2022.11.04
第54回全日本大学駅伝は11月6日(日)、愛知・熱田神宮西門前をスタート、三重・伊勢神宮内宮宇治橋前をフィニッシュの8区間106.8kmのコースで開催される。
出場校は前回8位までに入ったシード校の駒大、青学大、順大、國學院大、東京国際大、早大、明大、中大、そこに各地区予選を勝ち抜いた17校とオープン参加の日本学連選抜と東海学連選抜を加えた27チームとなる。
駅伝日本一の座を懸けた、学生たちによる熱き戦い。すでに発表されている各チームのエントリー選手の情報をもとに、優勝争い&シード権争いの展望と見どころを紹介する。
駒大が3連覇&2冠に挑む
優勝争いになるのは今年も駒大になりそうだ。昨年まで2連覇中で、その立役者となったオレゴン世界選手権10000m代表・田澤廉(4年)がエースとして君臨。さらに10月10日の出雲駅伝で9年ぶり優勝と勢いに乗っている。
その出雲駅伝では準エースの鈴木芽吹(3年)が1月の箱根駅伝以来の復帰戦で6区区間賞。10000m27分41秒68を持つ鈴木の完全復帰は、チームの明るい話題だ。
さらに5000mでU20日本記録(13分22秒91)を持つスーパールーキーの佐藤圭汰が出雲2区で区間賞と、ロードでも強さを発揮。長い距離も苦にせず、全日本でも前半区間で起用されそうだ。
出雲2区区間賞の佐藤圭汰(駒大)
それ以外にもハーフマラソンで日本人学生最高記録(1時間0分40秒)を持つ山野力(4年)、出雲5区区間賞の安原太陽(3年)、同1区2位の花尾恭輔(同)が今季好調で、出雲ではメンバー外だった円健介(4年)が10月22日の平成国際大長距離記録会10000mで28分29秒22と調子を上げてきた。
出雲メンバー外では今年の日本学生個人選手権5000m優勝の篠原倖太朗がエントリー。完全復調なら他校の脅威だ。
順当なら田澤の他に花尾か鈴木が終盤の長距離区間に入りそうで、佐藤、篠原、山野、安原らが中心となる前半、中盤も先頭争いに加わりそう。田澤は8区起用なら27年間破られていない日本人最高記録(56分59秒/渡辺康幸、早大)の更新に注目が集まる。
王者を追う青学大、順大、國學院大、中大など
駒大を追うのは青学大、順大、國學院大、中大あたりになりそう。特に前回最終盤まで優勝を争った青学大がその最右翼となりそうだ。
青学大は2014年からの8大会で優勝2回、2位3回、3位2回、4位1回と非常に高い安定感を誇る。
その強さの根源となるのが5000m13分台26人という圧倒的な選手層だ。それぞれが高い走力を持ち、日々の部内競争の末に毎年高い完成度を誇る。
今季の青学大を支えるのがダブルエースの近藤幸太郎と岸本大紀の4年生コンビだ。近藤は前期シーズンをケガで棒に振ったものの、9月の日本インカレ5000mで連覇を達成。出雲駅伝では3区で駒大の田澤と1秒の区間3位と好走した。
岸本はケガの影響で出雲駅伝を欠場したものの、前半シーズンは関東インカレ2部10000mで日本人トップの2位。箱根駅伝の7区区間賞を中心に駅伝では外さない安定感が持ち味だ。
その他にも今季好調の横田俊吾、中村唯翔、目方将大ら4年生が強力で、他にも全日本で2年連続5区区間賞の佐藤一世(3年)を擁する。
前回3位の順大は、その後の箱根駅伝で駒大(3位)の前をいく準優勝。3000m障害で世界最高峰のダイヤモンドリーグ・ファイナルで4位になった三浦龍司(3年)がエースとして君臨する。
三浦の他にも伊豫田達弥、野村優作、四釜峻佑、西澤侑真ら4年生が強力。前回は6区まで先頭争いを繰り広げており、前半区間の起用が濃厚な三浦で先手を打ち、奪ったリードをどこまで死守できるかがカギを握る。
國學院大は出雲駅伝で2位に入った。前回7区で区間3位だった平林清澄(2年)はその後、3月の日本学生ハーフで優勝。前回8区区間賞の伊地知賢造(3年)も関東インカレ2部ハーフマラソン優勝と力をつけた。終盤区間は万全で、前半区間にも前回1区3位の島﨑慎愛(4年)、5000m13分38秒45の中西大翔(4年)、ハーフマラソン1時間0分43秒の山本歩夢(2年)、5000mでU20日本選手権2位の青木瑠郁(1年)らを起用できる。
出雲駅伝では主将の中西大翔(右)が4区区間賞
チームは目標を「3位以内」に設定しながらも、前田康弘監督は「三大駅伝で優勝の可能性が一番あるのは全日本」と話す。過去最高成績の4位を超えるのはもちろん、一気に頂点へ駆け上がる準備もできている。
