◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)7日目
オレゴン世界陸上7日目のイブニングセッションに行われた男子やり投予選に、ディーン元気(ミズノ)が出場した。
日の丸を背負うのは10年ぶり。「楽しかったですね。でも、フィンランドを拠点にしているからか、久しぶりという感じがしなかったです」。2012年ロンドン五輪以来の世界大会。「20歳で五輪に出て、知っているメンバーがまだいてうれしかった。やっと戻って来られた」。この場に立てた充実感が漂う。
1、2回目と79m台(79m26、79m33)にとどまった。「最初の2投はやりが顔から離れてしまいました」と今季の課題の一つが出たかたち。しかし2回目は助走の勢いがあり、「2投目の勢いで、そこだけ外さないようにした」。グングンと伸びたやりが80mラインを超える。歓声が上がった。通過記録となる83m50にはとどかなったものの、シーズンベスト、自己4番目となる82m34をマーク。B組の結果を含め全体7位で決勝進出を決めた。
ロンドン五輪では10位。その後は脇腹などのケガが続き、治療に専念する時期も過ごした。それでも支えてくれた所属先のミズノやコーチ陣に対して感謝の気持ちを語っていたディーン。フィンランドを拠点とするようになり、「独りよがりの投げをしないようになった」。今季は安定して80m以上を放ってきた。下半身からしっかりやりに力を伝える。それができれば「フィジカルは十分」と言うように、大きな記録が見る手応えを感じているようだ。
前日に行われた女子やり投も刺激になった。北口榛花(JAL)が全体トップで予選を通過すると、同じ兵庫・市尼崎高出身で後輩に当たる武本紗栄(佐賀県スポーツ協会)も決勝に進出。「うれしいですね。男女のやり投が一緒に世界陸上の決勝に行ったのは初めて。来年は男子も3人で行ければ」と、日本のやり投を牽引する一人として強い思いを示す。
その前に、10年前の忘れ物を取り戻しにファイナルに挑む。今季は精神面でも「大人になった」と笑うように、自らをコントロールできるようになったのも大きいが、それでも「世界大会では10年前のように“イケイケ”なところも必要」と語っていたディーン。「ここからアベレージを85mに上げていきたい。予選の動きを反省点を生かしてベストパフォーマンスをしたいです」。
30歳。大人になったディーンが“イケイケ”で世界のファイナルで躍動したとき、溝口和洋(87年ローマ6位)、村上幸史(09年ベルリン3位)以来の入賞以上が視野に入ってくる。
決勝は日本時間の24日10時35分から行われる。
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