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2020.04.17

編集部コラム「社会の一員としての役割」
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編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第38回「社会の一員としての役割(山本慎一郎)

本来であれば今頃は「東京五輪イヤーのトラックシーズンが開幕!」となっていたはずですが、五輪は2021年に延期になり、競技会は最低でも6月までは開催されないことが濃厚です。競技場が使えなくなったという話も耳にしますし、多くのアスリートがトレーニングやモチベーションの維持に苦労しているのではないかと思います。

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今回の新型コロナウイルス感染拡大は世界的な事態であり、こうなると「アスリートだから」「日本人だから」というよりは、まずは人類の一員として事態の収束に向けて協力することが最優先になるでしょう。現時点では新型コロナウイルスに対するワクチンは存在しません。そうなると、まずは自分が「感染しない」「感染させない」ことを念頭に置きつつ行動することが求められます。

そのための方法として「免疫力」を高めることも有効です。詳しくはこちらの記事を読んでいただければと思いますが、免疫力を高めることで体調を崩したり、病気にかかることが少なくなります。

免疫力は休養や栄養が不十分だと低下します。十分な睡眠を取り、栄養バランスの良い食事をし、規則正しい生活をすれば高い状態を維持できます。

つまり、アスリートとしてあるべき生活を維持すれば感染症の予防にもなるということです。これまでは自分のパフォーマンスを高めるために行っていたことが、間接的に社会のためにもなるのです。

免疫力はトレーニングで身体を追い込んだり、ストレスがかかった時にも低下しますが、乳酸菌を摂取することで免疫力を高めることもできます。また、適度な運動は健康を維持するにも必要です。

今はまだ陸上競技のシーズンがいつ始まるかもわからない状況ですが、ここで体調を崩してしまうと、ただでさえ不足しがちなトレーニングがさらに中断されてしまいます。規則正しい生活をして、乳酸菌を摂取しつつ、できる範囲でトレーニングをする。免疫力を高めて健康をキープする。それをモチベーションの1つというか、社会における役割の1つと考えて日々を過ごすしかないのではと思います。

一方で、競技会がなくなったことで「引退」という決断をする選手もたくさんいると思います。特に試合に出ないまま引退を決めた中高生は、大会がなくなってしまったことのショックは想像を絶するものがあります。

この状況の中で、男子400mハードルで世界選手権の銅メダルを2回獲得した為末大さんがアスリートに向けてメッセージを発信しました(「まず撤退し、距離を取る」)。その中で為末さんは

「どのような選択が正しいとは私には言えませんが、どのような道であっても自分で選んだものであれば必ず人生により効果をもたらします」

と言っています。

為末さんの言うように、競技を続けるにしろ引退するにしろ、自分で決断したことであれば、その決断に対しては最終的には納得できると思います。これがもし「誰かに言われたから」と決断の主体を他人に委ねてしまうと、後悔の原因になりやすいと思います。もちろん他者のアドバイスを聞くことは大事ですが、それを聞いた上で「自分がどうしたいのか」を考え、自分で決断することが大切だと感じます。

先が見えない事態となってしまった以上、今どうすべきかという正解はわかりません。それでも、特に中高生のみなさんには、後で振り返った時に「あの時にこうしなければよかった」と思わないような生き方をしてもらえればと思います。

こういう状況だからこそ、それぞれが今できることをがんばりましょう!

競技会ができる元の生活に戻るまでは、感染拡大の阻止に全力を尽くしましょう!

山本慎一郎(やまもとしんいちろう)
月刊陸上競技 編集部(兼企画営業部)企画課長
1983年1月生まれ。福島県いわき市出身。160cm、47kg(ピーク時)。植田中→磐城高→福島大→法大卒。中学では1学年下の村上康則(2010年日本選手権1500m覇者)と一緒に駅伝を走り、その才能を間近で見て挫折。懲りずに高校で都大路、大学で箱根駅伝を目指すも、いずれも未達に終わる。引退するタイミングを逸して現在も市民ランナーとして活動中。シューズマニアの一面も持ち、取材の際にはいつも選手の足元が気になってしまう。

 

編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保)
編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本)
編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本)
編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永)
編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)

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第38回「社会の一員としての役割(山本慎一郎)

