HOME ニュース、国内

2022.05.07

廣中璃梨佳 渾身のスパートでオレゴン内定!「パリ五輪を見据えて、世界選手権に臨みたい」/日本選手権女子10000m
廣中璃梨佳 渾身のスパートでオレゴン内定!「パリ五輪を見据えて、世界選手権に臨みたい」/日本選手権女子10000m


◇日本選手権10000m(5月7日/国立競技場)

これが、東京五輪7位入賞者の意地か。日本選手権10000mの女子のラスト1周、21歳の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が見せた渾身のスパートに、それが表れていた。

7000m過ぎから繰り広げた同じ2000年生まれの萩谷楓(エディオン)との熱戦を制し、31分30秒34で2連覇を達成。オレゴン世界選手権参加標準記録(31分25秒00)も突破済みのため、初の世界選手権代表に「即内定」した。

「優勝ではなく、確実に3位以内を狙ったレース。前半余裕を持って、後半上げていくというプランだった。ラストは2人になって、自分の持ち味であるスピードを生かして走りました」

決戦当日、最も注目を集めていた不破聖衣来(拓大)が欠場を発表。今年に入って発症した右アキレス腱周囲炎の影響で思うようにトレーニングが積めなかったことから、五十嵐利治監督が「将来のことを考えて」判断したとチームのSNSを通じて明かした。

波乱含みのレースは、積極的に引っ張るタイプの五島莉乃(資生堂)が予想通りに前へ出て、1000mを3分07秒で通過。廣中は、2000mを6分14秒で通過したあたりから、五島、廣中、萩谷、矢田みくに(デンソー)、佐藤早也伽(積水化学)の5人に、オープン参加のカマウ・タビタ・ジェリ(三井住友海上)を含む6人が抜け出し、先頭集団が形成される。標準突破者の1人、小林成美(名城大)はこの集団につくことができない。

ここから、ペースは思うように上がらず、焦点は「勝負」のサバイバルレースに。4400m過ぎにカマウが前に出てペースを上げると、佐藤が脱落。5000mは15分45秒のカマウから、4秒差で五島、廣中、矢田、萩谷と続く。カマウはそのまま独走態勢へ入り、日本人の集団がここから激戦を繰り広げた。

広告の下にコンテンツが続きます

勝負が動いたのは7000m。廣中がペースを上げると、対応したのは萩谷のみ。五島、矢田がやや遅れた。7600m、廣中はかぶっていたキャップを投げ捨て、一気に勝負モードへ。

8400m。それまで食い下がっていた萩谷が初めて前に出た。廣中が食らいつく立場に入れ替わる。意地と意地がぶつかり合う熱闘の決着は、ラスト1周。廣中が渾身のスパートを放ち、ついに萩谷を振り切った。

猛暑の東京五輪で5000mの予選(14分55秒87=自己新)、決勝(9位/14分52秒84=日本新)、10000m決勝(31分00秒71=自己新)と3本すべて自己ベストを出した廣中。その反動は少なくなった。

11月の全日本実業団対抗女子駅伝(3区区間賞)、1月の都道府県対抗女子駅伝(9区区間賞)を乗り切った後は、トレーニングを継続しながらの休養モードへ。今季に向けて本格的に始動したのは4月に入ってから。しかし、「4月に貧血があって、出られるかどうかという状況だった」と廣中。ただ、「この2週間で最終調整をして、やれることはやってきた」。

これが今季初戦。それも万全ではない中で見せた強さに、夏への期待がふくらむ。

「五輪の決勝を経験して、また走りたいと思った。パリ五輪を見据えて、世界選手権に臨みたい」

2年連続の2冠が懸かる6月上旬の日本選手権5000mを「世界を見据えた通過点となるように」勝負をし、再び挑む世界でどんな走りを見せるか。スイッチの入った廣中は、もう止まらない。

■女子10000m上位成績
1位 廣中璃梨佳(日本郵政グループ)31.30.34=オレゴン世界選手権内定
2位 萩谷 楓(エディオン) 31.35.67
3位 五島莉乃(資生堂) 31.58.97=オレゴン世界選手権内定
4位 川口桃佳(豊田自動織機) 32.11.83
5位 中野円花(岩谷産業) 32.13.01
6位 矢田みくに(デンソー) 32.13.03
7位 吉川侑美(ユニクロ) 32.18.01
8位 山口 遥(AC・KITA) 32.20.33

