2022.07.12
7月15日にいよいよ開幕するオレゴン世界陸上。東京五輪から1年、24年パリ五輪に向けた大事なリスタートの大会でもある。大会を前に、日本代表の監督を務める日本陸連・山崎一彦強化委員長にインタビューした。今大会のテーマは「チャレンジ」。オレゴンに向けた日本代表の特徴、そして選手たちへの期待を聞く。
自己ベストを出せるサポートをしたい
オレゴン世界選手権の日本代表は男子41人、女子27人、計68人。これは自国開催だった1991年東京大会、2007年大阪大会を除いて、海外開催の大会では過去最多です。昨年の東京五輪が66人だったので、それ以上の数字になりました。
そのうち男子27人、女子20人が初出場です。今回のテーマは「チャレンジ」。新しい選手たちと、2024年パリ五輪へ向かってチャレンジしていく第一歩がこのオレゴン世界選手権です。
東京五輪までの日本を牽引してくれた選手たちの相当数が出場辞退や代表から外れています。休みが必要な選手はしっかりと休み、パリ五輪の年にきちんと合わせられればいい。新しい選手が経験を積み、パリの年にベテランが戻って融合できれば、理想の日本代表が編成できると思います。
具体的なメダルや入賞数の設定は、東京五輪と同様にこちらから提示することはありません。選手それぞれがメダルを取りたい、入賞したいと思っています。そんな選手たちが自己ベストを出せるようにサポートすることが我々の役割です。
競歩、マラソン、五輪代表勢に期待
東京五輪に向けて重点的に強化してきた種目については、オレゴンでも引き続きメダル、入賞を目指した取り組みをしています。
銀、銅メダルを獲得した男子20km競歩は、連覇が懸かっている山西利和選手(愛知製鋼)、東京銀メダルの池田向希選手(旭化成)が、手応えを感じさせる仕上がりです。男女マラソンも入賞を目標に置き、「勝負強さを出す」ことを目指しています。特に女子に関しては五輪翌年ということも考えれば現最強メンバーと言えますから、メダルまでいってほしいという思いはあります。
男子4×100mリレーは新しいメンバーで臨むことになりました。新たな可能性を求めてほしいです。初代表の選手たちには、これまでの実績のことは考えず、「自分たちのチームだ」と思って伸び伸びやってほしいなと思います。
この他で入賞ラインに最も近いのは女子やり投の北口榛花選手(JAL)と、男子走幅跳の橋岡優輝選手(富士通)でしょう。ともに、ダイヤモンドアスリートとして中長期的な育成スケジュールの中で目指していた本物の「国際人」になってきました。
男子では100mのサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(タンブルウィードTC)、110mハードルの泉谷駿介選手(住友電工)、3000m障害の三浦龍司選手(順大)といった実力のある選手たち、女子では800m・1500m・5000mの田中希実選手(豊田自動織機)、5000m・10000mの廣中璃梨佳選手(日本郵政グループ)に期待しています。
勝負に求められるのは「自己ベスト」
今季の世界の状況を見てみると、中長距離に関しては記録が出ている活況です。一方で、フィールド種目に関しては一部を除いて低調ですが、これも蓋を開けてみないとわかりません。
東京五輪は自国開催ということで伸び伸びとマイペースでやれた選手も多かったと思います。それが結果につながった要因の1つでもあるので、海外でも自分のペースを大事にするべきです。今回は19年ドーハ大会以来となる海外での国際大会。いろいろな外的ストレスがあるでしょう。
そうした中で、まずは自分たちがファーストラウンド、セミファイナルでそれぞれの100%の力を出すことが大切で、自己ベストを出すことが最初の目標になるでしょう。とにかく自分に集中して、自己新という目標をクリアしていく。それが「世界と戦う」ということです。
今大会に出場できた選手は、パリ五輪に向けて意識を変えられるチャンスだと捉えていただいて、チャレンジをしてほしい。その結果を受けて1年半をどう過ごすか。1年半あれば入賞レベルまで行くことも可能です。特に初出場の選手は次のステップアップを見据えて臨んでほしいと思っています。
