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2022.12.26

箱根駅伝Stories/山梨学大の成長株 北村惇生 小柄な身体に宿る芯の強さ
箱根駅伝Stories/山梨学大の成長株 北村惇生 小柄な身体に宿る芯の強さ

山梨学大の主力に成長した3年生の北村惇生

11月には10000mで28分41秒90の自己新

その後、11月12日に日体大競技会10000m最終組に出場。トップが27分27秒51、同僚のボニフェス・ムルア(4年)が27分43秒60を出すなどしたこの組は、序盤が超高速。物怖じせず突っ込み、そのうえで集団が崩れた中盤は持続可能なペースに立て直した。終盤には粘り強さを発揮し、28分41秒90の自己新にまとめた。

「予選会で自己ベストを2分縮め、自分の調子の良さを実感できた。それをトラックに反映させるかたちで、力を証明できたのではないでしょうか」

予選会がフロックでないことを示したばかりか、同じ組で28分36秒42とした木山と並び、今やチームの両翼である。

予選会ではチーム内日本人1位と快走。一躍中軸を担う存在となった

元来は先頭に飛び出していくタイプで、他人の後ろで走るのは苦手だった。「控えるレース」は大学で経験を重ねながら覚えていったクチ。他人のペースに左右されない走りは、本戦の舞台でこそ生かされそうだ。

古豪・世羅高在籍時には、高2にしてレギュラーをつかんだ。この年に出した5000m14分22秒55は今も自己記録。「燃え尽き(症候群)に近い状態」(北村)だった高3シーズンを耐え抜いた経験もある。

「自由が利き、自分の考えで取り組めます」と、山梨学大の環境が北村の力を花開かせた。フォームを研究するためにインターネットで情報を集め、「複数の情報にも『共通しているところ』があり、これが大事なんだとわかります」(北村)。また、「学びたいことがある」と、経営学部での学業も熱心だ。

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「予選会の自分の走りに、意外と反響があったんです。アスリートとして、人に何かを与えられる存在に近づいているだと感じます」。

アスリートの影響力とその自覚。160cm、49kgの小柄な身体には、芯の強さが宿っている。

きたむら・すなお/2001年11月12日生まれ。広島県東広島市出身。160cm・49kg。広島・松賀中→世羅高。5000m14分22秒55、10000m28分41秒90、ハーフ1時間3分07秒

文/奥村 崇

箱根駅伝Stories 新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。 山梨学大に頼もしい選手が浮上してきた。10月の箱根駅伝予選会でチーム内日本人トップの走りを見せた北村惇生(3年)だ。いまだ箱根駅伝の出走経験はなし。初の箱根路ではチームの主力として挑むことになりそうだ。

大学3年目に覚醒

大学3年となった2022年度、北村惇生(3年)は充実の時を迎えている。 前回の箱根駅伝本戦では復路の準備していたものの、他の選手とわずかの差で出走がかなわなかった。ただ、1年時の初10000mで29分39秒16、2年時の11月に29分24秒38と着実な歩み。 「ビジョンが見えてきて、目標にしていた28分台も、次の年には出せると自信になりました」と、来たる快走連発の2022年へ、足がかりをつかんでいた。 28分台突入を果たしたのが今年7月。関東学生網走夏季記録挑戦会で28分56秒80をマークした。「あの時点で29分台前半の力はあるのかなと臨んで28分台。喜びより驚きが勝りました」と振り返る。 夏の強化期間をはさんで、迎えた予選会。山梨学大はジェームス・ムトゥク(1年)、木山達哉(4年)が先行。次に控えるグループで、北村は安定したペースを刻んだ。 「意識して刻んだペースではないので、結果的に安定したペースになったことは驚いています。10km過ぎに体感的に『遅いのではないか』と思い、(グループから)抜け出しました。前にいる選手を伝っていくようにして、うまく風よけにしながら走りました」 一気にではなく、1人ずつ着実に抜いていった。当時の自己ベストは1時間5分台だったが、日々のトレーニングで自身も驚くほどスタミナがついていた。 最後はチームメイトの木山もかわして、チーム2番目、日本人ではトップの1時間3分07秒(18位)でフィニッシュした。チームは8月に新型コロナ感染症の影響で一時活動を停止しており、その影響で準備不足だった1人。フルモードで出し切っていない面もある。 次のページ 11月には10000mで28分41秒90の自己新

11月には10000mで28分41秒90の自己新

その後、11月12日に日体大競技会10000m最終組に出場。トップが27分27秒51、同僚のボニフェス・ムルア(4年)が27分43秒60を出すなどしたこの組は、序盤が超高速。物怖じせず突っ込み、そのうえで集団が崩れた中盤は持続可能なペースに立て直した。終盤には粘り強さを発揮し、28分41秒90の自己新にまとめた。 「予選会で自己ベストを2分縮め、自分の調子の良さを実感できた。それをトラックに反映させるかたちで、力を証明できたのではないでしょうか」 予選会がフロックでないことを示したばかりか、同じ組で28分36秒42とした木山と並び、今やチームの両翼である。 [caption id="attachment_89716" align="alignnone" width="800"] 予選会ではチーム内日本人1位と快走。一躍中軸を担う存在となった[/caption] 元来は先頭に飛び出していくタイプで、他人の後ろで走るのは苦手だった。「控えるレース」は大学で経験を重ねながら覚えていったクチ。他人のペースに左右されない走りは、本戦の舞台でこそ生かされそうだ。 古豪・世羅高在籍時には、高2にしてレギュラーをつかんだ。この年に出した5000m14分22秒55は今も自己記録。「燃え尽き(症候群)に近い状態」(北村)だった高3シーズンを耐え抜いた経験もある。 「自由が利き、自分の考えで取り組めます」と、山梨学大の環境が北村の力を花開かせた。フォームを研究するためにインターネットで情報を集め、「複数の情報にも『共通しているところ』があり、これが大事なんだとわかります」(北村)。また、「学びたいことがある」と、経営学部での学業も熱心だ。 「予選会の自分の走りに、意外と反響があったんです。アスリートとして、人に何かを与えられる存在に近づいているだと感じます」。 アスリートの影響力とその自覚。160cm、49kgの小柄な身体には、芯の強さが宿っている。 きたむら・すなお/2001年11月12日生まれ。広島県東広島市出身。160cm・49kg。広島・松賀中→世羅高。5000m14分22秒55、10000m28分41秒90、ハーフ1時間3分07秒 文/奥村 崇

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