◇日本選手権10000m(5月7日/国立競技場) これが、東京五輪7位入賞者の意地か。日本選手権10000mの女子のラスト1周、21歳の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が見せた渾身のスパートに、それが表れていた。 7000m過ぎから繰り広げた同じ2000年生まれの萩谷楓(エディオン)との熱戦を制し、31分30秒34で2連覇を達成。オレゴン世界選手権参加標準記録(31分25秒00)も突破済みのため、初の世界選手権代表に「即内定」した。 「優勝ではなく、確実に3位以内を狙ったレース。前半余裕を持って、後半上げていくというプランだった。ラストは2人になって、自分の持ち味であるスピードを生かして走りました」 決戦当日、最も注目を集めていた不破聖衣来(拓大)が欠場を発表。今年に入って発症した右アキレス腱周囲炎の影響で思うようにトレーニングが積めなかったことから、五十嵐利治監督が「将来のことを考えて」判断したとチームのSNSを通じて明かした。 波乱含みのレースは、積極的に引っ張るタイプの五島莉乃(資生堂)が予想通りに前へ出て、1000mを3分07秒で通過。廣中は、2000mを6分14秒で通過したあたりから、五島、廣中、萩谷、矢田みくに(デンソー)、佐藤早也伽(積水化学)の5人に、オープン参加のカマウ・タビタ・ジェリ(三井住友海上)を含む6人が抜け出し、先頭集団が形成される。標準突破者の1人、小林成美(名城大)はこの集団につくことができない。 ここから、ペースは思うように上がらず、焦点は「勝負」のサバイバルレースに。4400m過ぎにカマウが前に出てペースを上げると、佐藤が脱落。5000mは15分45秒のカマウから、4秒差で五島、廣中、矢田、萩谷と続く。カマウはそのまま独走態勢へ入り、日本人の集団がここから激戦を繰り広げた。 勝負が動いたのは7000m。廣中がペースを上げると、対応したのは萩谷のみ。五島、矢田がやや遅れた。7600m、廣中はかぶっていたキャップを投げ捨て、一気に勝負モードへ。 8400m。それまで食い下がっていた萩谷が初めて前に出た。廣中が食らいつく立場に入れ替わる。意地と意地がぶつかり合う熱闘の決着は、ラスト1周。廣中が渾身のスパートを放ち、ついに萩谷を振り切った。 猛暑の東京五輪で5000mの予選(14分55秒87=自己新)、決勝(9位/14分52秒84=日本新)、10000m決勝(31分00秒71=自己新)と3本すべて自己ベストを出した廣中。その反動は少なくなった。 11月の全日本実業団対抗女子駅伝(3区区間賞)、1月の都道府県対抗女子駅伝(9区区間賞)を乗り切った後は、トレーニングを継続しながらの休養モードへ。今季に向けて本格的に始動したのは4月に入ってから。しかし、「4月に貧血があって、出られるかどうかという状況だった」と廣中。ただ、「この2週間で最終調整をして、やれることはやってきた」。 これが今季初戦。それも万全ではない中で見せた強さに、夏への期待がふくらむ。 「五輪の決勝を経験して、また走りたいと思った。パリ五輪を見据えて、世界選手権に臨みたい」 2年連続の2冠が懸かる6月上旬の日本選手権5000mを「世界を見据えた通過点となるように」勝負をし、再び挑む世界でどんな走りを見せるか。スイッチの入った廣中は、もう止まらない。 ■女子10000m上位成績 1位 廣中璃梨佳(日本郵政グループ)31.30.34=オレゴン世界選手権内定 2位 萩谷 楓(エディオン) 31.35.67 3位 五島莉乃(資生堂) 31.58.97=オレゴン世界選手権内定 4位 川口桃佳(豊田自動織機) 32.11.83 5位 中野円花(岩谷産業) 32.13.01 6位 矢田みくに(デンソー) 32.13.03 7位 吉川侑美(ユニクロ) 32.18.01 8位 山口 遥(AC・KITA) 32.20.33

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.01.18

選抜女子駅伝オーダー発表 積水化学は1区松本明莉、パナソニック5区森田香織 高校3連覇狙う神村学園は5区瀬戸口凜

第36回選抜女子駅伝北九州大会(1月19日/福岡・北九州市の小倉城歴史の道発着)前日の1月18日、各チームのオーダーが発表された。 一般の部(5区間27.2km)は実業団チームと地元・北九州市一般選抜を含めた10チームが […]

NEWS 都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔

2025.01.18

都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝前日の1月18日、オーダーリストが発表された。 エントリーされていた2人の日本記 […]

NEWS 西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

2025.01.17

西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]

NEWS 編集部コラム「年末年始の風物詩」

2025.01.17

編集部コラム「年末年始の風物詩」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS 中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

2025.01.17

中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年2月号 (1月14日発売)

2025年2月号 (1月14日発売)

駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝

page top