日本陸連(JAAF)は今年2月に、「JAAF REFORM 中長期計画―新たなステージへの挑戦―」を公開した。
これは日本陸連が2017年に発表した「JAAF VISION2017」において「トップアスリートが活躍し、国民に夢と希望を与える」「すべての人がすべてのライフステージにおいて陸上競技を楽しめる環境をつくる」というミッションを、より具体化するために策定。そのメディア説明会が3月23日に行われ、日本陸連の石井朗生・事務局次長兼経営企画部長が登壇した。
『中長期計画』をもとに、石井事務局次長は「新しい陸上のかたちを目指していきたい」とする。
「JAAF VISION2017」で定めたのは、国際競技力の向上については、世界大会のプレイシングテーブル(1位8点…で計算する国別ランキング)において28年にトップ8、2040年に世界トップ3(アジア1位)を目指すというもの。
またウェルネス陸上の実現については、陸上に関わる人=アスレティックファミリーを現在約40万人から、28年に150万人、40年に300万人に増やすのが目標となる。
これらを具体化、実現を目指すために、2018年に検討会議をスタートし、今回の「中長期計画」作成・発表に至った。
大きなテーマは「未来に輝く人材育成と、感動体験の提供を目指して」で、競技力向上だけではなく、社会につながりを持ち、社会貢献することで陸上の価値を高めていける人材の育成を目指す。そのために、人材育成をできる指導者の育成や基盤づくりも進めていく構えだ。
大きな特徴として、「ウェルネス陸上の充実」が挙げられる。これは石井事務局次長が「日本陸連がこれまでやってこなかったが、やらなければいけなかったこと」と言う。強化を軽視するのではなく、これまで以上にウェルネス陸上、普及にも目を向けて取り組んでいくとしている。
具体的にはこれまでのように陸上競技場という「閉鎖的」(石井事務局次長)な場所だけではなく、「イベントや施設など、街の中に入っていく、身近な陸上の確立」や、「選手とファンが触れ合ったり、選手の魅力・物語を伝えられるコンテンツだったりの充実」を提供していく。
また、現在はアスリート、元アスリート、地域陸協が積極的にイベントなどを行っているが、そういった普及目的のイベントの支援も行っていきたいという。
人口減少や部活動の変化により競技人口を確保することが難しくなる面もあるが、「陸上は走る、歩く、投げる、跳ぶと、すべての運動の土台となるもの。そこをアピールして、他競技の人たちに体験してもらったり、アスリートを抱え込むのではなく“シェア”してもらったり。いろいろな運動・体験をしている人を増やしていきたい」と石井事務局次長は語る。
今回発表された「中長期計画」は「結構な頻度で見直して書き換えていく」とし、より目標の具体化に向けてブラシュアップしていく。
「JAAF REFORM 中長期計画―新たなステージへの挑戦―」は日本陸連のホームページ上からダウンロードできる。「特設ホームページを作成し、より充実させてアスレティックファミリーに存在をアピールしていきたい」と石井事務局次長は締めくくった。
東京五輪を経て、スポーツの在り方、陸上の在り方が問われている中で、どういった形で『陸上ファミリー』を増やすことができるか考えるきっかけになるだろう。
「JAAF REFORM 中長期計画―新たなステージへの挑戦―」のダウンロードは陸連HPへ
※肩書きに誤植があり修正しました。

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.03.26
-
2025.03.26
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.25
-
2025.03.21
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
-
2025.03.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.26
日本陸連が暑熱環境下の大会について対応検討 今年は日本選手権、インターハイなど「WBGT31度」目安に「踏み込んだ対策を」
日本陸連は3月26日に行われた理事会で、暑熱環境下における大会運営に対しての考えを示した。 日本陸連の田﨑博道専務理事は、最近の気候変動の大きさに触れたうえで、特に夏の競技会について「暑熱環境下で競技をすることの危険性は […]
2025.03.26
日本選手権の大会要項と競技実施日が発表! 男子100mは初日に予選、準決勝 2日目に決勝 女子やり投は1日目に実施
日本陸連は3月26日、第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場)の大会要項ならびに競技実施日を発表した。 今年の日本選手権は9月に行われる東京世界選手権の選考会を兼ねて実施される。昨年まではU20日本選手権 […]
2025.03.26
日本選手権まであと100日 キービジュアル第1弾公開! 9月の東京世界陸上代表選考会
日本陸連は3月26日、第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場)まであと100日を迎えて、キービジュアルの第1弾を公開した。 日本選手権の国立競技場の開催は、2005年以来20年ぶりで、今秋の東京世界選手権 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報