2022.10.21
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム🔥
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第168回「マラソン世界記録 VS 高校駅伝最高記録」(大久保雅文)
秋も深まり、各地で駅伝、マラソンが開催される季節に。そんな中、マラソン界では9月にエリウド・キプチョゲ(ケニア)が自身の世界記録を4年ぶりに30秒更新する2時間1分09秒の世界新を樹立。今年38歳を迎える超人の快挙に、世界が驚きました。
このキプチョゲの記録ですが、もう一つの記録を上回っていました。それが高校駅伝の高校最高記録です。ご存じのように、男子の高校駅伝はマラソンと同じ42.195kmを7区間でタスキをつなぎます。コースは異なりますが、高校生トップクラスの7人でつなぐよりも、キプチョゲ1人が走った方が速いと考えると、改めてその凄さを感じることができるでしょう。
実は、全国高校駅伝の距離が42.195kmと定められた1952年以降、マラソンの世界記録と高校駅伝の最高記録の比較は頻繁に行われてきました。その変遷を示したものが下図になります。
1952年当時、高校駅伝の最高記録は2時間18分13秒。この時のマラソン世界記録は2時間20分42秒2でした。その後、1950年代は両記録とも、年を追う毎に記録を短縮。高校駅伝のほうが記録の更新が進み、1962年には高校駅伝が2時間11分49秒に対し、マラソンが2時間15分16秒2とその差は3分27秒にまで広がっています。
しかし、1960年中盤になるとマラソンの高速化が進み、次第にその差が詰まりました。東京五輪でアベベ・ビキラ(エチオピア)が2時間12分11秒2の世界記録で優勝しました。高校駅伝は1966年に中京商(現・中京大中京)が初のサブ10となる2時間9分02秒を出しますが、翌年にデレク・クレイトン(豪州)もマラソン初の2時間10分台切りの2時間9分36秒4をマーク。さらにクレイトンは1969年に2時間8分33秒6と、ついに高校記録を上回る世界記録を樹立したのです。
ただ、クレイトンの記録が圧倒的だったこともあり、マラソンはしばらく停滞期に。一方、高校駅伝は右肩上がりの進歩を見せ、1976年に大牟田が2時間8分22秒で世界記録を逆転。以後は高校駅伝が常にリードするかたちとなりました。
今回のキプチョゲの偉業でマラソン世界記録が46年ぶりに高校記録を上回ったわけですが、高校記録も2015年に世羅が2時間1分18秒をマークし、“2時間切り”が目前に迫っています。関係者の間では、「あと数年で1時間台の時代がやってきても不思議ではない」という声も聞こえおり、マラソンと高校駅伝、どちらが先に“サブ2”を達成するのかにも注目したいですね。
大久保雅文(おおくぼ・まさふみ) 月刊陸上競技編集部 1984年9月生まれ。175cm、63kg。三重県伊勢市出身。小学1年から競泳、レスリング、野球などをするも、吉田沙保里さんにタックルを受けたこと以外は特にこれといった実績も残せず。中学で「雨が降ったら練習が休みになるはず」という理由から陸上部に入部。長距離を専門とし、5000mと3000m障害で県インターハイ決勝出場 |
編集部コラム第167回「国立競技場で走ったよ」(井上)
編集部コラム第166回「いい大会ってなんやろ」(向永)
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編集部コラム第94回「メンタルトレーニング」(山本)
編集部コラム第93回「努力は報われた」(向永)
編集部コラム第92回「2年ぶりの織田記念」(小川)
編集部コラム第91回「エゴイスト」(船越)
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編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
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編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
第168回「マラソン世界記録 VS 高校駅伝最高記録」(大久保雅文)
秋も深まり、各地で駅伝、マラソンが開催される季節に。そんな中、マラソン界では9月にエリウド・キプチョゲ(ケニア)が自身の世界記録を4年ぶりに30秒更新する2時間1分09秒の世界新を樹立。今年38歳を迎える超人の快挙に、世界が驚きました。 このキプチョゲの記録ですが、もう一つの記録を上回っていました。それが高校駅伝の高校最高記録です。ご存じのように、男子の高校駅伝はマラソンと同じ42.195kmを7区間でタスキをつなぎます。コースは異なりますが、高校生トップクラスの7人でつなぐよりも、キプチョゲ1人が走った方が速いと考えると、改めてその凄さを感じることができるでしょう。 実は、全国高校駅伝の距離が42.195kmと定められた1952年以降、マラソンの世界記録と高校駅伝の最高記録の比較は頻繁に行われてきました。その変遷を示したものが下図になります。 1952年当時、高校駅伝の最高記録は2時間18分13秒。この時のマラソン世界記録は2時間20分42秒2でした。その後、1950年代は両記録とも、年を追う毎に記録を短縮。高校駅伝のほうが記録の更新が進み、1962年には高校駅伝が2時間11分49秒に対し、マラソンが2時間15分16秒2とその差は3分27秒にまで広がっています。 しかし、1960年中盤になるとマラソンの高速化が進み、次第にその差が詰まりました。東京五輪でアベベ・ビキラ(エチオピア)が2時間12分11秒2の世界記録で優勝しました。高校駅伝は1966年に中京商(現・中京大中京)が初のサブ10となる2時間9分02秒を出しますが、翌年にデレク・クレイトン(豪州)もマラソン初の2時間10分台切りの2時間9分36秒4をマーク。さらにクレイトンは1969年に2時間8分33秒6と、ついに高校記録を上回る世界記録を樹立したのです。 ただ、クレイトンの記録が圧倒的だったこともあり、マラソンはしばらく停滞期に。一方、高校駅伝は右肩上がりの進歩を見せ、1976年に大牟田が2時間8分22秒で世界記録を逆転。以後は高校駅伝が常にリードするかたちとなりました。 今回のキプチョゲの偉業でマラソン世界記録が46年ぶりに高校記録を上回ったわけですが、高校記録も2015年に世羅が2時間1分18秒をマークし、“2時間切り”が目前に迫っています。関係者の間では、「あと数年で1時間台の時代がやってきても不思議ではない」という声も聞こえおり、マラソンと高校駅伝、どちらが先に“サブ2”を達成するのかにも注目したいですね。大久保雅文(おおくぼ・まさふみ)
月刊陸上競技編集部
1984年9月生まれ。175cm、63kg。三重県伊勢市出身。小学1年から競泳、レスリング、野球などをするも、吉田沙保里さんにタックルを受けたこと以外は特にこれといった実績も残せず。中学で「雨が降ったら練習が休みになるはず」という理由から陸上部に入部。長距離を専門とし、5000mと3000m障害で県インターハイ決勝出場 |
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