというか、ちょっと遅いかなというペースでいけました」
3.2kmで明大をかわしてトップに立つと、10kmを28分00秒で通過した。しかし、さすがにペースが鈍りだす。12.2kmで田澤に並ばれると、引き離された。
14.3kmでは2秒遅れでスタートした青学大・近藤幸太郎(4年)に追いつかれたが、ここからが『本当のドラマ』の始まりだった。吉居は近藤の背後に食らいつくと、2人で駒大・田澤に迫っていく。
吉居と近藤は同じ愛知出身で、ともに「TTランナーズ」というクラブに通っていた旧知の仲。その近藤から励まされつつ、懸命に脚を動かす。「幸太郎君にも抜かれて、まずいかなと思ったんですけど、権太坂の下りで身体の状態が戻ってきたんです。しっかり動き始めたので、残り3kmも頑張りました」。
終盤は本調子ではなかった田澤のペースが落ちて、3人がトップ争いを繰り広げる。吉居は残り110mほどで強烈スパート。近藤を突き放すと、田澤の右側を通り抜けて、戸塚中継所にトップで飛び込んだ。中大のトップ中継は20年ぶりとなる。
中大の2区トップ通過は藤原正和駅伝監督が大学4年時以来で、中大の2区区間賞も藤原監督以来、20年ぶりの栄光だった。藤原監督の「大和よくやったぞ!」の声にエースは右拳を突き出した。
「区間賞候補の2人と一緒に走れて、すごく幸せな時間でした。最後勝ち切ることができたのもすごくうれしかったです」。区間歴代8位の1時間6分22秒で駆け抜けて、前回1区に続いて区間賞を獲得。笑顔が弾けた。
「1時間7分を切るのが最低目標だと思っていました。この区間はラストで簡単に1分ぐらい差がついてしまう。途中から苦しくなりながら、なんとか耐えて1時間6分30秒を切れて良かったです」
前回1区で驚異的な区間記録を打ち立てた吉居。今回は補欠登録で、1~3区のどこかに配置されると見られていた。2区を言い渡されたのは3週間前で、最初は「マジか?」と思ったという。
「当初は3区を走りたい気持ちがありましたし、2区は上りが強い中野(翔太)のほうが向いていると思っていました。でも、3週間前は中野より自分の状態が良かったので、すぐに気持ちを切り替えたんです。2区を走る準備をしておけば、3区も絶対に走れますし、もちろん1区も走れますから」
上り坂の走りを研究して、臀部やハムストリングスを強化。スピードだけではなく、さらに進化した姿を披露した吉居大和がチームを次のステージに押し上げた。
続く中野も区間賞を獲得。「先頭で来ることも想定していました。彼が良い走りをしたので自分もしっかりやろうと思った」と同期の走りに奮起した。
「前半は下りが多いのでリズムに乗れるように意識しました」と振り返るように、リズム良く走る。4区には1年生の吉居駿恭が待ち、「どれだけ楽な位置でタスキを渡すのも役目だったので、もう一度引き離そうとスイッチが入りました」と切り替えた。
吉居の爆発力に注目が集まるが、ロードに関しては指揮官も「エース」と期待を寄せるのが中野。「駅伝であまり結果を出せてなかったので、しっかり走れる証明ができました」と納得のパフォーマンスだった。
27年ぶり総合優勝、そして22年ぶりトップ3へ。往路3位の流れを1月3日へとつないでいく。
文/酒井政人
【✨第99回 #箱根駅伝 2区順位速報🏃♂️】
2区 #戸塚中継所 の順位はこちら‼️ 1位 #中央大学 2位 #駒澤大学 +3秒差 3位 #青山学院大学 +3秒差 4位 #山梨学院大学 +1分2秒差 5位 #創価大学 +1分6秒差 ※タイムは速報値です。#TVer でもライブ配信中⚡️ pic.twitter.com/gm1pNisbxX — 箱根駅伝番組公式 (@hakone_ntv) January 2, 2023
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
-
2025.02.22
-
2025.02.22
-
2025.02.22
-
2025.02.21
2025.02.17
日本郵政グループ女子陸上部 「駅伝日本一」へのチームづくりとコンディショニング
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.22
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.26
-
2025.01.31
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.23
「ラストはいい切れ味」三浦龍司が納得の優勝 2位井川龍人も5000m12分台へ手応え/日本選手権クロカン
◇第108回日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) 26年1月の世界クロスカントリー選手権(米国・タラハシー)の代表選考を兼ねた第108回日本陸上競技選手権大会クロスカントリーが2月22日、福岡 […]
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2月21日、米国ペンシルベニア州カレッジステーションでペンシルベニア州立大の学内学内競技会が同校の室内競技場(1周200m)で行われ、男子800mで石井優吉(ペンシルベニア州立大)が1分46秒41のショートラック日本記録 […]
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
◇大阪マラソン2025(2月24日/大阪・大阪府庁前スタート・大阪城公園フィニッシュ) 大阪マラソンの主催者は2月22日、招待選手の西山雄介(トヨタ自動車)がコンディション不良により欠場することを発表した。 西山は22年 […]
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
2月22日、京都市の京産大総合グラウンド競技場で第11回京都陸協記録会が行われ、一般規格の男子ハンマー投でアツオビン・アンドリュウ(花園高3京都)が高校歴代2位となる61m59をマークした。 アツオビンは昨年のU20日本 […]
2025.02.22
円盤投・堤雄司が自己2番目の61m76でV 女子100mH青木益未は13秒04 福田翔太、郡菜々佳も優勝/WAコンチネンタルツアー
世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ブロンズラベルのインターナショナル・トラック・ミート2025が2月22日、ニュージーランドのクライストチャーチで行われ、男子円盤投で堤雄司(ALSOK群馬)が61m76のセカンドベス […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