中大は9年ぶりの出場となった出雲駅伝で3位。1区の吉居大和(3年)が独走で区間賞に輝き、常に上位争いを展開した。
中野翔太(3年)は吉居の持つ10000mの大学記録を更新する28分00秒86を今季マークしており、吉居の弟である駿恭(1年)とともに強力な3本柱を形成する。他にも日本インカレ1500m2位の千守倫央(4年)、阿部陽樹(2年)、溜池一太(1年)も出雲駅伝に続いて起用が予想される。
昨年は2週間前に箱根駅伝予選会を経て8位。今大会は「3位以内」を目標に掲げており、優勝争いに加わることは間違いなさそうだ。
中大はエース・吉居大和の起用法に注目が集まる
シード権争いは熾烈! 東洋大、東京国際大、東海大、初出場の創価大にも注目
シード権争いは今年も激戦必至。前回5位の東京国際大、同6位、7位の早大、明大は連続シードが懸かり、前回シードを落とした東洋大、東海大などは再び上位校の定位置に戻るつもりでいる。
東京国際大は主力の山谷昌也(4年)が出雲駅伝に続いてエントリーから外れたものの、出雲で外れたイェゴン・ヴィンセントを登録。順当なら前回6区区間賞(区間新)の丹所健と2人で前半と終盤を振り分けるオーダーになりそう。
早大と明大は10月15日の箱根駅伝予選会を戦い、明大が2位、早大が4位で通過。過酷なハーフマラソンを戦い抜いた疲労が懸念材料だが、今年は昨年より1週早い開催だったため、より準備に時間を要せる。
東洋大は前回10位で連続シードが「13」でストップ。出雲駅伝も9位と苦戦したが、前半シーズンはトラック・ロードの両面で活躍が光った。前回7区の松山和希(3年)がエントリーから外れたのは大きいが、同4区区間賞の石田洸介(2年)らで上位進出を狙う。
東海大はエース・石原翔太郎(3年)が箱根予選会で戦線復帰したことが明るい話題だが、その予選会では中盤に失速し、最後はフラフラになりながらフィニッシュにたどりついた。順調なら区間賞争いできるだけに、チーム浮沈のカギを握る存在だ。
また、初出場の創価大にも注目が集まりそう。箱根駅伝では3年連続でシード権を取り続け、出雲駅伝は過去最高の6位。出雲3区区間賞のフィリップ・ムルワ、箱根4区区間賞の嶋津雄大、4月の日本学生個人選手権10000m優勝の葛西潤の4年生トリオが軸となり、「3位以内」をターゲットに置いている。
初出場に挑む創価大。写真左が嶋津雄大、右は葛西潤
関東勢以外では出雲駅伝で10位に入った関学大に勢いがある。守屋和希、上田颯汰ら例年になく戦力が整っており、過去最高の14位を超える可能性も十分に秘めている。
レースは11月6日(日)8時05分スタート。
テレビ朝日系列で7時45分から生中継される。
第54回全日本大学駅伝 出場チーム
■シード校
駒 大 27大会連続29回目
青 学 大 10大会連続12回目
順 大 6大会連続27回目
國學院大 8大会連続10回目
東京国際大 4大会連続4回目
早 大 16大会連続28回目
明 大 15大会連続16回目
中 大 2大会連続24回目
■北海道
札幌学大 5大会連続29回目
■東北
東 北 大 3大会連続16回目
■関東
神奈川大 4大会ぶり18回目
東 洋 大 15大会連続30回目
創 価 大 初出場
東 海 大 9大会連続35回目
大 東 大 5大会ぶり43回目
中央学大 10大会連続16回目
日 大 2大会ぶり42回目
■北信越
新 潟 大 3大会ぶり13回目
■東海
皇學館大 6大会連続6回目
愛知工大 3大会ぶり19回目
■関西
大 経 大 2大会連続24回目
関 学 大 4大会連続12回目
立 命 大 22大会連続34回目
■中国四国
環太平洋大 2大会連続3回目
■九州
第一工科大 2大会連続26回目
■オープン
日本学連選抜 オープン参加
東海学連選抜 オープン参加
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駒大が3連覇&2冠に挑む
優勝争いになるのは今年も駒大になりそうだ。昨年まで2連覇中で、その立役者となったオレゴン世界選手権10000m代表・田澤廉(4年)がエースとして君臨。さらに10月10日の出雲駅伝で9年ぶり優勝と勢いに乗っている。 その出雲駅伝では準エースの鈴木芽吹(3年)が1月の箱根駅伝以来の復帰戦で6区区間賞。10000m27分41秒68を持つ鈴木の完全復帰は、チームの明るい話題だ。 さらに5000mでU20日本記録(13分22秒91)を持つスーパールーキーの佐藤圭汰が出雲2区で区間賞と、ロードでも強さを発揮。長い距離も苦にせず、全日本でも前半区間で起用されそうだ。