本来であれば今頃は「東京五輪イヤーのトラックシーズンが開幕!」となっていたはずですが、五輪は2021年に延期になり、競技会は最低でも6月までは開催されないことが濃厚です。競技場が使えなくなったという話も耳にしますし、多くのアスリートがトレーニングやモチベーションの維持に苦労しているのではないかと思います。 今回の新型コロナウイルス感染拡大は世界的な事態であり、こうなると「アスリートだから」「日本人だから」というよりは、まずは人類の一員として事態の収束に向けて協力することが最優先になるでしょう。現時点では新型コロナウイルスに対するワクチンは存在しません。そうなると、まずは自分が「感染しない」「感染させない」ことを念頭に置きつつ行動することが求められます。 そのための方法として「免疫力」を高めることも有効です。詳しくはこちらの記事を読んでいただければと思いますが、免疫力を高めることで体調を崩したり、病気にかかることが少なくなります。 免疫力は休養や栄養が不十分だと低下します。十分な睡眠を取り、栄養バランスの良い食事をし、規則正しい生活をすれば高い状態を維持できます。 つまり、アスリートとしてあるべき生活を維持すれば感染症の予防にもなるということです。これまでは自分のパフォーマンスを高めるために行っていたことが、間接的に社会のためにもなるのです。 免疫力はトレーニングで身体を追い込んだり、ストレスがかかった時にも低下しますが、乳酸菌を摂取することで免疫力を高めることもできます。また、適度な運動は健康を維持するにも必要です。 今はまだ陸上競技のシーズンがいつ始まるかもわからない状況ですが、ここで体調を崩してしまうと、ただでさえ不足しがちなトレーニングがさらに中断されてしまいます。規則正しい生活をして、乳酸菌を摂取しつつ、できる範囲でトレーニングをする。免疫力を高めて健康をキープする。それをモチベーションの1つというか、社会における役割の1つと考えて日々を過ごすしかないのではと思います。 一方で、競技会がなくなったことで「引退」という決断をする選手もたくさんいると思います。特に試合に出ないまま引退を決めた中高生は、大会がなくなってしまったことのショックは想像を絶するものがあります。 この状況の中で、男子400mハードルで世界選手権の銅メダルを2回獲得した為末大さんがアスリートに向けてメッセージを発信しました(「まず撤退し、距離を取る」)。その中で為末さんは 「どのような選択が正しいとは私には言えませんが、どのような道であっても自分で選んだものであれば必ず人生により効果をもたらします」 と言っています。 為末さんの言うように、競技を続けるにしろ引退するにしろ、自分で決断したことであれば、その決断に対しては最終的には納得できると思います。これがもし「誰かに言われたから」と決断の主体を他人に委ねてしまうと、後悔の原因になりやすいと思います。もちろん他者のアドバイスを聞くことは大事ですが、それを聞いた上で「自分がどうしたいのか」を考え、自分で決断することが大切だと感じます。 先が見えない事態となってしまった以上、今どうすべきかという正解はわかりません。それでも、特に中高生のみなさんには、後で振り返った時に「あの時にこうしなければよかった」と思わないような生き方をしてもらえればと思います。 こういう状況だからこそ、それぞれが今できることをがんばりましょう! 競技会ができる元の生活に戻るまでは、感染拡大の阻止に全力を尽くしましょう!
山本慎一郎(やまもとしんいちろう) 月刊陸上競技 編集部(兼企画営業部)企画課長 1983年1月生まれ。福島県いわき市出身。160cm、47kg(ピーク時)。植田中→磐城高→福島大→法大卒。中学では1学年下の村上康則(2010年日本選手権1500m覇者)と一緒に駅伝を走り、その才能を間近で見て挫折。懲りずに高校で都大路、大学で箱根駅伝を目指すも、いずれも未達に終わる。引退するタイミングを逸して現在も市民ランナーとして活動中。シューズマニアの一面も持ち、取材の際にはいつも選手の足元が気になってしまう。
  編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永) 編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川) 編集部コラム第35回「善意」(船越) 編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永) 編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保) 編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上) 編集部コラム第31回「記録と順位」(山本) 編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永) 編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川) 編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越) 編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永) 編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保) 編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上) 編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本) 編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本) 編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永) 編集部コラム第22回「国立競技場」(小川) 編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越) 編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永) 編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保) 編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上) 編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本) 編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永) 編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川) 編集部コラム第14回「初陣」(船越) 編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永) 編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保) 編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上) 編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本) 編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永) 編集部コラム第8回「アナウンス」(小川) 編集部コラム第7回「ジンクス」(船越) 編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永) 編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保) 編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上) 編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本) 編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永) 編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)

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