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2022.12.20

今季の日本記録は4つ!100mHで歴史動く青木益未、福部真子で12秒7台に突入 オレゴンではリレー2種目で樹立
今季の日本記録は4つ!100mHで歴史動く青木益未、福部真子で12秒7台に突入 オレゴンではリレー2種目で樹立

100mHで12秒73の日本新をマークした福部真子

2022年も日本陸上界では多くの「快挙」が誕生した。

東京五輪の翌年となった今シーズン。五輪・世界選手権の実施種目における日本記録は4個。前回リオ五輪が行われた2016年の次の年(3個)と比較すると、数字だけを見ると東京五輪を終えて『平年並み』に戻ったと言えるかもしれない。やはりオリンピックに向けて記録の向上が見られることからも、ここからの2年でどれだけ日本記録が誕生するか見届けたい。

◇至近9年の日本記録数
2014年:4個
2015年:10個
2016年:3個
2017年:3個
2018年:8個
2019年:18個
2020年:6個
2021年:21個
2022年:4個

今年の日本記録はハードルとリレー。特筆すべきは女子100mハードルだろう。男子に負けず劣らず活況と全体の記録向上が見られる種目。今季は4月に青木益未(七十七銀行)が12秒86をマークして、昨年、青木自身と寺田明日香(ジャパンクリエイト)が作った12秒87(-0.2)の日本記録を0.01秒更新して「単独」の日本記録保持者となった。

それをさらに塗り替えたのが福部真子(日本建設工業)。青木とともにオレゴン世界選手権に初出場し、予選で12秒96(+0.5)をマークして準決勝に進出すると、大舞台でなんと12秒82(+0.9)を叩き出した。快走はそれだけにとどまらず、9月の全日本実業団対抗では12秒73。日本人初の12秒7台に突入し、来年のブダペスト世界選手権の参加標準記録(12秒78)も突破した。

寺田、青木、福部の共通点は中学・高校時代から圧倒的な活躍を見せ、インターハイでは1年生から勝っている点(青木は100m)。寺田と福部においては100mハードルでインターハイ3連覇を成し遂げている。それぞれ紆余曲折を経て活躍している姿は、「早熟」の一言で表現されがちな女子アスリートの励みや目標になっている。

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オレゴン世界選手権ではリレー種目で2つの日本記録が誕生した。男子4×400mリレーは決勝で2分59秒51のアジア新記録を打ち立てて4位入賞。2004年アテネ五輪に並ぶ過去最高順位だった。ここ数年取り組んできた、「攻めるレース」という強化策が大舞台で結実。それでも「メダルを取りたかった」と悔しがるメンバーが頼もしい。女子4×100mリレーは43秒33と、11年ぶりに日本記録を塗り替えた。個人でも切磋琢磨して好記録を生み出している兒玉芽生(ミズノ)と君嶋愛梨沙(土木管理総合)を筆頭に、女子スプリントの歴史を動かしていく。

記録面だけではなく、オレゴン世界選手権では男子20km競歩の山西利和(愛知製鋼)が日本初の世界選手権連覇を達成。さらに池田向希(旭化成)とのワンツーも日本初だった。女子やり投では北口榛花(JAL)が女子フィールド種目初メダルの3位。北口はダイヤモンドリーグでも2勝を挙げると、ファイナルでも3位に入る快挙を成し遂げた。ダイヤモンドリーグ・ファイナルでは3000m障害の三浦龍司(順大)も4位と歴史的なパフォーマンスを見せている。

陸上ファンのみなさんはどの「日本記録誕生」が印象に残っただろうか。来年のブダペスト世界選手権、そして2年後のパリ五輪に向けて、日本陸上界の勢いはさらに加速していくはずだ。

■2022年に誕生した日本記録
・男子
4×400mR 
日本 2分59秒51 7月24日/オレゴン世界選手権
(佐藤、川端、ウォルシュ、中島)
・女子
100mH
青木益未(七十七銀行) 12秒86 4月10日/北陸実業団
福部真子(日本建設工業)12秒82 7月24/オレゴン世界選手権
福部真子(日本建設工業)12秒73 9月25日/全日本実業団
4×100mR
日本 43秒33 7月22日/オレゴン世界選手権
(青木、君嶋、兒玉、御家瀬)

