2020.03.27
【学生駅伝ストーリー】
東海大黄金世代、それぞれの4年間③小松陽平 箱根MVPの“叩き上げ”
東海大を牽引してきた4年生たちが卒業を迎えた。この世代は5000m13分台3人、全国高校駅伝1区の上位選手と、高校時代に華々しい活躍を見せた選手がそろい、「黄金世代」と言われた。
苦楽をともにし、切磋琢磨してきた4年間。3年時の箱根駅伝で大学にとって悲願の初優勝を成し遂げるなど、学生長距離界を盛り上げた東海大4年生世代から、館澤亨次、阪口竜平、小松陽平、關颯人の4人の足跡を追った。3回目は小松を紹介する。
【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間①館澤亨次 頼れる主将
【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間②阪口竜平 世界を目指し続けた
【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間 ④關 颯人 トラックで世界へ
箱根MVPで一躍脚光
それまで学生三大駅伝に出場していなかった男が、3年目の箱根駅伝で突如スポットライトを浴びることになった。
2019年の箱根駅伝8区。小松陽平は東洋大との先頭争いで抜け出し、22年間破られなかった区間記録を更新。大会MVPに輝いた。
「自分でも驚きの結果でした。走っていてすごく楽しかったですし、3年間がんばってきて良かったなと思いました」
小松は他の同期と比べ、決してエリート街道を歩んできたわけではない。
北海道・東海大四高(現・東海大札幌高)時代の5000mベストは14分20秒43で、これは同期の中では11番目。「入学した最初の練習から鬼塚(翔太)と關(颯人)は上級生と一緒にこなしていて、レベルが違うと思いました。自分はただこなすだけで精いっぱいでしたから」と当時のチーム状況を明かす。
それでも、2年目には6月の全日本大学駅伝選考会で1組1着と好走。「自分も通用するんだということを実感しました」と、大いに自信をつけた。
その年は12月2日の日体大長距離競技会10000mで28分35秒63をマーク。ところが、箱根駅伝のエントリーメンバー16人には入れず、悔し涙を流した。
「当時は納得できない気持ちもあったのですが、両角(速)監督からは『スタミナ不足とハーフマラソンでの実績不足』を指摘され、自分の課題が明確になりました」
3年目はジョグの意識を変え、走行距離を増やしてスタミナ強化に注力。5月には一番上のグループにあたるSチームに昇格し、「ようやく關や鬼塚たちと同じところに来たんだなと感慨深い思いがありました」と、当初は雲の上だった存在にも肩を並べた。
再び日の丸を
箱根MVPの後も、“フィーバー”は止まらなかった。2月の日本選手権クロカンで5位に食い込み、翌月の世界クロカンの日本代表に選出された。
「箱根駅伝後から世界を意識するようになったのですが、さっそく夢がかなってしまいました。(世界クロカンでは)2kmで集団から離されてしまったのですが、純粋に楽しかったですし、他の日本代表選手の意識の高さを目の当たりにするなど良い経験になりました」
4年目の駅伝シーズンは出雲こそエントリーから外れたが、全日本は1区3位と好走。最後の箱根駅伝では8区で2年連続区間賞を獲得したが、チームは連覇を逃し、納得のいく結果ではなかった。
「本来ならもっと(優勝した)青学大と差を縮めなければいけなかったのですが、自分がとどめを差されたようなもの。チーム全体としては力を発揮できたので、今回は青学大さんが強かったです」
4年間を振り返り、「人生で一番濃い期間でした。入学当初は4年間で1回は箱根駅伝を走れればと思っていたので、予想以上の出来です」と話す。今後はプレス工業で陸上を続け、「もう一度日の丸を背負いたい」と力強く語った。
小松陽平/1997年11月2日生まれ、O型。172cm、54kg。北海道・厚別中→東海大四高(現・東海大札幌)→東海大→プレス工業。箱根駅伝は3、4年時に出走し8区区間賞。自己ベスト5000m13分57秒46、10000m28分35秒63、ハーフ1時間3分07秒。
(※月刊陸上競技3月号に掲載)
文/松永貴允
東海大黄金世代、それぞれの4年間③小松陽平 箱根MVPの“叩き上げ”
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箱根MVPで一躍脚光
それまで学生三大駅伝に出場していなかった男が、3年目の箱根駅伝で突如スポットライトを浴びることになった。 2019年の箱根駅伝8区。小松陽平は東洋大との先頭争いで抜け出し、22年間破られなかった区間記録を更新。大会MVPに輝いた。 「自分でも驚きの結果でした。走っていてすごく楽しかったですし、3年間がんばってきて良かったなと思いました」 小松は他の同期と比べ、決してエリート街道を歩んできたわけではない。 北海道・東海大四高(現・東海大札幌高)時代の5000mベストは14分20秒43で、これは同期の中では11番目。「入学した最初の練習から鬼塚(翔太)と關(颯人)は上級生と一緒にこなしていて、レベルが違うと思いました。自分はただこなすだけで精いっぱいでしたから」と当時のチーム状況を明かす。 それでも、2年目には6月の全日本大学駅伝選考会で1組1着と好走。「自分も通用するんだということを実感しました」と、大いに自信をつけた。 その年は12月2日の日体大長距離競技会10000mで28分35秒63をマーク。ところが、箱根駅伝のエントリーメンバー16人には入れず、悔し涙を流した。 「当時は納得できない気持ちもあったのですが、両角(速)監督からは『スタミナ不足とハーフマラソンでの実績不足』を指摘され、自分の課題が明確になりました」 3年目はジョグの意識を変え、走行距離を増やしてスタミナ強化に注力。5月には一番上のグループにあたるSチームに昇格し、「ようやく關や鬼塚たちと同じところに来たんだなと感慨深い思いがありました」と、当初は雲の上だった存在にも肩を並べた。再び日の丸を
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