2022.12.27
箱根駅伝Stories
新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。
史上最年長ブランクとなる55年ぶりの箱根駅伝出場を決めた立教大学。予選会でチーム内トップとなったのはルーキーだった。
1年生ながら予選会チームトップ
箱根駅伝予選会の15km過ぎ。本戦への命運を握る第3グループから颯爽と飛び出した1年生がいた。國安広人、半世紀超えの復活劇を演じた立教大の立役者だ。
上野裕一郎駅伝監督は「15km通過45分」を選手たちに意識づけし、このテーマに、各選手が様々なアプローチを試みた。その中で國安は、5km14分56秒、10km29分45秒と“貯金”を作っていく。
「思いのほか先頭(日本人トップ)が速くなかったので、見える位置でレースを進めることができました。途中できつくなった場面もありましたが、そこを乗り越えて、(後半の勝負どころになる)公園内へ力を溜めることができました」。肝心の15kmを44分52秒で通過して見せた。
そこで終わらず、國安は次のステップを踏んだ。追走していた集団の中から、果敢な飛び出しを見せたのだ。他校の主力を張る上級生を引き連れて。
「この先まだ5km残っている。まだ何があるかわかりませんから」と國安。この未知の5kmへの備え方として、慎重になるのでなく、積極策を選んだ。
「下り坂に入るタイミングで、集団のペースが落ちていた感覚がありました。自分自身の余裕度ですか? 結構いっぱいいっぱいでしたね」
その後、他校のエース級選手の巻き返しに遭いながらも、堂々たる競り合いを演じて個人21位(1時間3分13秒)。1年生ながらチームトップの成績で、本戦出場に大きく貢献した。
次のページ 「4年生を箱根に連れていきたい」
1年生ながら予選会チームトップ
箱根駅伝予選会の15km過ぎ。本戦への命運を握る第3グループから颯爽と飛び出した1年生がいた。國安広人、半世紀超えの復活劇を演じた立教大の立役者だ。 上野裕一郎駅伝監督は「15km通過45分」を選手たちに意識づけし、このテーマに、各選手が様々なアプローチを試みた。その中で國安は、5km14分56秒、10km29分45秒と“貯金”を作っていく。 「思いのほか先頭(日本人トップ)が速くなかったので、見える位置でレースを進めることができました。途中できつくなった場面もありましたが、そこを乗り越えて、(後半の勝負どころになる)公園内へ力を溜めることができました」。肝心の15kmを44分52秒で通過して見せた。 そこで終わらず、國安は次のステップを踏んだ。追走していた集団の中から、果敢な飛び出しを見せたのだ。他校の主力を張る上級生を引き連れて。 「この先まだ5km残っている。まだ何があるかわかりませんから」と國安。この未知の5kmへの備え方として、慎重になるのでなく、積極策を選んだ。 「下り坂に入るタイミングで、集団のペースが落ちていた感覚がありました。自分自身の余裕度ですか? 結構いっぱいいっぱいでしたね」 その後、他校のエース級選手の巻き返しに遭いながらも、堂々たる競り合いを演じて個人21位(1時間3分13秒)。1年生ながらチームトップの成績で、本戦出場に大きく貢献した。 次のページ 「4年生を箱根に連れていきたい」「4年生を箱根に連れていきたい」
55年ぶり出場の一員になる――。國安の気持ちはそこ一点に集約されていた。 「ブランクを乗り越えて箱根駅伝に出たいと思って入学しました。チームの目標は僕たちが2年時(100回大会)での本戦出場でしたが、1年時から出て、4年間すべて出るんだと思っていました」。 また、國安の箱根への思いはそれだけではなかった。 「4年生を箱根に連れていきたいという思いがありました。入学して間もない右も左もわからない頃、丁寧に一から教えてくれて、サポートしてくれたのが4年生。チームの雰囲気を作ってくれました」 一選手として上昇をつかんだきっかけは、夏合宿にあった。「高校時代から距離を踏んではいましたが、大学では比べ物にならない距離を踏みました。ケガもなく、ほぼ100%消化できました」。 [caption id="attachment_89810" align="alignnone" width="800"] 予選会ではチーム内トップの快走で55年ぶり本戦出場の立役者となった[/caption] 小学6年生の時にちびっ子マラソン大会で6位に入った時、周りは陸上クラブ所属の選手ばかりだった。小学校時代にやっていた水泳は心肺機能の自然な成長に役立ったが、「陸上が向いているんじゃないか」と、兵庫・大久保中入学とともに陸上部へ。須磨学園高時代には全国高校駅伝(6区12位)に出場した。 長い距離への適応力に優れる國安は、本戦も重要区間に起用される見込みだ。「これからもう一度強化して、距離に対応していきます。本戦は任された区間を、チームのために全力でがんばりたいです」。 55年ぶりの立教大が、1年生の國安が、箱根駅伝に新風を吹き入れる。 くにやす・ひろと/2003年9月26日生まれ。兵庫県明石市出身。170cm・56kg。兵庫・大久保中→須磨学園高。5000m14分03秒05、10000m28分53秒80、ハーフ1時間3分13秒 文/奥村 崇
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.16
2025.01.12
【テキスト速報】第43回都道府県対抗女子駅伝
-
2025.01.14
-
2025.01.12
-
2025.01.15
2024.12.22
早大に鈴木琉胤、佐々木哲の都大路区間賞2人が来春入学!女子100mH谷中、松田ら推薦合格
-
2024.12.22
-
2024.12.30
-
2025.01.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.01.17
西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録
1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
2025.01.17
中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝
◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]
2025.01.17
栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表
日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]
2025.01.17
東京世界陸上のチケット一般販売が1月31日からスタート!すでに23万枚が販売、新たな席種も追加
東京2025世界陸上財団は、今年9月に開催される東京世界選手権の観戦チケットの一般販売を1月31日(金)の18時から開始すると発表した。 昨夏に先行販売が始まり、年末年始にも特別販売を実施。すでに23万枚を販売し売れ行き […]
Latest Issue 最新号
2025年2月号 (1月14日発売)
駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