HOME ニュース、海外

2022.07.20

4人の初チャンピオン誕生!!400mHドス・サントスは29年ぶり、円盤投チェーは17年ぶり大会新!/世界陸上Day5
4人の初チャンピオン誕生!!400mHドス・サントスは29年ぶり、円盤投チェーは17年ぶり大会新!/世界陸上Day5

400mHのドス・サントス(22年オレゴン世界陸上)

◇オレゴン世界陸上(7月15日〜24日/米国・オレゴン州ユージン)4日目

オレゴン世界陸上5日目は4種目の決勝が行われ、東京五輪で世界歴代1~3位の記録が誕生するなど歴史的レースとなった男子400mハードルに最も注目が集まった。

その中心は五輪メダリストの3人、史上初の45秒台(45秒94)で金メダルに輝いたカールステン・ワルホルム(ノルウェー)と、従来の世界記録(46秒70)を更新しながらも46秒17で2位に甘んじたライ・ベンジャミン(米国)、そして46秒72で銅メダルだったアリソン・ドス・サントス(ブラジル)。レースは3レーンにベンジャミン、4レーンにワルホルム、6レーンにドス・サントスが入り、前半から高速レースが展開される。

勝負の分かれ目となったのは8台目。ドス・サントスとベンジャミンが流れるように越えたのに対し、ワルホルムが足を合わせきれずに失速した。今季初戦だった6月5日のダイヤモンドリーグ(DL)・ラバト大会で左脚ハムストリングスを痛め、今大会がほぼぶっつけ本番だった影響は否めない。

残り100mで力強く前に出たのがドス・サントスだった。今季出場したDLは4戦全勝。今大会前最後のDLだった6月30日のストックホルム大会で今季世界最高の46秒80をマークした勢いは、本物だった。昨年破られるまで29年もの間世界記録(46秒78)を保持していたケヴィン・ヤング(米国)の大会記録(47秒13、1993年)を29年ぶりに更新、自己ベストも大幅に塗り替える46秒29で金メダルに輝いた。

「とてもうれしい。このトラックで世界タイトルを獲得するのはとても素晴らしいことです」と振り返ったドス・サントス。2mの長身から繰り出す大きなストライドで、前半のインターバルを12歩でカバーする。まだ22歳の若さで、「もっと速く走れると思うし、完璧なレースはまだできていない。常に改善の方法を探っていく」と力強く語る。地元の大声援を背に受けたベンジャミンに完勝したレースを見ると、完調のワルホルムをも脅かす存在になるかもしれない。

広告の下にコンテンツが続きます

悲願の地元Vを逃したベンジャミンは、「銀に感謝している。 私はそれを成し遂げた」と胸を張った。「いくつかのハードルでミスをして、レースプランは台無しになった」と言うが、「『USA! USA!』の声が背中を押してくれた。2位を維持するためにできるだけ速く走った」。

ワルホルムは「とてもタフなレースだった」。ケガの影響については言い訳はせず、「やるべきことはできたと感じている」ときっぱり。そして「メダルを取りたかったけど、やってきたことを誇りに思う」と続けた。

この男子400mハードルも含めて、この日はいずれも初チャンピオンが誕生。男子円盤投は23歳の大学生、クリスチャン・チェー(スロベニア)が17年ぶり大会新の71m13で快勝。前回大会予選落ち、昨年の東京五輪5位っから、一気に世界の頂点へと上り詰めた。

男子1500mはジェイク・ワイトマン(英国)が今季世界最高、自己ベストの3分29秒23で金メダルに輝く。

7月11日に28歳を迎えたばかりで、主要国際大会での入賞は前回のドーハ大会の5位のみ。だが、6月のDLラバト、英国選手権を制するなど勢いに乗り、第1回ヘルシンキ大会を制したスティーブ・クラム以来39年ぶりの栄冠を母国にもたらした。

女子走高跳は4人が2m02に挑む大熱戦の中で、この高さを1回でクリアしたエラノア・パターソン(豪州)が世界大会初の金メダルを手にした。銀メダルだった3月の世界室内選手権で2m00をクリアしているが、屋外では初の大台ジャンプ。それも、オセアニアタイ・自国タイとなる2m02まで記録を伸ばし、一気に初の世界一をつかんだ。

前回大会で18歳ながら33年ぶりU20世界新となる2m04をクリアして銀メダルを獲得したヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)は、予選からバーを次々と1回でクリアするなど好調だったが、2m00、2m02ともに1度ずつ失敗したことが響いた。それでも、2月末から戦火に苦しむ母国に希望を与えるような鮮やかなジャンプを何度も見せた。

日本勢の出場は男子200m準決勝に挑んだ上山紘輝(住友電工)、飯塚翔太(ミズノ)の2人のみ。1組の飯塚は20秒77(-0.1)で7着、3組の上山は20秒48(+0.3)で6着となり、決勝には進めなかった。

■5日目優勝者一覧
【男子】
1500m   ジェイク・ワイトマン(英国)    3分29秒23
400mH   アリソン・ドス・サントス(ブラジル)46秒29=大会新
円盤投   クリスチャン・チェー(スロベニア) 71m13=大会新