王者を追う青学大、順大、國學院大、中大など
駒大を追うのは青学大、順大、國學院大、中大あたりになりそう。特に前回最終盤まで優勝を争った青学大がその最右翼となりそうだ。 青学大は2014年からの8大会で優勝2回、2位3回、3位2回、4位1回と非常に高い安定感を誇る。 その強さの根源となるのが5000m13分台26人という圧倒的な選手層だ。それぞれが高い走力を持ち、日々の部内競争の末に毎年高い完成度を誇る。 今季の青学大を支えるのがダブルエースの近藤幸太郎と岸本大紀の4年生コンビだ。近藤は前期シーズンをケガで棒に振ったものの、9月の日本インカレ5000mで連覇を達成。出雲駅伝では3区で駒大の田澤と1秒の区間3位と好走した。 岸本はケガの影響で出雲駅伝を欠場したものの、前半シーズンは関東インカレ2部10000mで日本人トップの2位。箱根駅伝の7区区間賞を中心に駅伝では外さない安定感が持ち味だ。 その他にも今季好調の横田俊吾、中村唯翔、目方将大ら4年生が強力で、他にも全日本で2年連続5区区間賞の佐藤一世(3年)を擁する。 前回3位の順大は、その後の箱根駅伝で駒大(3位)の前をいく準優勝。3000m障害で世界最高峰のダイヤモンドリーグ・ファイナルで4位になった三浦龍司(3年)がエースとして君臨する。 三浦の他にも伊豫田達弥、野村優作、四釜峻佑、西澤侑真ら4年生が強力。前回は6区まで先頭争いを繰り広げており、前半区間の起用が濃厚な三浦で先手を打ち、奪ったリードをどこまで死守できるかがカギを握る。 國學院大は出雲駅伝で2位に入った。前回7区で区間3位だった平林清澄(2年)はその後、3月の日本学生ハーフで優勝。前回8区区間賞の伊地知賢造(3年)も関東インカレ2部ハーフマラソン優勝と力をつけた。終盤区間は万全で、前半区間にも前回1区3位の島﨑慎愛(4年)、5000m13分38秒45の中西大翔(4年)、ハーフマラソン1時間0分43秒の山本歩夢(2年)、5000mでU20日本選手権2位の青木瑠郁(1年)らを起用できる。
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シード権争いは熾烈! 東洋大、東京国際大、東海大、初出場の創価大にも注目
シード権争いは今年も激戦必至。前回5位の東京国際大、同6位、7位の早大、明大は連続シードが懸かり、前回シードを落とした東洋大、東海大などは再び上位校の定位置に戻るつもりでいる。 東京国際大は主力の山谷昌也(4年)が出雲駅伝に続いてエントリーから外れたものの、出雲で外れたイェゴン・ヴィンセントを登録。順当なら前回6区区間賞(区間新)の丹所健と2人で前半と終盤を振り分けるオーダーになりそう。 早大と明大は10月15日の箱根駅伝予選会を戦い、明大が2位、早大が4位で通過。過酷なハーフマラソンを戦い抜いた疲労が懸念材料だが、今年は昨年より1週早い開催だったため、より準備に時間を要せる。 東洋大は前回10位で連続シードが「13」でストップ。出雲駅伝も9位と苦戦したが、前半シーズンはトラック・ロードの両面で活躍が光った。前回7区の松山和希(3年)がエントリーから外れたのは大きいが、同4区区間賞の石田洸介(2年)らで上位進出を狙う。 東海大はエース・石原翔太郎(3年)が箱根予選会で戦線復帰したことが明るい話題だが、その予選会では中盤に失速し、最後はフラフラになりながらフィニッシュにたどりついた。順調なら区間賞争いできるだけに、チーム浮沈のカギを握る存在だ。 また、初出場の創価大にも注目が集まりそう。箱根駅伝では3年連続でシード権を取り続け、出雲駅伝は過去最高の6位。出雲3区区間賞のフィリップ・ムルワ、箱根4区区間賞の嶋津雄大、4月の日本学生個人選手権10000m優勝の葛西潤の4年生トリオが軸となり、「3位以内」をターゲットに置いている。
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2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
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