HOME ニュース、国内

2022.05.02

十種競技の大器・丸山優真が覚醒間近の7807点!胸椎分離症を克服8000点は「やるべきことをすれば出る」/木南記念
十種競技の大器・丸山優真が覚醒間近の7807点!胸椎分離症を克服8000点は「やるべきことをすれば出る」/木南記念


◇木南記念(4月30日・5月1日/大阪・ヤンマースタジアム長居)2日目

日本グランプリシリーズ大阪大会の木南記念が行われ、男子十種競技は丸山優真(住友電工)が日本歴代5位となる7807点で優勝した。

大きな痛み、不安がなく十種競技を終えたのはいつぶりだろうか。「めっちゃきついです」と話す丸山の表情は充実感と達成感であふれていた。

初日は400mで自己ベストの48秒96をマークするなど、4071点のトップで折り返した丸山。2日目の得意とする110mハードルでも14秒13(+1.2)をマークして勢いに乗ると、砲丸投で右手を痛めた影響が心配された棒高跳でも4m50をクリアした。最後は歯を食いしばって1500mでフィニッシュ。優勝を決めると194cmの大きな身体を目一杯広げて、地元・大阪で「王座」に就いた喜びを表した。

「モチベーションを保つのが難しい時もありました。ここまで戻ってこられるかわからなかった」

早くから『大器』の呼び声が高かった。信太高時代には八種競技で驚異的な高校記録6214
点を樹立。日大に進学してからも1年目でU20規格のU20日本記録7790点をマークした。だが、悲劇は突然にやってくる。

広告の下にコンテンツが続きます

2019年の日本選手権で背中に強烈な痛みが襲う。胸椎椎間板ヘルニア(分離症)を発症。日常生活に支障をきたす可能性もあるほどの重病だった。手術をせずに自然治癒を選択。以降はピラティスなど身体の土台を作れるものは何でも試したという。走ることもできず、リハビリの日々が続いた。

20年の日本インカレで復帰し、昨年の日本選手権でも背中だけではなくさまざまな部分で痛みを抱えながらなんとか10種目を戦い抜いたが7484点で4位。その後は、今季に至るまで100m東京五輪代表の小池祐貴(住友電工)らとともにスプリント練習に励んだ。臼井淳一コーチは、走幅跳・走高跳のレジェンドでもある。「以前とは動きや感覚が違う。タイムを見てここまで変わっているんだと実感しました」と手応えをつかんだ。

苦しい時期を乗り越えて戻ってこられたのは、「昔からオリンピックを目標にしてきたから」。高校時代から「十種競技のウサイン・ボルトになる」と何度も公言してきた。久しぶりにやりきってなお8000点には届かず、「十種競技の難しさを感じた」。それと同時に、十種競技でしか得られない楽しさ、喜びも改めて実感したことだろう。

「やるべきことをすれば8000点は出ると思います。日本選手権で8000点に乗せたいと思います」

表彰では役員を務めていた顔見知りの先生たちからも拍手を浴びた。あと1ヵ月ほどで24歳。いつまでも『若手』のままじゃない。覚醒し、日本のキング・オブ・アスリートとなる準備が整った。