2022年も日本陸上界では多くの「快挙」が誕生した。 東京五輪の翌年となった今シーズン。五輪・世界選手権の実施種目における日本記録は4個。前回リオ五輪が行われた2016年の次の年(3個)と比較すると、数字だけを見ると東京五輪を終えて『平年並み』に戻ったと言えるかもしれない。やはりオリンピックに向けて記録の向上が見られることからも、ここからの2年でどれだけ日本記録が誕生するか見届けたい。 ◇至近9年の日本記録数 2014年:4個 2015年:10個 2016年:3個 2017年:3個 2018年:8個 2019年:18個 2020年:6個 2021年:21個 2022年:4個 今年の日本記録はハードルとリレー。特筆すべきは女子100mハードルだろう。男子に負けず劣らず活況と全体の記録向上が見られる種目。今季は4月に青木益未(七十七銀行)が12秒86をマークして、昨年、青木自身と寺田明日香(ジャパンクリエイト)が作った12秒87(-0.2)の日本記録を0.01秒更新して「単独」の日本記録保持者となった。 それをさらに塗り替えたのが福部真子(日本建設工業)。青木とともにオレゴン世界選手権に初出場し、予選で12秒96(+0.5)をマークして準決勝に進出すると、大舞台でなんと12秒82(+0.9)を叩き出した。快走はそれだけにとどまらず、9月の全日本実業団対抗では12秒73。日本人初の12秒7台に突入し、来年のブダペスト世界選手権の参加標準記録(12秒78)も突破した。 寺田、青木、福部の共通点は中学・高校時代から圧倒的な活躍を見せ、インターハイでは1年生から勝っている点(青木は100m)。寺田と福部においては100mハードルでインターハイ3連覇を成し遂げている。それぞれ紆余曲折を経て活躍している姿は、「早熟」の一言で表現されがちな女子アスリートの励みや目標になっている。 オレゴン世界選手権ではリレー種目で2つの日本記録が誕生した。男子4×400mリレーは決勝で2分59秒51のアジア新記録を打ち立てて4位入賞。2004年アテネ五輪に並ぶ過去最高順位だった。ここ数年取り組んできた、「攻めるレース」という強化策が大舞台で結実。それでも「メダルを取りたかった」と悔しがるメンバーが頼もしい。女子4×100mリレーは43秒33と、11年ぶりに日本記録を塗り替えた。個人でも切磋琢磨して好記録を生み出している兒玉芽生(ミズノ)と君嶋愛梨沙(土木管理総合)を筆頭に、女子スプリントの歴史を動かしていく。 記録面だけではなく、オレゴン世界選手権では男子20km競歩の山西利和(愛知製鋼)が日本初の世界選手権連覇を達成。さらに池田向希(旭化成)とのワンツーも日本初だった。女子やり投では北口榛花(JAL)が女子フィールド種目初メダルの3位。北口はダイヤモンドリーグでも2勝を挙げると、ファイナルでも3位に入る快挙を成し遂げた。ダイヤモンドリーグ・ファイナルでは3000m障害の三浦龍司(順大)も4位と歴史的なパフォーマンスを見せている。 陸上ファンのみなさんはどの「日本記録誕生」が印象に残っただろうか。来年のブダペスト世界選手権、そして2年後のパリ五輪に向けて、日本陸上界の勢いはさらに加速していくはずだ。 ■2022年に誕生した日本記録 ・男子 4×400mR  日本 2分59秒51 7月24日/オレゴン世界選手権 (佐藤、川端、ウォルシュ、中島) ・女子 100mH 青木益未(七十七銀行) 12秒86 4月10日/北陸実業団 福部真子(日本建設工業)12秒82 7月24/オレゴン世界選手権 福部真子(日本建設工業)12秒73 9月25日/全日本実業団 4×100mR 日本 43秒33 7月22日/オレゴン世界選手権 (青木、君嶋、兒玉、御家瀬)

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Revenge
泉谷駿介(住友電工)

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