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2022.12.22

箱根駅伝Stories/紫紺を背負う児玉真輝 3度目の挑戦は花の2区で「他校のエースと勝負」
箱根駅伝Stories/紫紺を背負う児玉真輝 3度目の挑戦は花の2区で「他校のエースと勝負」

明大の主力を担う児玉真輝

2区を走るための具体的なイメージとは?

5月の関東インカレは1部10000mで4位に食い込み、10月の箱根予選会は個人11位(1時間2分43秒)。11月の全日本は前年と同じ2区で4人抜きを見せて1年前のタイムを13秒上回った。

「今季は病気や故障もなく、継続した練習ができています。関東インカレ10000mで4番になれたのが収穫ですし、箱根予選会と全日本も昨年より確実にレベルアップしている実感があります」

『3度目の正直』に向けて、児玉は1年前から戦うイメージを膨らませてきた。目指すは地元を走る花の2区での活躍だ。

「家が戸塚中継所の近くなので、ずっと2区を走りたい気持ちがありました。今年の箱根が終わった後、1時間7分切りという目標を立てたんです。コースの近くは何度も走っているので有利だと思います」

明確なコース攻略法があるという。「自分の理想の展開は今年の全日本です。いい位置で渡してもらって、集団でレースを進めることができれば、終盤3kmの上り坂で勝負できるんじゃないかなと思っています」。

前回は3区を走った明大の児玉真輝

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10kmまでは「28分20~30秒くらいで余裕を持って通過」し、そこからは「1km2分55秒で押し切りたい」。そんために、前回の箱根が終わってからは、「2分50秒ちょっとのペースで余裕を持って10kmを通過できるようなイメージを抱いて練習してきました」。準備は十分。最後の苦しい3kmの上り坂も「体重が軽いので、自分のリズムで上っていけると思います」と苦にしない。

エースだという自覚はないという。それでも、「自分が明治の主力であることは確かですし、2区を任されたら、他校のエースと互角以上に戦わないといけないと思っています」と力強い。

正月決戦が終わる頃、児玉真輝は“明治のエース”と呼ばれている存在になっているかもしれない。

こだま・まさき/2002年1月3日生まれ。神奈川県横浜市出身。163cm・48km。神奈川・領家中→鎌倉学園高→明大。5000m13分47秒10、10000m28分22秒27、ハーフ1時間2分43秒

文/酒井政人

箱根駅伝Stories 新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。 予選会を2位で通過し、64回目の本戦出場を果たした明大。その中軸を担っているのが児玉真輝(3年)だ。“地元”出身選手として臨む3度目の箱根路でどんな走りを見せるだろうか。

