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2022.02.17

現役復帰の大迫傑が会見 きっかけはシカゴマラソン 熱量のライン「大きく超えた」
現役復帰の大迫傑が会見 きっかけはシカゴマラソン 熱量のライン「大きく超えた」


東京五輪男子マラソン6位で、現役復帰を表明した大迫傑がオンラインで会見を行った。

ほとばしる情熱を抑えきれなかった。東京五輪を「ゴール」に設定し、一度はそこで現役引退。だが、2月7日に自身のSNSなどを通じて再び走り出すことを発表した。

きっかけは昨年10月のシカゴマラソン。東京五輪を終えてから9月までは日本でSugarEliteキッズなど活動に取り組んだが、愛娘の誕生日に合わせるかたちで9月末に渡米した。その頃から少しずつ走り始め、ワークアウトも週1、2回行うようになったという。そんななか、10月のシカゴマラソンを家族で観戦。そこで同僚のゲーレン・ラップ(米国)が東京五輪からわずか2ヵ月後に2位に入る力走を見せた。

「力強くてかっこいい。もう一回、こういった場で、見てくれる人たちがワクワクしてくれるような場所に立ちたいと思った」

引退後、競技として以外でランニングと向き合い、健康のため、ご飯・お酒をおいしくするため、コミュニティーとしてなど、文化としての「走る」があった。だが、「それだけじゃ物足りない。刺激がほしい」。そう感じ始めていたところで、ラップの激走が最後の一押しになった。

「僕自身のインスピレーションの熱量が、自分の中でここを超えたら行動しようというところ(ライン)を、大きく超えていた」

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身近な存在であり、あこがれであり、目標。そんな選手がケガでもがきながら走り続ける姿に心が動かされた。すぐに相談したのはピート・ジュリアンコーチ。「いいんんじゃない」と喜んでくれた。本格的な練習復帰は「秘密」と冗談めかしたが、すでにトレーニングは再開。「マラソンのあと、一休みして練習再開したくらい」の状態だという。

競技者としては「世界とどこまで戦えるのか挑戦したい」。取り組みとしては第一期現役時と変える予定はなく、マラソンを主軸としながらトラックレースにも出場していく。記録よりも、「これまでと変わらず、今日の自分より明日の自分。今よりも向上するという部分に集中していきたい」という。その中で、「これから育っていく選手たちと伴走できれば」と、後輩たちへ背中を見せていく。レース復帰は未定だが、「秋冬から、来年の春くらいのマラソン」を見据えているようだ。

もちろん、現在取り組んでいるようなスポーツの価値を高め、広げていく活動も続けていく。一度離れたからこそ、ランニング、スポーツを通して「いろんな方々との縁に気づけている」と大迫。「時間はかかるが、スポーツの力を世の中に示していきたい」と強い思いを持つ。

大迫の考える新しいスポーツの価値、陸上の価値とは。それは、「どうやって夢を持ち、達成していくか。そんな当たり前のことを、体現している僕たちが当たり前のように還元する。そこで生まれた価値の反応を見て、また新しいスポーツの価値を作り出していけばいい。まずはやってみること」だという。

再び走り始めた大迫が目指すものは、世界への挑戦よりも、もっともっと大きいこともしれない。

「自分自身がワクワクするし、失敗もあるけど結果的に楽しい。それをみなさんに知ってもらって、明日何か挑戦してもらえたらうれしい。今は一度失敗したら取り返しがつかないという風潮もある。挑戦することは楽しいし、失敗してもいい。アスリートを通して健全なメンタリティの社会になってもらえたら。スポーツにはこんな力がある。この力を広げていく活動をしていきたい」

東京五輪のことは振り返らない。あの場をスタートとして、大迫らしく前を向いて走り出す。

東京五輪男子マラソン6位で、現役復帰を表明した大迫傑がオンラインで会見を行った。 ほとばしる情熱を抑えきれなかった。東京五輪を「ゴール」に設定し、一度はそこで現役引退。だが、2月7日に自身のSNSなどを通じて再び走り出すことを発表した。 きっかけは昨年10月のシカゴマラソン。東京五輪を終えてから9月までは日本でSugarEliteキッズなど活動に取り組んだが、愛娘の誕生日に合わせるかたちで9月末に渡米した。その頃から少しずつ走り始め、ワークアウトも週1、2回行うようになったという。そんななか、10月のシカゴマラソンを家族で観戦。そこで同僚のゲーレン・ラップ(米国)が東京五輪からわずか2ヵ月後に2位に入る力走を見せた。 「力強くてかっこいい。もう一回、こういった場で、見てくれる人たちがワクワクしてくれるような場所に立ちたいと思った」 引退後、競技として以外でランニングと向き合い、健康のため、ご飯・お酒をおいしくするため、コミュニティーとしてなど、文化としての「走る」があった。だが、「それだけじゃ物足りない。刺激がほしい」。そう感じ始めていたところで、ラップの激走が最後の一押しになった。 「僕自身のインスピレーションの熱量が、自分の中でここを超えたら行動しようというところ(ライン)を、大きく超えていた」 身近な存在であり、あこがれであり、目標。そんな選手がケガでもがきながら走り続ける姿に心が動かされた。すぐに相談したのはピート・ジュリアンコーチ。「いいんんじゃない」と喜んでくれた。本格的な練習復帰は「秘密」と冗談めかしたが、すでにトレーニングは再開。「マラソンのあと、一休みして練習再開したくらい」の状態だという。 競技者としては「世界とどこまで戦えるのか挑戦したい」。取り組みとしては第一期現役時と変える予定はなく、マラソンを主軸としながらトラックレースにも出場していく。記録よりも、「これまでと変わらず、今日の自分より明日の自分。今よりも向上するという部分に集中していきたい」という。その中で、「これから育っていく選手たちと伴走できれば」と、後輩たちへ背中を見せていく。レース復帰は未定だが、「秋冬から、来年の春くらいのマラソン」を見据えているようだ。 もちろん、現在取り組んでいるようなスポーツの価値を高め、広げていく活動も続けていく。一度離れたからこそ、ランニング、スポーツを通して「いろんな方々との縁に気づけている」と大迫。「時間はかかるが、スポーツの力を世の中に示していきたい」と強い思いを持つ。 大迫の考える新しいスポーツの価値、陸上の価値とは。それは、「どうやって夢を持ち、達成していくか。そんな当たり前のことを、体現している僕たちが当たり前のように還元する。そこで生まれた価値の反応を見て、また新しいスポーツの価値を作り出していけばいい。まずはやってみること」だという。 再び走り始めた大迫が目指すものは、世界への挑戦よりも、もっともっと大きいこともしれない。 「自分自身がワクワクするし、失敗もあるけど結果的に楽しい。それをみなさんに知ってもらって、明日何か挑戦してもらえたらうれしい。今は一度失敗したら取り返しがつかないという風潮もある。挑戦することは楽しいし、失敗してもいい。アスリートを通して健全なメンタリティの社会になってもらえたら。スポーツにはこんな力がある。この力を広げていく活動をしていきたい」 東京五輪のことは振り返らない。あの場をスタートとして、大迫らしく前を向いて走り出す。

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