2022.10.06
◇第77回栃木国体(10月6~10日/宇都宮市・カンセキスタジアムとちぎ)1日目
3年ぶりの開催となった国体が栃木県宇都宮市で開かれ、1日目に行われた少年男子A5000mは吉岡大翔(長野・佐久長聖3)が制した。
フィニッシュ後、互いの健闘を称え合う姿が印象的だった。ハイレベルで注目を集めた少年男子A5000mは、それぞれベストが高校歴代5位(13分37秒46)の長嶋幸宝(兵庫・西脇工高3)と同6位(13分38秒96)の吉岡大翔(長野・佐久長聖高3)が最後まで激しいバトルを展開する。
残り900mで前に出た吉岡が再度300mで二段スパートを決めた。追いすがる長嶋を0.95秒差で振り切り、13分53秒85で6月のU20日本選手権に続くタイトルを手にした。
「暮れの都大路(全国高校駅伝)の前哨戦という位置づけで挑みました。留学生との勝負を想定していました。棄権ということで日本人のみのレースになりましたが、長嶋君をはじめライバルに競り勝てて良かった」と吉岡は笑顔を見せた。
「コンディションも悪かったので後半勝負だと考えていました」と吉岡。序盤は予想通り長嶋が飛び出し入りの1000mを2分44秒で通過する。その後、ペースがやや落ちてきたところで綾一輝(千葉・八千代松陰高3)が前に出てレースを引っ張り3000mを8分29秒、4000mを11分21秒通過した。
その直後に吉岡が満を持してスパート。それまでの1周68秒ペースから61秒にペースアップ。一気に集団が崩れ、その仕掛けに反応したのは長嶋と楠岡由浩(熊本・慶誠高3)のみ。「ラストには自信があったので残り300mで前に出ようと思っていました」と長嶋が並びかける。だが、「最後止まるかもしれないと思いましたがラスト100mからだとさすがに分が悪いと思ったので300mからもう一度仕掛けました」と吉岡が長嶋を前に出させず、そのまま逃げ切った。
8月のU20世界選手権で7位入賞を果たしている吉岡。「インターハイには出場していなかったので、全国のライバルたちと久しぶりに勝負できて楽しかった」と言い、「次は都大路で留学生と勝負して勝てるようがんばりたい」と目を輝かせた。
インターハイに続き日本人トップの座を逃した長嶋は、「負けはしましたが日本人で僕らの代では一番と思っている吉岡君と勝負できてよかった。自信のあるラストで負け相手が一枚上でした」と納得の表情で話した。
3位には大幅に自己記録を更新した楠岡が13分55秒84で続き、中学時代に全中2冠している吉岡、長嶋とライバルでの小山翔也(埼玉・埼玉栄高3)が4位。8位の南坂柚汰(岡山・倉敷高3)までが13分台というハイレベルなレースだった。
文/花木 雫

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