中学時代は走幅跳がメイン

箱根駅伝はコースの8割以上が神奈川県。“地元選手”にとって特別な大会として捉える選手も多い。丹所健(東京国際大4)、内田隼太(法大4)らと同じく、地元で快走を誓っているのが横浜育ちの児玉だ。 中学から陸上部の児玉。「球技は苦手だけど、走るのは嫌いじゃなかった」という理由で入部したという。おもしろいことに当初の専門種目は走幅跳だった。 「走るのが速くなかったので、スプリント種目は厳しい。かといって長距離も速くなかった。それなら走幅跳をやってみようと思ったんです」 小柄な児玉は中学3年時の夏まで走幅跳に取り組み、自己ベストは5m56。県大会には出場したが、「全然ダメでした」。一方、練習を重ねていくうちに、少しずつスタミナがついていた。 「部活内の1500mタイムトライアルの記録が年々上がっていき、3年時は4分30秒ちょっとでした。夏から本格的に長距離の練習を始めました」 元走幅跳選手は新たな才能を発揮。11月には3000mで8分47秒02をマークし、チームの一員として全中駅伝にも出場し、なんと全国2位になった。児玉は4区区間3位の好走で貢献している。 当然、高校からは「長距離をやるため」に鎌倉学園高に進学。2年時の南関東大会5000m(8位)でインターハイを逃して、「全国大会で戦いたい」という気持ちが強くなったという。その冬には同校が全国高校駅伝に初出場(16位)。児玉は1区を区間5位と好走している。 3年時は5000mでインターハイに出場(12位)すると、国体少年Aで5位入賞。12月には5000mで神奈川県高校記録となる13分54秒84をマークした。世代トップクラスのランナーとして名門・明大の門を叩く。 「チームの雰囲気と、自主性を重んじるところがいいなと思いました。高校時代、1学年上の内田さんはすごいスピードがあったので、なかなか勝てなかった。それでスピードを鍛えられる明治を選びました」 1年時から学生駅伝に参戦。全日本大学駅伝では1区5位と好走すると、10000m記録挑戦競技会で28分22秒27の自己ベスト。箱根駅伝は1区16位に終わったが、納得のルーキーイヤーになった。 「上級生になったときにケガなく練習が継続できるように、1年目はしっかりベースを作ろうと思っていたんです。箱根の結果は厳しかったですけど、まずまずのシーズンだったと思います」 だが、順風満帆だったはずの道に影が差す。2年時は5月に肺気胸で入院。6月末まで走れない日々が続いた。それでも夏から本格的な練習を再開して、全日本は2区区間2位。4人抜きを演じている。 「肺気胸からの復帰を考えると、箱根予選会(17位/1時間02分58秒)と全日本は結構良かったんですけど……」。またしても箱根は苦戦。3区区間14位に沈み、「箱根は納得した結果を残すことができませんでした」と振り返る。 その“悔しさ”を胸に児玉は今季さらなる進化を遂げることになる。 次ページ 2区を走るための具体的なイメージとは?

2区を走るための具体的なイメージとは?

5月の関東インカレは1部10000mで4位に食い込み、10月の箱根予選会は個人11位(1時間2分43秒)。11月の全日本は前年と同じ2区で4人抜きを見せて1年前のタイムを13秒上回った。 「今季は病気や故障もなく、継続した練習ができています。関東インカレ10000mで4番になれたのが収穫ですし、箱根予選会と全日本も昨年より確実にレベルアップしている実感があります」 『3度目の正直』に向けて、児玉は1年前から戦うイメージを膨らませてきた。目指すは地元を走る花の2区での活躍だ。 「家が戸塚中継所の近くなので、ずっと2区を走りたい気持ちがありました。今年の箱根が終わった後、1時間7分切りという目標を立てたんです。コースの近くは何度も走っているので有利だと思います」 明確なコース攻略法があるという。「自分の理想の展開は今年の全日本です。いい位置で渡してもらって、集団でレースを進めることができれば、終盤3kmの上り坂で勝負できるんじゃないかなと思っています」。 [caption id="attachment_89387" align="alignnone" width="800"] 前回は3区を走った明大の児玉真輝[/caption] 10kmまでは「28分20~30秒くらいで余裕を持って通過」し、そこからは「1km2分55秒で押し切りたい」。そんために、前回の箱根が終わってからは、「2分50秒ちょっとのペースで余裕を持って10kmを通過できるようなイメージを抱いて練習してきました」。準備は十分。最後の苦しい3kmの上り坂も「体重が軽いので、自分のリズムで上っていけると思います」と苦にしない。 エースだという自覚はないという。それでも、「自分が明治の主力であることは確かですし、2区を任されたら、他校のエースと互角以上に戦わないといけないと思っています」と力強い。 正月決戦が終わる頃、児玉真輝は“明治のエース”と呼ばれている存在になっているかもしれない。 こだま・まさき/2002年1月3日生まれ。神奈川県横浜市出身。163cm・48km。神奈川・領家中→鎌倉学園高→明大。5000m13分47秒10、10000m28分22秒27、ハーフ1時間2分43秒 文/酒井政人

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