◇木南記念(4月30日・5月1日/大阪・ヤンマースタジアム長居)2日目 日本グランプリシリーズ大阪大会の木南記念が行われ、男子十種競技は丸山優真(住友電工)が日本歴代5位となる7807点で優勝した。 大きな痛み、不安がなく十種競技を終えたのはいつぶりだろうか。「めっちゃきついです」と話す丸山の表情は充実感と達成感であふれていた。 初日は400mで自己ベストの48秒96をマークするなど、4071点のトップで折り返した丸山。2日目の得意とする110mハードルでも14秒13(+1.2)をマークして勢いに乗ると、砲丸投で右手を痛めた影響が心配された棒高跳でも4m50をクリアした。最後は歯を食いしばって1500mでフィニッシュ。優勝を決めると194cmの大きな身体を目一杯広げて、地元・大阪で「王座」に就いた喜びを表した。 「モチベーションを保つのが難しい時もありました。ここまで戻ってこられるかわからなかった」 早くから『大器』の呼び声が高かった。信太高時代には八種競技で驚異的な高校記録6214 点を樹立。日大に進学してからも1年目でU20規格のU20日本記録7790点をマークした。だが、悲劇は突然にやってくる。 2019年の日本選手権で背中に強烈な痛みが襲う。胸椎椎間板ヘルニア(分離症)を発症。日常生活に支障をきたす可能性もあるほどの重病だった。手術をせずに自然治癒を選択。以降はピラティスなど身体の土台を作れるものは何でも試したという。走ることもできず、リハビリの日々が続いた。 20年の日本インカレで復帰し、昨年の日本選手権でも背中だけではなくさまざまな部分で痛みを抱えながらなんとか10種目を戦い抜いたが7484点で4位。その後は、今季に至るまで100m東京五輪代表の小池祐貴(住友電工)らとともにスプリント練習に励んだ。臼井淳一コーチは、走幅跳・走高跳のレジェンドでもある。「以前とは動きや感覚が違う。タイムを見てここまで変わっているんだと実感しました」と手応えをつかんだ。 苦しい時期を乗り越えて戻ってこられたのは、「昔からオリンピックを目標にしてきたから」。高校時代から「十種競技のウサイン・ボルトになる」と何度も公言してきた。久しぶりにやりきってなお8000点には届かず、「十種競技の難しさを感じた」。それと同時に、十種競技でしか得られない楽しさ、喜びも改めて実感したことだろう。 「やるべきことをすれば8000点は出ると思います。日本選手権で8000点に乗せたいと思います」 表彰では役員を務めていた顔見知りの先生たちからも拍手を浴びた。あと1ヵ月ほどで24歳。いつまでも『若手』のままじゃない。覚醒し、日本のキング・オブ・アスリートとなる準備が整った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.03.26

やり投・北口榛花が奄美大島で合宿「初戦までに形を見つけたい」世界選手権連覇へ「プレッシャーはない」

女子やり投の北口榛花(JAL)が合宿先の鹿児島県・奄美大島で会見を開いた。 昨年のパリ五輪で女子トラック&フィールド種目初の金メダルを獲得した北口。2月中旬から約1ヵ月はスペインのテネリフェ島で合宿を積んで一時帰国し、3 […]

NEWS 【男子100m】柏田琉依(山口FSL・中2)10秒80=中2歴代2位タイ

2025.03.26

【男子100m】柏田琉依(山口FSL・中2)10秒80=中2歴代2位タイ

山口県中学校春季記録会が3月22日、山口市の維新みらいふスタジアムで行われ、男子100mで柏田琉依(山口FSL/2年)が中2歴代2位タイの10秒80(+1.6)をマークした。 柏田のこれまでの自己ベストは、昨年11月に出 […]

NEWS 日本選手権室内・日本室内大阪大会が終了 リレーフェス今年実施せず、U16リレーは7/12~13の日本選手権リレー・混成と併催

2025.03.26

日本選手権室内・日本室内大阪大会が終了 リレーフェス今年実施せず、U16リレーは7/12~13の日本選手権リレー・混成と併催

日本陸連は3月26日、都内での理事会後、2025年度の主要競技会日程を発表した。 これまで、主に毎年2月に実施していた日本選手権室内・日本室内大阪大会は終了とし、25年度から行われない。 同大会は元々、1984年に「国際 […]

NEWS 【男子3000m】尾田祥太(Runup Academy・中2) 8分37秒25=中2歴代6位

2025.03.26

【男子3000m】尾田祥太(Runup Academy・中2) 8分37秒25=中2歴代6位

3月22日、名古屋市のパロマ瑞穂北陸上競技場で愛知陸協長距離競技会(第1回トヨタ紡織記録挑戦会)が行われ、男子3000mに出場した尾田祥太(Runup Academy/岡崎南中2愛知)が8分37秒25の中2歴代6位のタイ […]

NEWS セイコーGGPと日本選手権で東京世界陸上の運営トレーニング実施「大会運営に必要な能力・経験」の蓄積目指す

2025.03.26

セイコーGGPと日本選手権で東京世界陸上の運営トレーニング実施「大会運営に必要な能力・経験」の蓄積目指す

公益財団法人東京2025世界陸上財団は3月26日に理事会を開き、本番での運営能力向上を図るため、運営トレーニングを実施することを発表した。 トレーニングの対象大会は、本番のメイン会場である国立競技場で行われるセイコーゴー […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top