写真/Mochizuki Jiro(Agence SHOT)
◇世界室内選手権(3月18日~20日/セルビア・ベオグラード)
世界室内選手権のフィナーレに、歴史的瞬間が訪れた。成し遂げたのは男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)。昨年の東京五輪王者が、自身が約2週間前に同じ場所で作ったばかりの6m19の世界記録を1cm上回る6m20をクリア。人類がついに6m20の空を征服した。
5m60から試技をスタートしたデュプランティスは、5m85、5m95を軽々と1回でクリア。16年リオ五輪金メダルのチアゴ・ブラズ(ブラジル)との一騎打ちとなった6m05(大会新)も一発で越えて優勝を決めると、バーを世界記録へと設定した。
途中、男女の4×400mリレーが入ったこともあってリズムに乗れなかったのか、1、2回目は身体をバーまで引き上げることができなかった。しかし、トラック最終種目の女子4×400mリレーが終わり、今大会の「最終試技者」となったデュプランティスは、会場中の視線を一身に浴びて助走をスタート。力強くポールを突っ込んで踏み切ると、バーを揺らしながらも見事にクリア。人類で初めて6m10の壁を越えた。
10代の頃から年代別の世界記録を次々と塗り替え、2018年にはU20選手で初めての6m超え(6m05)を達成。20年に6m17、6m18と世界新を連発すると、昨年の東京五輪で名実ともに世界の頂点に立った。
今季も全試合で6mオーバーの安定感を誇り、3月7日には今大会と同じ会場で行われた競技会で6m19の世界新記録を樹立。その勢いを今大会につなげた。
■デュプランティスの2022年全成績
1月28日 ドイツ・カールスルーエ 6m02
2月4日 ドイツ・ベルリン 6m03
2月9日 スウェーデン・ウプサラ 6m04
2月19日 英国・バーミンガム 6m05
3月7日 セルビア・ベオグラード 6m19=世界新
3月20日 世界室内選手権 6m20=世界新
■男子棒高跳 世界歴代パフォーマンス10(屋外・室内含む) i=室内
6m20i A.デュプランティス(スウェーデン) 22年3月20日
6m19i デュプランティス 2 22年3月7日
6m18i デュプランティス 3 20年2月15日
6m17i デュプランティス 4 20年2月8日
6m16i R.ラヴィレニ(フランス) 14年2月15日
6m15i S.ブブカ(ウクライナ) 93年2月21日
6m15 デュプランティス 5 20年9月17日
6m14 ブブカ 2 94年7月31日
6m13 ブブカ 3 92年2月21日
6m13 ブブカ 4 92年9月19日

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