2022.12.26
◇全国高校駅伝・女子(12月25日/京都・たけびしスタジアム京都発着5区間21.0975km)
第34回大会の女子は、16年連続16回目の出場となる長野東(長野)が1時間7分37秒で初優勝を飾った。
2017、18年と2年連続の2位が過去最高順位。あと一歩届かなった悲願の頂点を持ち前のチーム力でつかみ歴史の扉を開いた。まさに部員14人全員でつかんだ無欲の勝利だった。
今回の目標はメダル獲得だった。「チャレンジ」をテーマに、1年前から布陣を変更。1区は前回3位と好走した村岡美玖(3年)ではなく、2区を務めた名和夏乃子(2年)が務めた。「前日に1区を言われて緊張しました」と話すも、インターハイ1500m8位の実績を持ち、堂々のレース。チームの期待に応える力走でトップの薫英女学院(大阪)から6秒差の区間4位で流れを作った。
「思い描いた通りのレースになりました。2、3区も選手が役割以上のレースをしました」と横打史雄監督が話すように、2区では、ルーキーの窪田舞が粘りの走り。留学生のデイシー・ジェロップ(1年)を起用してトップに立った前回覇者・仙台育英(宮城)には13秒差がついたが、順位を2位に押し上げた。
3区と4区は3年連続となる仁科玲美と佐藤愁花の3年生2人を配置。3区の仁科は喘息が悪化し、ギリギリまでメンバーに入れるかわからない状態だったものの、大会2週間前にようやく回復。「もし抜かれても、差をキープすることを意識して走りました」。区間賞を獲得した立命館宇治(京都)・細谷愛子(3年)にかわされて順位を1つ落としたものの区間3位。先頭・仙台育英とのビハインドを17秒で抑えた。
これが、結果的に逆転Vを引き寄せる大きな要因となった。4区の佐藤は、「前回は区間9位と悔しい思いをしたので、今回は強みのスピードを生かして、笑顔で美玖にタスキを渡すことだけを考えました」と前を猛追。区間賞の快走で、立命館宇治を抜き返し、2連覇を目指して逃げる仙台育英との差を4秒詰めた。アンカーの村岡には、約束通り笑顔でタスキをつないだ。
「後ろから留学生(神村学園・鹿児島)が来ると思っていたのでとにかく前へ前へ、1秒でも差を広げるつもりでゴールテープを目指して走りました」と村岡。2.7km付近で仙台育英を捕らえると、一気に突き放し勝負を決めた。
県勢女子初となる優勝テープを切った村岡は、「メダルが目標だったので優勝はビックリ。トラックに入った時は、これまでに味わったことのない感覚でした。ここまで支えてくださった方々に走りで感謝を伝えることができてうれしいです」と喜びを爆発させた。
OGには、昨年の東京五輪や今年のオレゴン世界選手権に出場した萩谷楓(エディオン)をはじめ、細田あい(エディオン)、和田有菜(日本郵政グループ)、小林成美(名城大)といった現在も活躍する選手がいたものの、これまで栄冠には届かなかった。2度のV経験を持つ男子の佐久長聖、8度のVを誇る1月の全国都道府県対抗男子駅伝と併せて、“駅伝どころ”長野をよりいっそう印象づける、魂のタスキリレーだった。
今大会前には、スピードスケートで18年平昌五輪女子500m金メダリストの小平奈緒さんと交流する機会があり、世界と戦ってきた経験談などを聞いたという。「小平さんとの交流もそうですが、地域の人々の応援、支えがあってこそ。これからも地元、地域に愛される、応援してもらえるチームであり続けたい」と横打監督。その思いは1区の名和、2区の窪田ら下級生に受け継がれることとなる。
5区途中まで先行した仙台育英は1時間7分51秒で2位。3位はアンカーのカリバ・カロライン(2年)が区間賞で4人抜きを見せた神村学園(鹿児島)が1時間8分03秒で続き、9秒差の4位には立命館宇治(京都)が入った。
文/花木 雫
次のページに女子の上位成績と区間賞
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.16
2025.01.12
【テキスト速報】第43回都道府県対抗女子駅伝
-
2025.01.14
-
2025.01.12
-
2025.01.15
2024.12.22
早大に鈴木琉胤、佐々木哲の都大路区間賞2人が来春入学!女子100mH谷中、松田ら推薦合格
-
2024.12.22
-
2024.12.30
-
2025.01.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.01.17
西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録
1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
2025.01.17
中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝
◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]
2025.01.17
栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表
日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]
2025.01.17
東京世界陸上のチケット一般販売が1月31日からスタート!すでに23万枚が販売、新たな席種も追加
東京2025世界陸上財団は、今年9月に開催される東京世界選手権の観戦チケットの一般販売を1月31日(金)の18時から開始すると発表した。 昨夏に先行販売が始まり、年末年始にも特別販売を実施。すでに23万枚を販売し売れ行き […]
Latest Issue 最新号
2025年2月号 (1月14日発売)
駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