2022.12.20
最後の箱根で輝きを放てるか
順当にいけば、伊豫田は3年連続での3区、四釜も昨年に続いての5区出走が濃厚。1学年下で前々回、前回と4区で好走している石井一希を含め、「3~5区は他校に対して勝負できる区間」と伊豫田は言う。
前回は大会前に調子が上がらず、本番でも「前半からオーバーペースで入ってしまい、後半粘り切ることができなかった」と反省する四釜も、「本来の走りをすれば1時間10分切りのポテンシャルは十分ある」と長門監督。その走りが実現すれば、一気に往路優勝の道も拓けてくる。
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5区で区間新を視野に入れる四釜峻佑
一方、西澤は全日本で6区区間新(区間2位)をマークして好調を維持する。今回は復路のキーマンとなりそうだ。野村は往路なら2区が有力だが、前回同様に復路の勝負区間に回ることも可能。前回1区で18位と伸び悩んだ平も、長門監督は「前回は調整段階でうまくいかなかった部分がある」と同じ轍を踏むつもりはない。一方で単独走で走れる力もあり、こちらもチーム状況次第で復路で力を発揮しそうだ。
チームの浮沈を握る4年生に対し、長門監督は「今季だけを見ると成長曲線は緩やかになっていますが、ベースがしっかりあって、着実に力はつけています。あとは持っている力をしっかり放出できるか。勝ちたい気持ちも強く持てるかだけです」と最後の箱根へ向け奮起を促す。
スピードスター・三浦が起爆剤
その4年生へつなぐ序盤のキーマンが三浦龍司(3年)だ。昨年の東京五輪3000m障害7位に入った逸材は、今季もトラックではオレゴン世界選手権出場、ダイヤモンドリーグ・ファイナル4位と世界の舞台で結果を残し、駅伝でも出雲2区区間新(2位)、全日本2区区間3位と序盤でしっかりと流れを作っている。
3度目の箱根路は1区か2区か。長門監督は「ゲームチェンジャーとまでは考えず、トラックでやってきた流れをそのまま生かせれば」と過度な要求をしない。ただ、三浦の快走が1つの起爆剤となることは間違いない。
学生長距離界屈指のスピードスターの勢いと、その流れをさらに加速させる“新時代のクインテット”。すべてが融合したとき、16年ぶりの歓喜が近づいてくる。
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16年ぶりの総合制覇へチームの雰囲気も良い
文/田中 葵
最強クインテットが再結成
これまで箱根駅伝総合優勝11回を誇る名門・順大の象徴“茄子紺”のユニフォームが16年ぶりの頂点を視界に捉えている。その中心が、長門俊介駅伝監督が「令和のクインテット」と呼ぶ4年生だ。 2000年度、順大は学生三大駅伝で史上2校目の「3冠」を達するなど、2000年前後、駒大との“紫紺対決”は学生駅伝界において群を抜く強さだった。その当時、チームの中核を担ったのが、今年のクイーンズ駅伝を制した資生堂監督の岩水嘉孝、昨年の同大会を制した積水化学監督の野口英盛、入船満(宮崎・日章学園監督)、奥田真一郎、坂井智則の5人。まさに順大の強さを象徴する「クインテット」だった。 そして、今季チームには再び力のある4年生が揃う。伊豫田達弥、野村優作、四釜峻佑、西澤侑真、平駿介。長門監督は「スーパーエースこそいませんが、全員がエース級」と信頼を置く面々だ。 なかでも伊豫田の存在感は大きい。10000mの自己記録は、今回のエントリーに入った日本人選手で8番目の28分06秒26。5月の関東インカレ1部でも同種目で優勝を飾っている。前回の箱根でも3区で歴代4位の1時間1分19秒で7人抜きを演じ、序盤で出遅れたチームのゲームチェンジャーとなっている。 今季は出雲3区区間8位、全日本7区区間6位と駅伝で本領発揮とはいかず、「エースとしての役割を遂行できていない」と反省するが、長門監督は、「特に全日本では『8区の四釜とセットでどう締めくくるか考えなさい』と伝えたなかで、後ろからハイペースできた近藤君(幸太郎/青学大)に積極的に挑んでいったのは、彼のエースとしての自覚が見えた」と評価している。 四釜は急成長を遂げた昨年度から出雲、全日本ではすべて最長区間のアンカーを任されるチーム随一のロードランナー。野村は2年生の頃からチームの主力として活躍し、前々回では2区を1時間8分05秒(区間10位)で走破。西澤も1年から3年連続で箱根を走っており、いずれも復路で〝いぶし銀〟の働きを見せている。下級生の頃は故障などで出遅れていたが、一番最後に台頭してきた平はムードメーカーでもあり、これまで三大駅伝で3度1区を担当する。それぞれ異なるタイプがそろい、駅伝主将を務める西澤も「特徴、個性が違うメンバーが互いを高め合って強くなってきた」と自負する。 次のページ 最後の箱根で輝きを放てるか最後の箱根で輝きを放てるか
順当にいけば、伊豫田は3年連続での3区、四釜も昨年に続いての5区出走が濃厚。1学年下で前々回、前回と4区で好走している石井一希を含め、「3~5区は他校に対して勝負できる区間」と伊豫田は言う。 前回は大会前に調子が上がらず、本番でも「前半からオーバーペースで入ってしまい、後半粘り切ることができなかった」と反省する四釜も、「本来の走りをすれば1時間10分切りのポテンシャルは十分ある」と長門監督。その走りが実現すれば、一気に往路優勝の道も拓けてくる。 [caption id="attachment_89172" align="alignnone" width="800"]
スピードスター・三浦が起爆剤
その4年生へつなぐ序盤のキーマンが三浦龍司(3年)だ。昨年の東京五輪3000m障害7位に入った逸材は、今季もトラックではオレゴン世界選手権出場、ダイヤモンドリーグ・ファイナル4位と世界の舞台で結果を残し、駅伝でも出雲2区区間新(2位)、全日本2区区間3位と序盤でしっかりと流れを作っている。 3度目の箱根路は1区か2区か。長門監督は「ゲームチェンジャーとまでは考えず、トラックでやってきた流れをそのまま生かせれば」と過度な要求をしない。ただ、三浦の快走が1つの起爆剤となることは間違いない。 学生長距離界屈指のスピードスターの勢いと、その流れをさらに加速させる“新時代のクインテット”。すべてが融合したとき、16年ぶりの歓喜が近づいてくる。 [caption id="attachment_89173" align="alignnone" width="800"]
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