(※情報は7月7日時点)
自己ベストを出せるサポートをしたい
オレゴン世界選手権の日本代表は男子41人、女子27人、計68人。これは自国開催だった1991年東京大会、2007年大阪大会を除いて、海外開催の大会では過去最多です。昨年の東京五輪が66人だったので、それ以上の数字になりました。 そのうち男子27人、女子20人が初出場です。今回のテーマは「チャレンジ」。新しい選手たちと、2024年パリ五輪へ向かってチャレンジしていく第一歩がこのオレゴン世界選手権です。 東京五輪までの日本を牽引してくれた選手たちの相当数が出場辞退や代表から外れています。休みが必要な選手はしっかりと休み、パリ五輪の年にきちんと合わせられればいい。新しい選手が経験を積み、パリの年にベテランが戻って融合できれば、理想の日本代表が編成できると思います。 具体的なメダルや入賞数の設定は、東京五輪と同様にこちらから提示することはありません。選手それぞれがメダルを取りたい、入賞したいと思っています。そんな選手たちが自己ベストを出せるようにサポートすることが我々の役割です。競歩、マラソン、五輪代表勢に期待
東京五輪に向けて重点的に強化してきた種目については、オレゴンでも引き続きメダル、入賞を目指した取り組みをしています。 銀、銅メダルを獲得した男子20km競歩は、連覇が懸かっている山西利和選手(愛知製鋼)、東京銀メダルの池田向希選手(旭化成)が、手応えを感じさせる仕上がりです。男女マラソンも入賞を目標に置き、「勝負強さを出す」ことを目指しています。特に女子に関しては五輪翌年ということも考えれば現最強メンバーと言えますから、メダルまでいってほしいという思いはあります。 男子4×100mリレーは新しいメンバーで臨むことになりました。新たな可能性を求めてほしいです。初代表の選手たちには、これまでの実績のことは考えず、「自分たちのチームだ」と思って伸び伸びやってほしいなと思います。 この他で入賞ラインに最も近いのは女子やり投の北口榛花選手(JAL)と、男子走幅跳の橋岡優輝選手(富士通)でしょう。ともに、ダイヤモンドアスリートとして中長期的な育成スケジュールの中で目指していた本物の「国際人」になってきました。 男子では100mのサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(タンブルウィードTC)、110mハードルの泉谷駿介選手(住友電工)、3000m障害の三浦龍司選手(順大)といった実力のある選手たち、女子では800m・1500m・5000mの田中希実選手(豊田自動織機)、5000m・10000mの廣中璃梨佳選手(日本郵政グループ)に期待しています。勝負に求められるのは「自己ベスト」
今季の世界の状況を見てみると、中長距離に関しては記録が出ている活況です。一方で、フィールド種目に関しては一部を除いて低調ですが、これも蓋を開けてみないとわかりません。 東京五輪は自国開催ということで伸び伸びとマイペースでやれた選手も多かったと思います。それが結果につながった要因の1つでもあるので、海外でも自分のペースを大事にするべきです。今回は19年ドーハ大会以来となる海外での国際大会。いろいろな外的ストレスがあるでしょう。 そうした中で、まずは自分たちがファーストラウンド、セミファイナルでそれぞれの100%の力を出すことが大切で、自己ベストを出すことが最初の目標になるでしょう。とにかく自分に集中して、自己新という目標をクリアしていく。それが「世界と戦う」ということです。 今大会に出場できた選手は、パリ五輪に向けて意識を変えられるチャンスだと捉えていただいて、チャレンジをしてほしい。その結果を受けて1年半をどう過ごすか。1年半あれば入賞レベルまで行くことも可能です。特に初出場の選手は次のステップアップを見据えて臨んでほしいと思っています。 (※情報は7月7日時点)
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