2019.12.26
【アイテム】
サポートとパフォーマンスを両立した
村井の「インソールプロスポーツ ランニング」
「走る」という動作は、足に体重の3倍の負担がかかると言われている。ましてやダッシュ、ジャンプとなれば、そのダメージはさらに大きくなり、ケガのリスクが高まることは言うまでもないだろう。
足へのダメージを和らげる方法として、シューズのインソール(中敷)を交換することで状況が改善される場合がある。今回紹介する村井の「インソールプロスポーツ ランニング(insole PRO SPORTS for RUNNING)」は、サポート性とパフォーマンスを両立したアスリートのためのインソールだ。その使い心地をレポートする。
村井の「インソールプロスポーツ ランニング」。2019年度グッドデザイン賞を受賞している
母指球を〝ロック〟しつつ足を守る
靴用部品や材料を扱っている株式会社村井が満を持して発売した同社初のスポーツ用インソールが「インソールプロスポーツ ランニング(insole PRO SPORTS for RUNNING)」。同社は昭和6年(1931年)創業の老舗メーカーで、長年のインソール開発・製造で培ってきたノウハウをもとに、2018年に「インソールプロスポーツ ランニング」を完成させた。2019年にはインソールとしては初めてグッドデザイン賞も受賞している。
この製品の特徴は、母指球の滑りを抑える「ボールロックシステム」を搭載していることだ。同社はランニング動作において、シューズの中で足が「滑る」ことがパフォーマンスに影響することに着目。そこで、インソールに母指球のズレを抑えるための〝くぼみ〟を設け、シューズ内で足が動かないように配慮した(滑り止めのついた靴下を履いても、靴下がズレない代わりに、靴下の中で足が動いてしまうという)。
パフォーマンスを上げるだけでなく、「足を守る」機能も充実しているのが「インソールプロスポーツ ランニング」の特徴だ。土踏まずのアーチと足骨格アーチ、いわゆる「縦アーチ」と「横アーチ」の両面をサポートし、着地の衝撃やオーバープロネーション(踵の倒れ込み)を軽減。足を正しい方向へと導いてくれる。足底や膝などを痛めやすいランナーにとっては心強いアイテムだ。
科学に裏付けられた性能
開発にあたっては新潟医療福祉大学の阿部薫教授と共同研究を進め、全国的にも強豪である同大学の陸上競技部にも協力を仰いだという。インソールを使ったシューズで50mダッシュの記録を計測し、その統計を取ると、「ボールロックシステム」を搭載したインソールは50m走の記録が平均で0.04秒速くなることが明らかになった。
実際に「インソールプロスポーツ ランニング」を使ってみると、まずはフィット感の良さに感動する。「ボールロックシステム」は見た目に反してインソールがくぼんでいるという感覚はなく、むしろアーチ部分が盛り上がって土踏まずを適度にサポートしてくれるという印象だ。最初は違和感を覚える人がいるかもしれないが、1kmも走らないうちに気にならなくなるだろう。
そして、履いてみて意外だったのは屈曲性だ。踵から中足部に向かって伸びている硬めのヒールカウンターが、まるでカーボンプレートのような高い反発性を実現。シューズが別物に生まれ変わったかのような錯覚を覚える。試しにトラックで200mを何本か走ってみても、通常のインソールに比べて明らかにスピードの出方が違った。まさに「パフォーマンスを上げるインソール」というコンセプト通りの性能だ。
母指球部分にある「ボールロックシステム」が滑りを抑え、中足部まで伸びるヒールカウンターが高いホールド性と反発力を実現する
何を優先するか
もっとも、これらの性能には表裏一体な面もある。まず、片足50gという重量が1つのネック。サポート付きインソールとしては標準的な数字だが、シューズに最初から搭載されているインソールが20g程度であることを考えると、重さが気になる人もいるかもしれない。もし今後、ヒールカウンターを簡素化して「ボールロックシステム」だけを搭載した軽量バージョンが登場すれば、さらに使い勝手が増すだろう。
また、反発性が高いというのは、その分屈曲させるのに力が必要となる。長い距離を走る場合は、シューズを曲げるためのパワーが足りずに反発力をうまく引き出せないことも考えられる。
インソールを交換するのはあくまでもサポート力を高めることが主目的。純粋にタイム短縮を目指すのであれば、サポート機能はないほうがプラスに働くケースもある。レースで使用する場合は事前に使用感をチェックするなどして、目的や状況に応じて選択するのがベストだろう。
11月には共同開発者である新潟医療福祉大の阿部薫教授が機能を解説。短距離から長距離、フォアフットからヒールストライクまでさまざまな用途・走法に対応できるように設計されている
フィット感やサポート力は申し分なく、5000円(税別)という価格もランニング専用インソールとしてはお手頃と言える。寿命が限られるシューズとは違って、一度購入してしまえば長く使い続けられるのも魅力だ。故障に悩むランナーや、冬季練習などで身体へのダメージを軽減したいというアスリートには最適の製品と言えるだろう。
