2023.01.02
◇ニューイヤー駅伝(1月1日/群馬県庁発着、7区間100㎞)
2023年の幕開けを告げるニューイヤー駅伝は、Hondaが4時間48分06秒で出場40回目の節目を飾る2連覇を成し遂げた。
今、Hondaの勢いを牽引するのが、入社3年目の伊藤達彦と青木涼真の「日本代表コンビ」。伊藤は10000mで、青木は3000m障害で東京五輪とオレゴン世界選手権の代表になり、全日本実業団駅伝では2年連続で伊藤が最長4区(22.4km)、青木が2番目に長い5区(15.8km)と主要区間を担ってきた。2連覇が懸かる今年も、当然このエース2人が主軸になるはずだった。
ところが、大会1週間前に伊藤が発熱。12月30日の区間エントリーの日には回復していたようだが、小川監督は「調子の良い選手を使おう」と、思い切って伊藤をメンバーから外す決断をした。「(伊藤)達彦がいることによる安心感や、チームのアドバンテージは確かにありました」と、もう一人のエース・青木が言う。
「でも、今回は達彦がいないというのが気にならないぐらいメンバー争いが熾烈で、昨年より強いオーダーを組めたと思っています。走る前から優勝できると思っていました」
青木は胸を張ってそう続けた。社内外から「伊藤がいなくて大丈夫か」と、多くの心配の声が寄せられたと小川監督は明かす。連覇ができれば史上7チーム目。前回の創部51年目にして初優勝の快挙に続き、歴史に新たな1ページを刻むことができる。
そのプレッシャーをはねのけ、Hondaは4区の小山直城でトップに躍り出ると、3年連続5区の青木が初の区間賞でさらに後続を引き離して2連覇を決定づけた。
では、伊藤抜きでも勝てた要因は何だったのか。
1区の小袖英人が区間1位と同タイム(35分35秒)の2位発進でうまくチームを流れに乗せたことが大きかったが、小川監督が一番の不安材料に挙げていた2区のインターナショナル区間で、ジャスティス・ソゲットが区間12位に収めたことがまず一つ。ここで流れが途切れなかった。
そして、最大の要因が初めてエース区間の4区を任された小山の「クレバーな走り」(小川監督)だ。入社4年目の小山は「自分の力で4区は厳しい」と思ったそうだが、小川監督は「伊藤の代役」ではなく、「去年優勝した直後から次の4区は小山と決めていた」と打ち明ける。
「その時、小山はマラソン出場を決めていましたからね。やっぱり4区はマラソン選手が務めるべきですよ」。小山は昨年3月の東京でマラソンに初挑戦し、2時間8分59秒(22位)で走っている。
3区の川瀬翔矢から先頭と25秒差の3位でタスキを受けた小山は序盤、後続のチームに追いつかれ、先行を許す場面も。
「不安もあったんですけど、自分の力だけでは厳しいと思ったので、相手の力を利用して走ろうと思ったんです」
そうしているうちにだんだんと走れてきて、中間点では2位グループに。さらに小山は単独で先頭の三菱重工・井上大仁を追い始め、18.4km付近でついにトップに立った。高林交差点を左折してからの強い向かい風が吹く難所では、井上を従えて小山が先頭。いったん井上が意地のスパートを見せて首位を奪い返す場面もあったが、5区への中継点では小山が12秒先着した。
「5区の絶対的なエース・青木でトップに立つ、とミーティングでも話したんですが、小山が予想以上のがんばりを見せてくれて」とうれしい誤算に頬が緩む小川監督は、「賢いレースをしてくれました」と小山の走りを称える。2週間前にコースを試走した小山は4区の攻略法をイメージし、「22kmのトータルで勝負すればいい」と腹を括った。
ライバルチームがちょっとしたミスをする中で、Hondaはエースを1枚欠いても最後まで流れを途切れさせなかった。「これで達彦が戻ってくれば黄金時代が築けます」と笑顔で話す青木。確かに、3連覇への道も見えてくる。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
-
2025.02.22
-
2025.02.22
-
2025.02.21
-
2025.02.21
2025.02.17
日本郵政グループ女子陸上部 「駅伝日本一」へのチームづくりとコンディショニング
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.22
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.26
-
2025.01.31
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2月21日、米国ペンシルベニア州カレッジステーションでペンシルベニア州立大の学内学内競技会が同校の室内競技場(1周200m)で行われ、男子800mで石井優吉(ペンシルベニア州立大)が1分46秒41のショートラック日本記録 […]
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
◇大阪マラソン2025(2月24日/大阪・大阪府庁前スタート・大阪城公園フィニッシュ) 大阪マラソンの主催者は2月22日、招待選手の西山雄介(トヨタ自動車)がコンディション不良により欠場することを発表した。 西山は22年 […]
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
2月22日、京都市の京産大総合グラウンド競技場で第11回京都陸協記録会が行われ、一般規格の男子ハンマー投でアツオビン・アンドリュウ(花園高3京都)が高校歴代2位となる61m59をマークした。 アツオビンは昨年のU20日本 […]
2025.02.22
円盤投・堤雄司が自己2番目の61m76でV 女子100mH青木益未は13秒04 福田翔太、郡菜々佳も優勝/WAコンチネンタルツアー
世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ブロンズラベルのインターナショナル・トラック・ミート2025が2月22日、ニュージーランドのクライストチャーチで行われ、男子円盤投で堤雄司(ALSOK群馬)が61m76のセカンドベス […]
2025.02.22
「インターハイでも勝ちたい」高校2年の栗村凌がU20男子を制す 女子は真柴愛里が貫禄/日本選手権クロカン
◇第40回U20日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) U20日本選手権クロスカントリーが行われ、男子(8km)では栗村凌(学法石川高2福島)が23分20秒で優勝を果たした。 今年も全国から有力 […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