◇静岡国際(5月3日/静岡・エコパスタジアム)
日本グランプリシリーズ静岡大会の静岡国際が行われ、男子200mは東京五輪代表の飯塚翔太(ミズノ)が20秒34(-0.4)をマークして優勝。オレゴン世界選手権の参加標準記録(20秒24)に迫った。
地元・静岡出身の飯塚は、レース後にスタンドに向かって笑顔を浮かべる。「僕も小さい頃、スタジアムをうろうろしていて、サインをもらったのを覚えています」。愛着のあるエコパで、ケガからの復活を印象づけた。前半から飛ばしたのはこちらも地元・静岡出身の犬塚渉(スズキ)。昨年の冬から日本記録保持者・末續慎吾から指導を受け、予選から20秒40(-0.6)と快走していた。
その犬塚を見ながら、飯塚は「タイミングだけ」を意識したという。最後はフィニッシュ前でとらえる「大人のレース」。20秒4切りは2019年以来3年ぶりだった。
昨年は春先に右脚を痛め、東京五輪出場こそもぎ取ったものの21秒02の予選敗退。その後は「まったく走らず」に過ごし、練習再開は9月頃からだった。自分の走りを見返したところ、「上半身と下半身のタイミングがずれていた」という。今年は4月の豪州でシーズンインしたが21秒25(-0.8)。その後も左脚を少し痛めていた。ケガにつながったのも「タイミングのズレ」だったという。
「良い時の走りを見ると、当時は意識していなくてもタイミングがバッチリ合っていたんです」。静岡では「前半は8割くらいの力感」で進め、後半はタイミングを合わせることに集中。その結果、最後で競り勝つ余裕度があった。
高校時代に初めて出場したこの大会。「当時と緊張感は変わりません」。それから時は流れ、一緒に走る選手の顔ぶれが変わった。犬塚をはじめ、自分より若い選手ばかり。それでも「同い年くらいの気持ちで」走っている。来月には31歳になるが、まだまだ譲る気も、退く気もない。
今年の目標は「自己ベスト(20秒11)の更新と、世界選手権」。収穫を得たタイミングを保ちつつ「日本選手権に向けてスピードを上げていかないといけません」。今年出場するのは200mに集中する見込み。世界選手権は個人はもちろん、「リレーも大好きなんで、両方(4継、マイル)どっちでも」と飯塚。日本短距離界の頼れる兄貴分が、地元・静岡から新たなスタートを切った。
◇犬塚2位、小池祐貴は4位
2位の犬塚は大幅自己新だが「タイムより勝負にこだわっていたので」と悔しがる。それでも度重なるケガを乗り越えて、こちらも地元・静岡でポテンシャルの高さを発揮。「日本選手権で3位以内に入りたい」と言い、タイムは「日本で一番速い師匠(末續慎吾)の記録(20秒03)を更新すること」と見据えている。
3位には上山紘輝(住友電工)が20秒46で入り、小池祐貴(住友電工)は同タイムで4着。小池は「コーナーリングも含めて、全体的にうまく走れなかった」と振り返った。
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