◇静岡国際(5月3日/静岡・エコパスタジアム)
タイムレースで行われた静岡国際の男子800m。有力選手がそろう最終組を前に”新星”が輝いた。2組目に入った薄田健太郎(筑波大)は400mを53秒ほどで通過すると、バックストレートでどんどん加速。終盤は後続を大きく引き離して、日本歴代5位&大会新となる1分46秒17で突っ走った。
日本記録を持つ川元奨(スズキ)と源裕貴(NTN)が走った3組目で、このタイムを上回ったのはブラッド・マサス(ニュージランド)だけ。薄田は総合でも2位に食い込んだ。
「自己ベストが1分48秒19だったので、まずは1分47秒台を目標にしていましたが、思ったより記録が出て自分でも驚いています。いつもは2周目のバックストレートでスピードを緩めてしまうけど、今日は強気に行けて、その流れに乗って最後まで走り切ることできました。500mを通過したところで加速するイメージで走れたのがすごく良かったと思います」
会心のレースで自己ベストを一気に2秒以上も短縮。圧巻のパフォーマンスで周囲をザワつかせた薄田は神奈川・希望ヶ丘高出身で、現在は大学院2年生だ。高校3年時にインターハイで8位に入っており、高校2年から大学3年までで自己ベストを4秒近くも短縮した。4年時(2020年)には日本選手権で5位入賞。予選で1分48秒19をマークしている。
「昨季(シーズンベストは1分48秒86)はだいぶくすぶってしまった」というが、昨春に高校トップクラスの成績を残してきた二見優輝が筑波大に入学。練習パートナーができたことで、トレーニングの質が向上したという。
「筑波大は強い練習をガンガン積んでいくよりも、しっかりとレースのイメージを持ってきれいな動きで走り通すというスタイルです。そのなかで、二見君と切磋琢磨することができたのが大きな伸びにつながったかなと思います」
今季の目標は日本選手権の「表彰台」に設定していたが、今回の結果を踏まえて、上方修正。今後は日本選手の「優勝」を目指して取り組んでいくという。
「400mの自己ベストは48秒5~6で、1500mは3分51秒4。どちらもそこそこですし、自分では800mのペースの走りがうまいのかなと思っています。身長があるので、余裕のある動きができる。ストライドの大きなきれいな走りで駆け抜けるのが僕の目指す800mレースです」
身長は186cmもあり、800m世界記録保持者のデヴィッド・ルディシャ(ケニア)、2019年ドーハ世界選手権覇者のドナヴァン・ブレイジャー(米国)らの動画をよくチェックしているという薄田。活況の日本ミドルディスタンス界にまた楽しみな選手が登場した。
文/酒井政人
■男子800m日本歴代10傑
1.45.75 川元 奨(日大4) 14年
1.45.75 源 裕貴(環太平洋大4) 21年
1.45.85 金子魅玖人(中大2) 21年
1.46.16 横田真人(慶大4) 09年
1.46.17 薄田健太郎(筑波大M2) 22年
1.46.18 小野友誠(法大3) 94年
1.46.22 近野義人(ダイエー) 94年
1.46.49 四方悠瑚(宝塚市陸協) 22年
1.46.52 松本啓典(自衛隊体育学校) 10年
1.46.59 クレイ・アーロン竜波(相洋高3神奈川) 19年

RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.03.28
-
2025.03.28
-
2025.03.28
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.25
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.29
齋藤みう3000m障害で9分41秒57 自己ベスト4秒以上更新して日本歴代6位、学生歴代2位
第319回日体大長距離競技会初日が3月29日、神奈川・横浜市の同大学健志台キャンパス競技場で行われ、女子3000m障害で齋藤みう(日体大4)が日本歴代6位、学生歴代2位の9分41秒57をマークした。 齋藤のこれまでのベス […]
2025.03.28
【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ
今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]
2025.03.28
【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW 山﨑りりや Yamasaki Ririya 鳴門渦潮高3徳島 高校アスリートをフォーカスするコーナー。年度末を迎えますが、振り返ってみれば、2024年度は高校生による日本記録樹立を […]
2025.03.28
3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定
大阪・ヤンマースタジアム長居を主会場に行われた2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月28日、3泊4日の全日程を終えた。全国から集まった選手たちは交流を深め、試合での再会を誓った […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報