◎文/山本慎一郎
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<関連リンク>
・開発者インタビュー(村井のWebサイト内)
※「インソールプロスポーツ ランニング」は『月刊陸上競技』2020年5月号誌上でプレゼント企画を実施しています。ご応募はこちらから
【アイテム】 サポートとパフォーマンスを両立した 村井の「インソールプロスポーツ ランニング」
「走る」という動作は、足に体重の3倍の負担がかかると言われている。ましてやダッシュ、ジャンプとなれば、そのダメージはさらに大きくなり、ケガのリスクが高まることは言うまでもないだろう。 足へのダメージを和らげる方法として、シューズのインソール(中敷)を交換することで状況が改善される場合がある。今回紹介する村井の「インソールプロスポーツ ランニング(insole PRO SPORTS for RUNNING)」は、サポート性とパフォーマンスを両立したアスリートのためのインソールだ。その使い心地をレポートする。
母指球を〝ロック〟しつつ足を守る
靴用部品や材料を扱っている株式会社村井が満を持して発売した同社初のスポーツ用インソールが「インソールプロスポーツ ランニング(insole PRO SPORTS for RUNNING)」。同社は昭和6年(1931年)創業の老舗メーカーで、長年のインソール開発・製造で培ってきたノウハウをもとに、2018年に「インソールプロスポーツ ランニング」を完成させた。2019年にはインソールとしては初めてグッドデザイン賞も受賞している。 この製品の特徴は、母指球の滑りを抑える「ボールロックシステム」を搭載していることだ。同社はランニング動作において、シューズの中で足が「滑る」ことがパフォーマンスに影響することに着目。そこで、インソールに母指球のズレを抑えるための〝くぼみ〟を設け、シューズ内で足が動かないように配慮した(滑り止めのついた靴下を履いても、靴下がズレない代わりに、靴下の中で足が動いてしまうという)。 パフォーマンスを上げるだけでなく、「足を守る」機能も充実しているのが「インソールプロスポーツ ランニング」の特徴だ。土踏まずのアーチと足骨格アーチ、いわゆる「縦アーチ」と「横アーチ」の両面をサポートし、着地の衝撃やオーバープロネーション(踵の倒れ込み)を軽減。足を正しい方向へと導いてくれる。足底や膝などを痛めやすいランナーにとっては心強いアイテムだ。科学に裏付けられた性能
開発にあたっては新潟医療福祉大学の阿部薫教授と共同研究を進め、全国的にも強豪である同大学の陸上競技部にも協力を仰いだという。インソールを使ったシューズで50mダッシュの記録を計測し、その統計を取ると、「ボールロックシステム」を搭載したインソールは50m走の記録が平均で0.04秒速くなることが明らかになった。 実際に「インソールプロスポーツ ランニング」を使ってみると、まずはフィット感の良さに感動する。「ボールロックシステム」は見た目に反してインソールがくぼんでいるという感覚はなく、むしろアーチ部分が盛り上がって土踏まずを適度にサポートしてくれるという印象だ。最初は違和感を覚える人がいるかもしれないが、1kmも走らないうちに気にならなくなるだろう。 そして、履いてみて意外だったのは屈曲性だ。踵から中足部に向かって伸びている硬めのヒールカウンターが、まるでカーボンプレートのような高い反発性を実現。シューズが別物に生まれ変わったかのような錯覚を覚える。試しにトラックで200mを何本か走ってみても、通常のインソールに比べて明らかにスピードの出方が違った。まさに「パフォーマンスを上げるインソール」というコンセプト通りの性能だ。
何を優先するか
もっとも、これらの性能には表裏一体な面もある。まず、片足50gという重量が1つのネック。サポート付きインソールとしては標準的な数字だが、シューズに最初から搭載されているインソールが20g程度であることを考えると、重さが気になる人もいるかもしれない。もし今後、ヒールカウンターを簡素化して「ボールロックシステム」だけを搭載した軽量バージョンが登場すれば、さらに使い勝手が増すだろう。 また、反発性が高いというのは、その分屈曲させるのに力が必要となる。長い距離を走る場合は、シューズを曲げるためのパワーが足りずに反発力をうまく引き出せないことも考えられる。 インソールを交換するのはあくまでもサポート力を高めることが主目的。純粋にタイム短縮を目指すのであれば、サポート機能はないほうがプラスに働くケースもある。レースで使用する場合は事前に使用感をチェックするなどして、目的や状況に応じて選択するのがベストだろう。


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