◇木南記念(4月30日・5月1日/大阪・ヤンマースタジアム長居)2日目
日本グランプリシリーズ大阪大会の木南記念が行われ、男子十種競技は丸山優真(住友電工)が日本歴代5位となる7807点で優勝した。
大きな痛み、不安がなく十種競技を終えたのはいつぶりだろうか。「めっちゃきついです」と話す丸山の表情は充実感と達成感であふれていた。
初日は400mで自己ベストの48秒96をマークするなど、4071点のトップで折り返した丸山。2日目の得意とする110mハードルでも14秒13(+1.2)をマークして勢いに乗ると、砲丸投で右手を痛めた影響が心配された棒高跳でも4m50をクリアした。最後は歯を食いしばって1500mでフィニッシュ。優勝を決めると194cmの大きな身体を目一杯広げて、地元・大阪で「王座」に就いた喜びを表した。
「モチベーションを保つのが難しい時もありました。ここまで戻ってこられるかわからなかった」
早くから『大器』の呼び声が高かった。信太高時代には八種競技で驚異的な高校記録6214
点を樹立。日大に進学してからも1年目でU20規格のU20日本記録7790点をマークした。だが、悲劇は突然にやってくる。
2019年の日本選手権で背中に強烈な痛みが襲う。胸椎椎間板ヘルニア(分離症)を発症。日常生活に支障をきたす可能性もあるほどの重病だった。手術をせずに自然治癒を選択。以降はピラティスなど身体の土台を作れるものは何でも試したという。走ることもできず、リハビリの日々が続いた。
20年の日本インカレで復帰し、昨年の日本選手権でも背中だけではなくさまざまな部分で痛みを抱えながらなんとか10種目を戦い抜いたが7484点で4位。その後は、今季に至るまで100m東京五輪代表の小池祐貴(住友電工)らとともにスプリント練習に励んだ。臼井淳一コーチは、走幅跳・走高跳のレジェンドでもある。「以前とは動きや感覚が違う。タイムを見てここまで変わっているんだと実感しました」と手応えをつかんだ。
苦しい時期を乗り越えて戻ってこられたのは、「昔からオリンピックを目標にしてきたから」。高校時代から「十種競技のウサイン・ボルトになる」と何度も公言してきた。久しぶりにやりきってなお8000点には届かず、「十種競技の難しさを感じた」。それと同時に、十種競技でしか得られない楽しさ、喜びも改めて実感したことだろう。
「やるべきことをすれば8000点は出ると思います。日本選手権で8000点に乗せたいと思います」
表彰では役員を務めていた顔見知りの先生たちからも拍手を浴びた。あと1ヵ月ほどで24歳。いつまでも『若手』のままじゃない。覚醒し、日本のキング・オブ・アスリートとなる準備が整った。

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.22
三浦龍司が圧巻スパートで優勝 井川龍人は2年連続2位/日本選手権クロカン
2025.02.22
【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日)
-
2025.02.21
-
2025.02.21
-
2025.02.21
-
2025.02.21
2025.02.17
日本郵政グループ女子陸上部 「駅伝日本一」へのチームづくりとコンディショニング
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.16
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.26
-
2025.01.31
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.22
三浦龍司が圧巻スパートで優勝 井川龍人は2年連続2位/日本選手権クロカン
◇第108回日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) 来年1月の世界クロスカントリー選手権(米国・タラハシー)の代表選考を兼ねた第108回日本選手権クロスカントリーが行われ、男子(10km)はパリ […]
2025.02.22
【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日)
【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日/福岡・海の中道海浜公園) ●男子10km 1位 三浦龍司(SUBARU) 28分24秒 2位 井川龍人(旭化成) 28分25秒 3位 塩尻和 […]
2025.02.22
今年も福岡でクロカン日本一決定戦! 日本選手権&U20日本選手権クロカンに有力選手が多数出場
第108回日本選手権クロスカントリー、第40回U20日本選手権クロスカントリーは今日2月22日、福岡・海の中道海浜公園の1周2kmのコースを舞台に行われる。 日本選手権は男子が10km、女子が8kmで争われ、男子にはパリ […]
2025.02.21
編集部コラム「奥が深い」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
2025.02.21
ひらまつ病院にニューイヤー駅伝3年連続出走の三田眞司が加入 「チームの最高順位に貢献」
ひらまつ病院は2月16日付で、サンベルクスに所属していた三田眞司が加入したと発表した。 29歳の三田は神奈川県出身。光明学園相模原高では3年時に全国都道府県対抗男子駅伝4区9位と力走。国士大では3年時に全日本大学駅伝で3 […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