HOME 高校

2022.12.26

佐久長聖・吉岡大翔、最後の都大路で歴史刻む3区日本人最高をマーク「陸上人生の一つのステップアップ」/全国高校駅伝・男子

タスキを受けて走り出す佐久長聖の吉岡大翔

◇全国高校駅伝・男子(12月25日/京都・たけびしスタジアム京都発着7区間42.195km)

全国高校駅伝の男子(第73回)が行われ、5000mで13分22秒99の高校記録を持つ佐久長聖(長野)の吉岡大翔(3年)が最後の都大路に登場した。

1区へのリベンジという思いもありつつ、吉岡はエースが集う1区ではなく3区へ。留学生と真っ向から対峙することを選んだ。

高見澤勝監督は「速いけど余裕のあるペースで入ろうと伝えていた」と言うように1km2分34秒で入るも「彼にとっては無理なペースではなかった」(高見澤監督)。22分50秒くらいを目標にしていたという。

1kmでトップに立つも、4km手前で倉敷(岡山)のサムエル・キバティ(2年)にかわされた。その後は「一気に抜かれるのはわかっていたので、じわじわ追いついていこうと思いました」と、差を広げまいと粘る。「ラップがビックリするくらい落ちて焦りましたが、粘れば追いつける」とあきらめなかった。

区間新で走ったキバティから区間記録で21秒差の区間2位。それ以外の留学生には負けなかった。昨年、佐藤圭汰(洛南、現・駒大)が作った日本人最高となる23分10秒を大きく上回って歴史を動かしたが、「佐藤さんの記録ではなく、留学生に歯が立たなかったことが悔しい。1、2区といい位置でつないでくれたのでトップでつなぐだけだと思っていました。力の差を感じます」と唇を噛む。

バスから降りた時には大きな拍手が送られ涙ながらに挨拶。そして仲間と合流して「申し訳ない」と涙ぐみ。ただ、すぐにテントの片付けに加わる姿勢もまた、吉岡の強さを物語る。

最後の都大路は涙。それでも陸上人生はまだまだ続く。卒業後は順大に進む。高見澤監督は「将来は世界で戦える選手になってほしいからこそ、留学生と競り合いを経験するために3区を任せましたし、インターハイではなくU20世界選手権へ行きました。世界のレベルを見据えていってほしい」と将来へ期待を寄せる。

「高校としては集大成ですが、陸上人生においては一つの駅伝大会で、一つのステップアップの大会。留学生との差を感じられたので、今度どれだけ詰めていけるかがテーマ」

この悔しさは、吉岡が世界へと飛翔するための大きな財産になる。

[caption id="attachment_89657" align="alignnone" width="2286"] タスキを受けて走り出す佐久長聖の吉岡大翔[/caption] ◇全国高校駅伝・男子(12月25日/京都・たけびしスタジアム京都発着7区間42.195km) 全国高校駅伝の男子(第73回)が行われ、5000mで13分22秒99の高校記録を持つ佐久長聖(長野)の吉岡大翔(3年)が最後の都大路に登場した。 1区へのリベンジという思いもありつつ、吉岡はエースが集う1区ではなく3区へ。留学生と真っ向から対峙することを選んだ。 高見澤勝監督は「速いけど余裕のあるペースで入ろうと伝えていた」と言うように1km2分34秒で入るも「彼にとっては無理なペースではなかった」(高見澤監督)。22分50秒くらいを目標にしていたという。 1kmでトップに立つも、4km手前で倉敷(岡山)のサムエル・キバティ(2年)にかわされた。その後は「一気に抜かれるのはわかっていたので、じわじわ追いついていこうと思いました」と、差を広げまいと粘る。「ラップがビックリするくらい落ちて焦りましたが、粘れば追いつける」とあきらめなかった。 区間新で走ったキバティから区間記録で21秒差の区間2位。それ以外の留学生には負けなかった。昨年、佐藤圭汰(洛南、現・駒大)が作った日本人最高となる23分10秒を大きく上回って歴史を動かしたが、「佐藤さんの記録ではなく、留学生に歯が立たなかったことが悔しい。1、2区といい位置でつないでくれたのでトップでつなぐだけだと思っていました。力の差を感じます」と唇を噛む。 バスから降りた時には大きな拍手が送られ涙ながらに挨拶。そして仲間と合流して「申し訳ない」と涙ぐみ。ただ、すぐにテントの片付けに加わる姿勢もまた、吉岡の強さを物語る。 最後の都大路は涙。それでも陸上人生はまだまだ続く。卒業後は順大に進む。高見澤監督は「将来は世界で戦える選手になってほしいからこそ、留学生と競り合いを経験するために3区を任せましたし、インターハイではなくU20世界選手権へ行きました。世界のレベルを見据えていってほしい」と将来へ期待を寄せる。 「高校としては集大成ですが、陸上人生においては一つの駅伝大会で、一つのステップアップの大会。留学生との差を感じられたので、今度どれだけ詰めていけるかがテーマ」 この悔しさは、吉岡が世界へと飛翔するための大きな財産になる。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.11.22

田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設

来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]

NEWS 早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結

2024.11.21

早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結

11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]

NEWS 立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

2024.11.21

立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]

NEWS M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」

2024.11.20

M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」

神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]

NEWS 第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑

2024.11.20

第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑

・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top