◇オレゴン世界陸上(7月15日〜24日/米国・オレゴン州ユージン)3日目
オレゴン世界陸上3日目は7種目で決勝が行われ、最終種目の女子100mでは35歳のベテランが圧巻のスプリントを披露。シェリーアン・フレイザー・プライス(ジャマイカ)が鮮やかなスタートダッシュから他を寄せ付けず、大会新の10秒67(+0.8)で2連覇を達成した。従来の大会記録は1999年にマリオン・ジョーンズ(米国)が作った10秒70で、それを23年ぶりに0.03秒更新。2位には世界歴代7位タイの10秒73を出したシェリカ・ジャクソン、3位には10秒81で東京五輪女王のエライン・トンプソン・ヘラーが入り、ジャマイカ勢が五輪と同じメンバー(1位エライン・トンプソン、2位フレイザー・プライス、3位ジャクソン)で、世界陸上では史上初の表彰台独占を果たした。
ウイニングランでは大観衆からの祝福を受け、笑顔を振りまいたフレイザー・プライス。「私はこの才能を持っていたこと、そして35歳を過ぎてもそれを持ち続けられることに感謝している。数えきれないほど挫折したけれど、そのたびにここへ戻ってくることができた」と語った。
08年北京五輪で初の世界一に輝き、翌年のベルリン世界陸上も制した。その後、12年ロンドン五輪を連覇し、世界陸上は13年モスクワ、15年北京、19年ドーハを制覇。17年8月に愛息ザイオン君を出産した時期の休養を挟むとはいえ、14年もの間「最速女王」の座を争い続けた稀有なスプリンターである。
「出産をしても、うまくいけば自分自身の旅をすることができるのだと、世界の女性たちに刺激を与えていきたい」。その力も、モチベーションも、衰える気配は微塵も感じられない。
現地時間午前6時15分にスタートした男子マラソンは、気温13度ほどと夏マラソンとしては絶好のコンデイションにも後押しされ、後半は超高速レースに。
最初の5㎞が15分42秒、中間点を1時間4分08秒で通過するスローな展開から、30kmから徐々にペースアップ。そこから抜け出したのがタミラト・トーラ(エチオピア)だった。34㎞過ぎにトップに立つと、その後は1㎞2分50秒前後のスピードで独走。従来の大会記録(2時間6分54秒/アベル・キルイ、ケニア/09年ベルリン)を1分19秒も塗り替える2時間5分35秒で、堂々の金メダルに輝いた。
後半のハーフが1時間1分台というトーラの猛烈なペースアップを受けて後続も好タイムとなり、2位のモシネト・ゲレメウ(エチオピア)が2時間6分44秒、3位のバシル・アブディ(ベルギー)も2時間6分48秒と従来の大会記録を上回った。
モーニングセッションの午後1時(現地時間)に行われた男子10000mは、残り1周の壮絶なラスト勝負を制したジョシュア・チェプテゲイ(ウガンダ)が27分27秒43で2連覇を達成。2位には日本のヤクルトに所属するスタンネリー・ワイザカ(ケニア)が27分27秒90で入り、ヤコブ・キプリモ(ウガンダ)が27分27秒97で東京五輪に続く銅メダルを獲得した。東京五輪金メダルのセレモン・バレガ(エチオピア)は4位にとどまった。
このほかの4種目は、すべて地元・米国勢が制覇。しかも、いずれも複数メダルを獲得する「メダルラッシュ」の1日だった。
男子砲丸投は23m37の世界記録保持者で、五輪2連覇中ののライアン・クルーザーが5投目に22m94の大会新を放って初優勝。前回覇者のジョー・コヴァクスが22m89で2位に続き、22m29の自己新をマークしたジョシュ・アウォトゥンデが3位に食い込んで、同種目初の表彰台独占を果たした。
男子110mハードルは前回王者グラント・ホロウェイ(米国)が13秒03(+1.2)で堂々の2連覇を飾り、13秒08のトレイ・カニングハムとワン・ツーを決めた。女子棒高跳も昨年の東京五輪を制したケイティ・ナジョットと、前回銀メダルのサンディ・モリスがともに4m85の同記録ながら試技数差で金、銀メダルを分け合った。女子ハンマー投は4月に世界歴代4位の79m02を放っている26歳のブルック・アンダーセンが、セカンドベストの78m96で世界大会初制覇。75m52で2位のカムリン・ロジャース(カナダ)を挟み、ジャニー・カッサナヴォイドが74m86で銅メダルを手にした。
日本勢は、男子マラソンで西山雄介(トヨタ自動車)が2時間8分36秒の世界陸上日本人最高タイムで13位に入る健闘。星岳(コニカミノルタ)は38位にとどまった。日本記録保持者の鈴木健吾(富士通)は前日に新型コロナウイルス感染が判明し、欠場している。
男子10000m決勝は参加標準記録を突破して代表入りした田澤廉(駒大)が20位、ワールドランキングで直前に出場が決まった伊藤達彦(Honda)は22位だった。
男子400m予選では、1組のウォルシュ・ジュリアン(富士通)が45秒90で4着、5組に入った日本選手権覇者・佐藤風雅(那須環境技術センター)が45秒88で4着に食い込み、それぞれプラス通過で準決勝に進出している。6組に出場した東京五輪4×400mリレー代表・川端魁人(中京大クラブ)は46秒34の5着で予選敗退となった。
それぞれ準決勝に挑んだ男子の110mハードルの泉谷駿介(住友電工)と石川周平(富士通)、400mハードルの黒川和樹(法大)は、いずれもファイナル進出はならず。泉谷は13秒42(+0.3)で世界陸上日本人最高成績の2組5着、石川は13秒68(-0.6)で1組8着、黒川は49秒69で3組6着だった。
■3日目優勝者一覧
【男子】
10000m ジョシュア・チェプテゲイ(ウガンダ) 27分27秒43
マラソン タミラト・トーラ(エチオピア) 2時間5分35秒=大会新
110mH グラント・ホロウェイ(米国) 13秒03(+1.2)
砲丸投 ライアン・クルーザー(米国) 22m94=大会新
【女子】
100m シェリーアン・フレイザー・プライス(ジャマイカ) 10秒67(+0.8)=大会新
棒高跳 ケイティ・ナジョット(米国) 4m85
ハンマー投 ブルック・アンダーセン(米国) 78m96
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.16
2025.01.12
【テキスト速報】第43回都道府県対抗女子駅伝
-
2025.01.14
-
2025.01.12
-
2025.01.15
2024.12.22
早大に鈴木琉胤、佐々木哲の都大路区間賞2人が来春入学!女子100mH谷中、松田ら推薦合格
-
2024.12.22
-
2024.12.30
-
2025.01.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.01.17
西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録
1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
2025.01.17
中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝
◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]
2025.01.17
栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表
日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]
2025.01.17
東京世界陸上のチケット一般販売が1月31日からスタート!すでに23万枚が販売、新たな席種も追加
東京2025世界陸上財団は、今年9月に開催される東京世界選手権の観戦チケットの一般販売を1月31日(金)の18時から開始すると発表した。 昨夏に先行販売が始まり、年末年始にも特別販売を実施。すでに23万枚を販売し売れ行き […]
Latest Issue 最新号
2025年2月号 (1月14日発売)
駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