2022.12.28
箱根駅伝Stories
新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。
青学大の「黄金世代」と称される4年生世代。その中心となって引っ張ってきたのが近藤幸太郎と岸本大紀だ。連覇へ、2人の存在は欠かせない。
苦楽をともにしてきた2人に、4年間の振り返りと箱根駅伝に向けた意気込みを語り合ってもらった。
お互い4年目は故障に苦しむ
3年時の箱根では近藤がエース区間の2区(区間7位)、故障上がりだった岸本が7区区間賞で2年ぶり総合優勝に貢献した。
今季はこれまで故障とは無縁だった近藤が箱根後に故障して前期シーズンを全休し、代わって岸本が大活躍。秋になると近藤が復活し、代わりに岸本が脚を痛めて出遅れた。
――今では青学大を背負って立つ2人ですが、大学入学までに接点はありましたか。
近藤 高校時代まではまったく接点ないよね?
岸本 当時の僕は陸上競技にまったく興味がなかったから(笑)。誰が一緒に走っているとか、誰が青学大に入るとか、全然知らなかったし、考えてもいなかった。
――青学大に入ってからは岸本選手が1年目から三大駅伝にフル出場。箱根ではいきなり花の2区で先頭に立つ快走を見せました。
近藤 岸本のことをずっと目標にしてきましたし、今でも背中を追いかけています。
岸本 いや、何を言ってんの(笑)。僕は周りから認められるような努力をしていないし、真面目な人間ではないよ。幸太郎は1年目からコツコツと練習を続けてきて、それが今の強さにつながっている。僕は故障が多くて練習を継続する難しさを痛感しているので、それを体現している幸太郎はすごいよ。
近藤 そんなことないよ。やっぱり1年目から、この学年の中心はずっと岸本なんだから。だから、今季のトラックでの活躍は素直にうれしかったな。これまでトラックでなかなか走ることができなかったけど、かなり調子が良さそうだったね。逆に、僕が結果でチームを引っ張らないといけなかったんだけど、それができなかったふがいなさを感じていたよ。
岸本 幸太郎も、主将の宮坂(大器)も故障していたから、自分が盛り上げていかないといけないと思っていたんだ。関東インカレもチームの代表になって、(2部)10000mで日本人トップ(2位)も取れた。5000mでも13分40秒を切れて、駅伝シーズンが楽しみだなと感じていたトラックシーズンだった。でも、1次合宿の後半に脚がちょっと気になり始めて……。2次合宿1回目のポイント練習が終わってから痛みが出て、翌日からノーランニングだった。
近藤 それまで本当に状態が良かった分、もったいなかったね。自分自身は9月の日本インカレで久しぶりに良い走り(5000mで2連覇)ができた。自分が走れるようになってきたから「エース」と呼ばれる重圧や負担になる部分を分け合えればと思っていたんだけど……。
岸本 原因不明の痛みで、走れるようになっても痛みが出る繰り返し。ラストイヤーだからうまくごまかしながらやっていたけど、さすがに精神的につらかった時期もあった。
近藤 故障を乗り越えると、精神的な成長につながるし、僕は新しい自分に出会えたという自信になったよ。
岸本 やっぱり幸太郎の復活は大きい。大エースがいるのはチームにとっても頼もしいよ。
次のページ 良いライバル心を持ち続けて高め合ってきた
お互い4年目は故障に苦しむ
3年時の箱根では近藤がエース区間の2区(区間7位)、故障上がりだった岸本が7区区間賞で2年ぶり総合優勝に貢献した。 今季はこれまで故障とは無縁だった近藤が箱根後に故障して前期シーズンを全休し、代わって岸本が大活躍。秋になると近藤が復活し、代わりに岸本が脚を痛めて出遅れた。 ――今では青学大を背負って立つ2人ですが、大学入学までに接点はありましたか。 近藤 高校時代まではまったく接点ないよね? 岸本 当時の僕は陸上競技にまったく興味がなかったから(笑)。誰が一緒に走っているとか、誰が青学大に入るとか、全然知らなかったし、考えてもいなかった。 ――青学大に入ってからは岸本選手が1年目から三大駅伝にフル出場。箱根ではいきなり花の2区で先頭に立つ快走を見せました。 近藤 岸本のことをずっと目標にしてきましたし、今でも背中を追いかけています。 岸本 いや、何を言ってんの(笑)。僕は周りから認められるような努力をしていないし、真面目な人間ではないよ。幸太郎は1年目からコツコツと練習を続けてきて、それが今の強さにつながっている。僕は故障が多くて練習を継続する難しさを痛感しているので、それを体現している幸太郎はすごいよ。 近藤 そんなことないよ。やっぱり1年目から、この学年の中心はずっと岸本なんだから。だから、今季のトラックでの活躍は素直にうれしかったな。これまでトラックでなかなか走ることができなかったけど、かなり調子が良さそうだったね。逆に、僕が結果でチームを引っ張らないといけなかったんだけど、それができなかったふがいなさを感じていたよ。 岸本 幸太郎も、主将の宮坂(大器)も故障していたから、自分が盛り上げていかないといけないと思っていたんだ。関東インカレもチームの代表になって、(2部)10000mで日本人トップ(2位)も取れた。5000mでも13分40秒を切れて、駅伝シーズンが楽しみだなと感じていたトラックシーズンだった。でも、1次合宿の後半に脚がちょっと気になり始めて……。2次合宿1回目のポイント練習が終わってから痛みが出て、翌日からノーランニングだった。 近藤 それまで本当に状態が良かった分、もったいなかったね。自分自身は9月の日本インカレで久しぶりに良い走り(5000mで2連覇)ができた。自分が走れるようになってきたから「エース」と呼ばれる重圧や負担になる部分を分け合えればと思っていたんだけど……。 岸本 原因不明の痛みで、走れるようになっても痛みが出る繰り返し。ラストイヤーだからうまくごまかしながらやっていたけど、さすがに精神的につらかった時期もあった。 近藤 故障を乗り越えると、精神的な成長につながるし、僕は新しい自分に出会えたという自信になったよ。 岸本 やっぱり幸太郎の復活は大きい。大エースがいるのはチームにとっても頼もしいよ。 次のページ 良いライバル心を持ち続けて高め合ってきた良いライバル心を持ち続けて高め合ってきた
