◇オレゴン世界陸上(7月15日〜24日/米国・オレゴン州ユージン)4日目
オレゴン世界陸上4日目は5種目の決勝と七種競技の後半が行われ、午前6時15分(現地時間)スタートの女子マラソンでは、前日の男子同様にハイレベルの優勝争いが繰り広げられた。
最初の5kmを16分10秒で通過と、スローで入った男子とは一変していきなり高速レースに。18km過ぎに前回優勝のルース・チェプンゲティチ(ケニア)がコースを外れる波乱含みの展開から、エチオピア勢が仕掛ける。そして、28kmからはゴティトム・ゲブレシラシェとジュディス・コリル(ケニア)が10km以上に渡って息詰まるデッドヒートを繰り広げた。
勝負が決したのは40.5km。ゲブレシラシェがスパートし、2時間18分11秒の大会新記録で初優勝を飾った。コンディションに恵まれたこともあり、世界陸上では史上初の2時間20分切り。前日の男子ではタミラト・トーラがこちらも大会新の2時間5分35秒で制しており、エチオピアが五輪、世界陸上を通じて同国初のマラソン男女制覇を成し遂げた。
エチオピア女子としては3大会ぶり2人目の栄冠を手にしたゲブレシラシェは、「とてもうれしい。40kmを過ぎても力が残っていると感じたので、スパートしようと決めた。昨日のトーラの優勝が、とてもモチベーションになった」と振り返った。
コリルが9秒差の2時間18分20秒で2位となり、後半に順位を上げたロナ・チェムタイ・サルペーター(イスラエル)が2時間20分18秒で銅メダルを獲得。4位までが2005年ヘルシンキ大会でポーラ・ラドクリフ(英国)が出した大会記録(2時間20分57秒)を上回った。
イブニング・セッションでは跳躍の「王者」と「女王」がその力を存分に発揮した。
男子走高跳はムタズ・エッサ・バルシム(カタール)が2m37で貫録の3連覇。跳び始めの2m24から優勝記録の2m37まで、すべて一発でクリアする圧巻のシリーズで、他の選手に付け入る隙を与えなかった。東京五輪ではジャンマルコ・タンベリ(イタリア)と同記録・同試技で優勝を分け合い、念願の五輪金メダルを獲得。名実ともに現役最高のジャンパーとして君臨する。
女子三段跳決勝は、15m74の世界記録を持つユリマール・ロハス(ベネズエラ)の独壇場。2回目に今季ベストの15m47(+1.9)をマークすると、3回目15m24(+1.1)、優勝を決めた後の6回目も15m39(+0.5)で締めくくる。2位のシャニエカ・リケッツ(ジャマイカ)に58cmもの大差をつけて悠々と3連覇を飾り、東京五輪と、その間に行われた2018年と今年3月の世界室内選手権を合わせた世界大会の連勝を「6」に伸ばした。
女子七種競技はナフィサットゥ・ティアム(ベルギー)がセカンドベストとなる6947点で2大会ぶりの金メダルに輝く。6種目めのやり投でアナウク・フェッター(オランダ)に譲ったトップの座を、最終種目の800mで奪還。昨年の東京五輪でも連覇を飾った27歳が、「クイーン・オブ・アスリート」の座を守った。
女子1500mでも、五輪2連覇中のフェイス・キピエゴン(ケニア)が室内世界記録(3分53秒09)保持者のグダフ・ツェガイ(エチオピア)、東京五輪銀メダリストのローラ・ミューアー(英国)といったライバルたちの挑戦を真っ向から受け止めて、圧倒。最初の1周を58秒82で入る超ハイペースの展開から、終盤にさらにギアを上げる。パフォーマンス世界歴代10位の3分52秒96で2大会ぶりの優勝を飾った。
男子3000m障害はスローペースから、終盤に熾烈な金メダル争いを展開。終盤に抜け出したソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ)が8分25秒13で東京五輪に続くタイトル獲得。五輪ではケニア勢の10連覇を阻止したが、世界陸上でもケニア勢の連勝を「7」で止めた。
日本勢は女子マラソンで松田瑞生(ダイハツ)が終始ほぼ独走でレースを進め、2時間23分49秒の世界陸上日本人最高タイムをマーク。9位と惜しくも入賞には届かなかったが、コロナ禍で一山麻緒(資生堂)と新谷仁美(積水化学)が欠場し、日本勢ただ1人の出場となるなか健闘した。
イブニングセッションでは、男子走高跳で日本人として初めて決勝に臨んだ真野友博(九電工)が2m27を1回目にクリアして8位入賞の快挙を達成。男子200m予選では世界陸上初出場の上山紘輝(住友電工)が日本歴代9位の20秒26(+1.0)の好タイムをマークして、準決勝に進出。ベテランの飯塚翔太(ミズノ)も20秒72(±0)で組3着となり、自身3度目の準決勝に駒を進めた。また、200mに出場予定だった小池祐貴(住友電工)は新型コロナウイルス感染が判明し、欠場している。
■4日目優勝者一覧
【男子】
3000m障害 ソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ) 8分25秒13
走高跳 ムタズ・エッサ・バルシム(カタール) 2m37
【女子】
1500m フェイス・キピエゴン(ケニア) 3分52秒96
マラソン ゴティトム・ゲブレシラシェ(エチオピア)2時間18分11秒=大会新
三段跳 ユリマール・ロハス(ベネズエラ) 15m47(+1.9)
七種競技 ナフィサットゥ・ティアム(ベルギー) 6947点
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.17
不破聖衣来が香港で10kmレースに出場 9位でフィニッシュ
2024.11.20
【箱根駅伝2025名鑑】早稲田大学
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会