【女子】
走高跳   エラノア・パターソン(豪州)    2m02

※一部記録に誤りがありましたので訂正しました。

◇オレゴン世界陸上(7月15日〜24日/米国・オレゴン州ユージン)4日目 オレゴン世界陸上5日目は4種目の決勝が行われ、東京五輪で世界歴代1~3位の記録が誕生するなど歴史的レースとなった男子400mハードルに最も注目が集まった。 その中心は五輪メダリストの3人、史上初の45秒台(45秒94)で金メダルに輝いたカールステン・ワルホルム(ノルウェー)と、従来の世界記録(46秒70)を更新しながらも46秒17で2位に甘んじたライ・ベンジャミン(米国)、そして46秒72で銅メダルだったアリソン・ドス・サントス(ブラジル)。レースは3レーンにベンジャミン、4レーンにワルホルム、6レーンにドス・サントスが入り、前半から高速レースが展開される。 勝負の分かれ目となったのは8台目。ドス・サントスとベンジャミンが流れるように越えたのに対し、ワルホルムが足を合わせきれずに失速した。今季初戦だった6月5日のダイヤモンドリーグ(DL)・ラバト大会で左脚ハムストリングスを痛め、今大会がほぼぶっつけ本番だった影響は否めない。 残り100mで力強く前に出たのがドス・サントスだった。今季出場したDLは4戦全勝。今大会前最後のDLだった6月30日のストックホルム大会で今季世界最高の46秒80をマークした勢いは、本物だった。昨年破られるまで29年もの間世界記録(46秒78)を保持していたケヴィン・ヤング(米国)の大会記録(47秒13、1993年)を29年ぶりに更新、自己ベストも大幅に塗り替える46秒29で金メダルに輝いた。 「とてもうれしい。このトラックで世界タイトルを獲得するのはとても素晴らしいことです」と振り返ったドス・サントス。2mの長身から繰り出す大きなストライドで、前半のインターバルを12歩でカバーする。まだ22歳の若さで、「もっと速く走れると思うし、完璧なレースはまだできていない。常に改善の方法を探っていく」と力強く語る。地元の大声援を背に受けたベンジャミンに完勝したレースを見ると、完調のワルホルムをも脅かす存在になるかもしれない。 悲願の地元Vを逃したベンジャミンは、「銀に感謝している。 私はそれを成し遂げた」と胸を張った。「いくつかのハードルでミスをして、レースプランは台無しになった」と言うが、「『USA! USA!』の声が背中を押してくれた。2位を維持するためにできるだけ速く走った」。 ワルホルムは「とてもタフなレースだった」。ケガの影響については言い訳はせず、「やるべきことはできたと感じている」ときっぱり。そして「メダルを取りたかったけど、やってきたことを誇りに思う」と続けた。 この男子400mハードルも含めて、この日はいずれも初チャンピオンが誕生。男子円盤投は23歳の大学生、クリスチャン・チェー(スロベニア)が17年ぶり大会新の71m13で快勝。前回大会予選落ち、昨年の東京五輪5位っから、一気に世界の頂点へと上り詰めた。 男子1500mはジェイク・ワイトマン(英国)が今季世界最高、自己ベストの3分29秒23で金メダルに輝く。 7月11日に28歳を迎えたばかりで、主要国際大会での入賞は前回のドーハ大会の5位のみ。だが、6月のDLラバト、英国選手権を制するなど勢いに乗り、第1回ヘルシンキ大会を制したスティーブ・クラム以来39年ぶりの栄冠を母国にもたらした。 女子走高跳は4人が2m02に挑む大熱戦の中で、この高さを1回でクリアしたエラノア・パターソン(豪州)が世界大会初の金メダルを手にした。銀メダルだった3月の世界室内選手権で2m00をクリアしているが、屋外では初の大台ジャンプ。それも、オセアニアタイ・自国タイとなる2m02まで記録を伸ばし、一気に初の世界一をつかんだ。 前回大会で18歳ながら33年ぶりU20世界新となる2m04をクリアして銀メダルを獲得したヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)は、予選からバーを次々と1回でクリアするなど好調だったが、2m00、2m02ともに1度ずつ失敗したことが響いた。それでも、2月末から戦火に苦しむ母国に希望を与えるような鮮やかなジャンプを何度も見せた。 日本勢の出場は男子200m準決勝に挑んだ上山紘輝(住友電工)、飯塚翔太(ミズノ)の2人のみ。1組の飯塚は20秒77(-0.1)で7着、3組の上山は20秒48(+0.3)で6着となり、決勝には進めなかった。 ■5日目優勝者一覧 【男子】 1500m   ジェイク・ワイトマン(英国)    3分29秒23 400mH   アリソン・ドス・サントス(ブラジル)46秒29=大会新 円盤投   クリスチャン・チェー(スロベニア) 71m13=大会新 【女子】 走高跳   エラノア・パターソン(豪州)    2m02 ※一部記録に誤りがありましたので訂正しました。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.01.17

西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]

NEWS 編集部コラム「年末年始の風物詩」

2025.01.17

編集部コラム「年末年始の風物詩」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS 中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

2025.01.17

中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]

NEWS 栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

2025.01.17

栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]

NEWS 東京世界陸上のチケット一般販売が1月31日からスタート!すでに23万枚が販売、新たな席種も追加

2025.01.17

東京世界陸上のチケット一般販売が1月31日からスタート!すでに23万枚が販売、新たな席種も追加

東京2025世界陸上財団は、今年9月に開催される東京世界選手権の観戦チケットの一般販売を1月31日(金)の18時から開始すると発表した。 昨夏に先行販売が始まり、年末年始にも特別販売を実施。すでに23万枚を販売し売れ行き […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年2月号 (1月14日発売)

2025年2月号 (1月14日発売)

駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝

page top