◇第106回日本選手権(6月9日~12日/大阪・ヤンマースタジアム長居)3日目
雨中のレースとなった男子3000m障害は、昨夏の東京五輪で7位入賞を果たした三浦龍司(順大)が圧巻の強さを見せた。
スタート直後から先頭に立ち、「(1000mを)2分45秒で押していくのがレースプランだった」と、序盤から積極的にレースを牽引した。入りの1000mを予定通り2分45秒で通過すると、このハイペースに東京五輪代表の青木涼真(Honda)と山口浩勢(愛三工業)も付いていけず。ただ一人、荻野太成(旭化成)が食らいつくも、2000mを前に後退した。
2000mを5分32秒で通過すると、最後の1000mは三浦の独走状態。昨年自身がマークした大会記録を塗り替える、8分14秒47で2連覇を果たした。
「去年に比べれば、良いレースはできたと思いますし、世界選手権を決めることができたという意味では安心しました」
すでにオレゴン世界選手権の標準記録を突破しているため、日本代表内定を手にしたことに安堵を口にした。
今季、初戦の金栗記念は1500mに出場し、日本歴代2位の3分36秒69をマークして、遠藤日向(住友電工)らを抑えて優勝を果たした。さらに、織田記念では5000mを13分32秒42で制し、“専門外”の種目でも圧倒的な力を示した。ただ、「スピード、スタミナと言う面に関しては十分な力が付いている」と手応えを口にした一方で、「ラスト1000mからハードリングに切り替えたんですけど、脚の筋力などフィジカル面はまだまだ足りない。キレの部分など、追い込むというところに関しては課題が見えた。3000m障害でしか用いられない力、技術が、不十分だったなと思います」と、圧勝にも反省点を見出していた。
その意識の高さは、世界で戦うための覚悟でもある。
「海外のレースでギルマ選手(エチオピア)が7分台を出して、すごく刺激になった。自己ベストが出たところで、世界にはまだまだ上がいるという意識を持つことが大事。国内で、自分の範疇の中で走っていては、とうてい追いつけないし、克服すべき課題を一つひとつ見つけて強化していかないといけない」
三浦の1歳上のラメチャ・ギルマは、今季、5月31日、6月5日、9日と、3試合連続で7分台をマークしており、三浦は対抗心を燃やしている。今季の目標タイムを聞かれると、「“8分は切ります”と断言したいです」と7分台の大台へ、決意を表明した。
その前に、まずは世界選手権で自身の持つ日本記録(8分09秒92)を更新して、入賞を目指す。
三浦の他にも、東京五輪に出場した3選手が強さを見せ、2位に青木、3位に山口と表彰台を占めた。青木は自己ベストとなる8分20秒09をマークし、標準記録をもクリアして、世界選手権出場を決めた。一方で、3位の山口は8分23秒29とわずかに届かず、即内定とはならなかった。
文/和田悟志

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.03.26
-
2025.03.26
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.25
-
2025.03.21
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
-
2025.03.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.27
篠原倖太朗がOnとアスリート契約 4月より富士通に加入し、Onアスリートとして世界挑戦がスタート!
スイスのスポーツブランド「On (オン)」は、今年の1月より屋外5000mの日本人学生最高記録、ハーフマラソンの日本学生記録保持者である篠原倖太朗とのアスリート契約を結んだ。4月より名門実業団チームである富士通に加入し、 […]
2025.03.26
日本陸連が暑熱環境下の大会について対応検討 今年は日本選手権、インターハイなど「WBGT31度」目安に「踏み込んだ対策を」
日本陸連は3月26日に行われた理事会で、暑熱環境下における大会運営に対しての考えを示した。 日本陸連の田﨑博道専務理事は、最近の気候変動の大きさに触れたうえで、特に夏の競技会について「暑熱環境下で競技をすることの危険性は […]
2025.03.26
日本選手権の大会要項と競技実施日が発表! 男子100mは初日に予選、準決勝 2日目に決勝 女子やり投は1日目に実施
日本陸連は3月26日、第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場)の大会要項ならびに競技実施日を発表した。 今年の日本選手権は9月に行われる東京世界選手権の選考会を兼ねて実施される。昨年まではU20日本選手権 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報