2022.10.05
第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」の陸上競技が10月6日から10日までの5日間、カンセキスタジアムとちぎで行われる。過去2年はコロナ禍で中止となり、開催は2019年の茨城大会以来3年ぶり。各世代の国内トップ選手が集い、都道府県代表として激しく争う。ここでは高校3年生以下が争う少年種目を展望していく。
少年男子A100mにはインターハイ覇者の関口裕太(新潟・東京学館新潟)が予選1組3レーンに登場する。対抗は9月17日の福岡県高校新人で高2歴代5位の10秒29(+1.4)をマークした黒木海翔(福岡・東福岡)。昨年のU18大会に続くタイトルを狙う片原一輝(富山・富山商)も強力だ。
7人の13分台ランナーが集う少年男子A5000mは、13分21秒31を持つダニエル・ディリツ(大分・大分東明)の実力が抜けている。注目は中学時代から世代を牽引してきた長嶋幸宝(兵庫・西脇工)と吉岡大翔(長野・佐久長聖)の戦い。ともに13分40秒切りのベストを持つが、インターハイでは吉岡がU20世界選手権に出場したため対決は実現せず、相対するのは2月の日本選手権クロカン以来。その時は吉岡が優勝し、長嶋が3位に入っている。同レースで2位となったのがインターハイ8位の南坂柚汰(岡山・倉敷)で、その南坂にインターハイで先着(7位)した綾一輝(千葉・八千代松陰)も上位に食い込む力を持つ。気象条件に恵まれれば、昨年佐藤圭汰が樹立した高校記録(13分31秒19)の更新も可能性を秘める。
少年男子A300mハードルには、この種目のU20日本記録(35秒75)を持つ渕上翔太(福岡・東福岡)が登場するが、インターハイでハードル2冠に輝いた紺野稜真(山形・九里学園)が強力なライバルとして立ちはだかる。競り合いによって、さらなる記録更新は十分にあり得る。
少年男子Aハンマー投ではインターハイで好勝負を展開した秋山玲二郎(香川・四学香川西)と山口翔輝夜(兵庫・社)がエントリー。ともに自己ベストは66m台。気温が低い10月の茨城で好記録は望めないかもしれないが、あと2m余りと迫った高校記録(68m33)にチャレンジする。
少年男子B100mでは10秒58でランキングトップに立つ村松悦基(京都・洛南)に、10月1日の神奈川県中学競技会で中学歴代2位の10秒60(+2.0)をマークした米山和磨(神奈川・茅ヶ崎中)が挑む。村松は2日に行われた日本選手権リレーの4×100mで高校歴代パフォーマンス2位の39秒62を出した洛南の3走を務めた。次期エースとして全国初タイトルを手にしたいところだ。米山は4位だった全中の悔しさを晴らせるか。
少年男子B3000mも有力選手がそろう。注目は1500mで高1歴代3位の3分46秒82を持つ鈴木琉胤(千葉・八千代松陰高)と、8分15秒04の中学記録を持つ全中王者の増子陽太(福島・鏡石中)。長距離にとっては走りやすいコンディションが予想され、好記録&好勝負が展開されそうだ。
少年男子共通800mには高校歴代2位の1分47秒69を持つ後田築(長崎・創成館高)、インターハイ覇者の大野聖登(秋田・秋田工高)、同2位の青木龍翔(福岡・大牟田高)、U20日本選手権優勝の立迫大徳(鹿児島・鹿児島城西高)、高1最高記録(1分50秒19)保持者の落合晃(滋賀・滋賀学園高)とタレントがそろう。後田はU20世界選手権出場のためインターハイは欠場しており、本物の高校日本一を懸けたハイレベルな争いが繰り広げられる。
少年女子A100mでは高校歴代8位の11秒58を持つインターハイ女王の藏重みう(愛知・中京大中京高)の力が抜けているが、インターハイ後は11秒98が最高で本来の実力が見られない。今季ランキング1位の11秒66を持つ樋口七海(三重・四日市商高)もインターハイ後はレースに出場しておらず、10月1日の中国高校新人で11秒70(+2.0)の自己新をマークしたインターハイ3位の先村若菜(山口・高川学園高)に優勝のチャンスが出てきた。インターハイ200m・400m2冠の児島柚月(京都・西京高)にも注目だ。
少年女子A3000mでは9月下旬に8分42秒31の日本高校国内国際記録を樹立したカリバ・カロライン(鹿児島・神村学園高)の実力が頭一つ抜けている。日本人ではインターハイ4位の水本佳菜(大阪・薫英女学院高)とU20世界選手権1500m6位の澤田結弥(静岡・浜松市立高)の争いになりそうだ。
少年女子A100mハードルは高校記録誕生の瞬間が見られるかもしれない。注目はインターハイ覇者の林美希(愛知・中京大中京高)。自己記録は13秒46で高校記録までは0.12秒。インターハイ2位の髙橋亜珠(山形・山形市立商高)や昨年のU18大会優勝の山田裕未(千葉・市船橋高)らその他の上位候補もハイレベルだ。
少年女子Aやり投は倉田紗優加(長野・伊那北高)はインターハイに続く全国2冠を狙う。3m57と迫った高校記録にどこまで迫れるか。同種目では櫻井希美(岐阜・済美高)も高2最高まで2m62と迫っており、勝負以外にも記録のゆくえに注目が集まる。
少年女子B100mでは今季高1歴代4位の11秒72まで成長した小針陽葉(静岡・富士市立高)に全中覇者の寺平祈愛(長野・木曽中)、昨年のU16大会で3位の小針に先着(2位)した秋澤理沙(新潟・燕吉田中)が挑む。条件に恵まれれば御家瀬緑(北海道・恵庭北高/現・住友電工)の持つ大会記録(11秒66)更新も十分可能性を秘める。
少年女子共通走幅跳ではインターハイ優勝の松村琴都(愛知・瑞陵高)に、ランキングトップ(6m13)でU20世界選手権代表の近藤いおん(東京・城西高)、U20日本選手権を制した秦くるみ(静岡・伊豆中央高)、6m09を持ち、インターハイ三段跳1位の佐々木千翔(千葉・市船橋高)、全中覇者の成澤柚日(群馬・藪塚本町中)と名だたる精鋭が勢ぞろいした。全員自己ベストは6m台。〝一発〟がある種目なだけに、最後まで誰が勝つかわからない目が離せない展開になりそうだ。
年女子共通三段跳にはインターハイ優勝の佐々木と、昨年のU18大会を高校歴代8位、高2歴代2位の12m79(+1.8)で制した田中美憂(埼玉・松山女高)に注目だ。田中はケガで6月の北関東大会を途中棄権し、以降は試合に出場していない。本調子であれば高校記録(12m96)が狙える逸材なだけに、どれだけ調子を戻してこられるか。佐々木はインターハイで逃した走幅跳との2冠がターゲットとなりそうだ。
リレー種目は、男女ともに成年少年共通4×100mが実施されることに加え、新たに成年少年共通男女混合4×400mが行われる。
男子4×100mでは、大阪から多田修平(住友電工)が出場する見込みで、坂井との強力コンビとなりそうだ。女子4×100mは北海道が成年に世界選手権代表の御家瀬緑(住友電工)と石堂陽奈(環太平洋大)を擁し、少年世代も強力だ。混合マイルは、少なくとも少年世代を男女それぞれ1人ずつ起用するルール。決勝は全種目の最後に行われ、どんなフィナーレを迎えるのだろうか。
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