写真は代表取材
第106回日本選手権を控える6月8日、舞台となるヤンマースタジアム長居で前日会見が行われ、有力選手たちが登壇。大会への意気込みや現状を語った。
まずは男子短距離陣。100mで地元での連覇の懸かる多田修平(住友電工)は、「ケガ明けで少し不安な面はありますが、今季一番の出来にあるので、連覇を目指して頑張ります」と言う。肉離れの影響で5月のセイコーゴールデングランプリを棄権。その前後は走ることができない状態だったようだ。
まだオレゴン世界選手権の参加標準記録(10秒05)を切っていないことから、「優先は勝つこと」とし、「その上で10秒05を切れれば笑顔でフィニッシュできます」と語った。ケガの要因については「接地の感覚が少し前にズレていた」と振り返る。その改善に取り組み日本選手権に向けて調子を戻してきた。「昨年もチャレンジャーとして臨んだ。今年も同じ気持ちで挑みたい」と気合を入れていた。
前回5位で個人での東京五輪代表を逃している桐生祥秀(日本生命)。「出雲から2カ月ほど間隔が開いたので今季初戦ぐらいの気持ちで臨みたい」と言う。出雲で脚に違和感を覚えてその後は試合に出ず調整。「まずは10秒05を切れるよう頑張りたい」と淡々と話す。ケガ後も焦らず、ここに絞って練習を積んできたと言い状態に関しては問題なさそう。
前回200mを制し100m4位の小池祐貴(住友電工)は、「今季の中ではいい状態。代表選考のある日本選手権は代表権をもぎ取る気持ちで毎回臨んでいます。100m・200mともに標準を切っていない。100mは決勝の日が雨予報なので準決勝で一発狙っていければ」と意気込んでいる。
サニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)は前回大会で左ハムストリングスの違和感もあって100mで五輪代表を逃し、200mで出場した東京五輪も予選敗退に終わっている。今シーズンは好調で4月に米国フロリダ州・ジャクソンヴィルで行われたノースフロリダ大招待100mでは追い風参考ながら10秒08(+2.1)をマーク。その後も順調にトレーニングを積んできたと言い、今回は100mに絞ってエントリーした。「時差もあるので1週間前には帰国し、レースに備えてきました。あとは気合だけかなと思います。練習でやってきたことを試合で出せるようにしたい。4月のレース時と比べても状態は上がっています。普通に走ればタイムも狙えると思う」と3年ぶりの優勝を目指す。
◇田中は3種目エントリー「すっきりできるレースを」、5000m遠藤は「連覇目指す」
女子中長距離陣からは田中希実(豊田自動織機)が登壇。昨年に引き続き800m・1500m・5000mの3種目にエントリーした。「調子が上がってきているところ」で、「どちらかといえば世界選手権にピークを持っていきたいので、今できる最大限のパフォーマンスができれば」と話す。今季は「まだ自分の中でもスッキリとしたレースができていません。自分の中でスッキリできるレースをして、まずは1500mで確実に権利を取ること」を目指す。
前回、5000mで初優勝を果たすも五輪標準に届かず悔し涙を流した遠藤日向(住友電工)は、5月のゴールデンゲームズinのべおかで日本歴代2位の13秒10秒69をマークして、オレゴン世界選手権参加標準記録(13分13秒50)をクリア。「順調にトレーニングが積めています。標準を突破しているので、今回は気持ち的にも余裕があります。3番以内で代表が決まりますが連覇を目指して頑張りたい」と力強い。
女子走幅跳で初の連覇を目指す秦澄美鈴(シバタ工業)は、「スムーズに脚が回る感覚があり、かなりいい感じで、自分自身に期待してしまうぐらい」と、前日練習を終えて笑顔を見せる。日本選手権に向けてもう一段階レベルを上げたウエイトトレーニングやスピード練習に取り組んできたと言い、「世界選手権に出場するために、標準記録(6m82)を切って代表権を勝ち取りたい。試合に集中し力を出し切れば、記録的にも届く位置にあると思うので、最後まであきらめずにチャレンジしたい」と語った。
オレゴン世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権は6月9日から12日まで、大阪・ヤンマースタジアム長居で開催される。
文/花木 雫

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