岸本、近藤のほか、今季の4年生は中村唯翔、中倉啓敦、横田俊吾など、実力者がそろい「青学大史上最強世代」との呼び声が高い。 ――「黄金世代」と呼ばれた学年も最後の箱根駅伝を迎えます。4年間を振り返ってください。 近藤 みんな努力家だよね。入学してから誰1人辞めなかった。(原晋)監督もよく言っているけど、この世代は最初から強かったわけではなく、努力でコツコツと成長してきた選手が多いよね。 岸本 みんな努力家だし、負けず嫌いだから。箱根では全員が走れるわけではないけど、最後まで自分の存在意義を出してくれるはず。それが箱根メンバーにも良い影響をもたらしてくれると思う。 [caption id="attachment_89887" align="alignnone" width="800"]
花の2区を務めるのはどっち!?
箱根の2区といえば、“花の2区”と呼ばれるほどエースが担うことの多い区間だ。青学大では2020年に岸本、21年に中村、そして前回は近藤と、同じ世代の選手が3人も務めてきた。 ――ずばり、今回は誰が2区に入ると思いますか!? 岸本 今回は幸太郎の一択でしょ。やっぱり最後は田澤選手に勝つところを見たいし、彼を止められるとすれば幸太郎しかいないよ。 近藤 自分たちの世代は1年時の岸本の2区を見て、それを目指して成長してきた。僕はもう一度、岸本のあの走りを見たいなぁ……。 岸本 エース区間で勝負したい気持ちはあるけど、自分の現状を客観的に見た時に厳しい部分もあるかな。幸太郎が全日本であれだけの走りをして、次は田澤選手に勝ってくれると思うから、僕は復路あたりでどっしりと構えているよ。 近藤 正直、勝てる戦力はあると思っている。ここから上げていけるのがアオガクの強さだから。個人としては関わってきたすべての方々へ感謝の気持ちが伝わる熱い走りをしたい。最後は勝ちたいね。 岸本 箱根に向けて高まる緊張感に打ち勝ち、強くなっていくからこそ、本番で力を出せると思う。最後は「勝ち逃げ」して、笑って終わろうよ。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.21
編集部コラム「奥が深い」
2025.02.21
ひらまつ病院にニューイヤー駅伝3年連続出走の三田眞司が加入 「チームの最高順位に貢献」
2025.02.21
斎藤将也、不破聖衣来、菖蒲敦司らが欠場を発表/日本選手権クロカン
-
2025.02.21
-
2025.02.21
2025.02.17
日本郵政グループ女子陸上部 「駅伝日本一」へのチームづくりとコンディショニング
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.26
-
2025.01.31
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.21
編集部コラム「奥が深い」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
2025.02.21
ひらまつ病院にニューイヤー駅伝3年連続出走の三田眞司が加入 「チームの最高順位に貢献」
ひらまつ病院は2月16日付で、サンベルクスに所属していた三田眞司が加入したと発表した。 29歳の三田は神奈川県出身。光明学園相模原高では3年時に全国都道府県対抗男子駅伝4区9位と力走。国士大では3年時に全日本大学駅伝で3 […]
2025.02.21
斎藤将也、不破聖衣来、菖蒲敦司らが欠場を発表/日本選手権クロカン
福岡クロカン事務局は第108回日本選手権クロスカントリーの2月21日時点での欠場者リストを公開した。 男子では斎藤将也(城西大)や谷本昂士郎(順大)ら5人が新たに欠場を発表。女子は不破聖衣来、新井沙希(ともに拓大)、板井 […]
2025.02.21
国内唯一の室内100mに山縣亮太が登場 投てきは幸長慎一に注目 走幅跳8m40の台湾記録保持者参戦/JAG大崎
2025 Japan Athlete Games in Osakiが2月23日、鹿児島県大崎町のジャパンアスリートトレーニングセンター大隅で開催される。 この大会は2020年鹿児島国体がコロナ禍で中止(2023年に特別大 […]
2025.02.21
中央学大に全国高校駅伝出場の神吉惺翔ら、新たに5人が入学決定
2月20日、中央学大はSNSで今春入学の選手を発表した。1月にも13人の入学予定選手を発表していたが、新たに5人の合格が決まり、総勢18人の振優勢が入部する。 新たに発表された選手のうち、神吉惺翔(西脇工・兵庫)が昨年末 […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