2022.02.15
昨年12月に男子10000mで田澤廉(駒大)はオレゴン世界選手権の参加標準記録を突破した。27分23秒44は日本歴代2位、日本人学生最高記録。今や学生長距離界にとどまらず、長距離界の担い手となった田澤だが、陸上を始めたのは「嫌々」だったとか。陸上との出合いから、世界を意識し始めたきっかけなどを聞いた。
――陸上との出合いは地域の陸上クラブだそうですね。
田澤 自分は嫌だったのですが、親の一存で「八戸陸上クラブ」に入会しました。日曜日の午前中にドリルなどを教わっていたと思いますが……。嫌々だったので、あまり覚えていないです(笑)。
小4~6の時は野球をやっていました。小さい学校なので、バスケと野球の2つしかなかったんです。活動は毎日。学校が終わってから着替えて、だいたい7時くらいまで。ユニフォームのまま家に帰って、野球道具を置いて自分で走っていました。
――陸上や駅伝を観戦した記憶は……。
田澤 ないです。興味がなかったので。当時は箱根駅伝のことも知らなかったですし、世界選手権も。オリンピックというものは認知していましたけど、その中に陸上競技があることすらわかっていなかったです。
でも、小学校の頃に「自分の夢を書いてください」という授業があって、「マラソンで一番速い選手になる」と書きました。マラソン大会で負けて悔しくなってからは陸上をやろうと思い始めたので、それがその時の夢です。
――小学校のクラブが嫌々だったのに、中学で陸上部に入った動機は?
田澤 小学校の高学年の時のマラソン大会で負けて悔しかったことがきっかけです。S&B杯ちびっ子健康マラソン大会。毎日走っていたこともあって、大会では上位に食い込むことが多かったんですね。
――高校時代(青森山田高)で印象的だったことは。
田澤 1年生の時にだいぶ良い結果を出して、そのまま行けると思ったのですが……。インターハイや国体で井川(龍人、九州学院高、現・早大)に勝てなくて。自分のほうが持ちタイムがいいはずなんですけど、いざ戦うとなった時に気持ちで負けていました。「井川以外に負けなければいいや」という考えだったんです。精神的にかなり弱かった。高校時代を振り返って思うところはそこですね。
大学に来てから思ったのですが、陸上競技は気持ちで変わるということ。目指しているところが低ければ、そこまでしかいかない。志を高く持ってそれに取り組む過程が大事だと、こうして4年目を迎えるまでの時間で感じてきました。
――オレゴン世界選手権の参加標準記録を突破していますが、世界大会が具体的に意識に入ってきたのはいつ頃でしょう。
田澤 1年生の2月、アメリカ・オレゴンで合宿した時です。富士通監督の福島正さんが、「10000mでオリンピック行けるんじゃないの?」みたいな感じで仰ってくれました。それをきっかけに自分で考えてみて、10000mは一番自信があるステージだったので、それから「行けるかもしれない」と思い始めて、東京五輪を目指すようになりました。
――出場があと一歩で叶わなかった東京五輪10000mを観戦して感じたことは?
田澤 悔しかったです。自分だったらどれくらい走れていたか。出られなかった立場なのに自分を重ねて考えてしまって、そこに立てていない自分に対して悔しくなりました。
――オレゴン世界選手権に向けた意気込みを聞かせてください。
田澤 まずは日本選手権が5月にあるので、そこで1番を取って気持ち良く(代表を)決めたいと思っています。舞台に立てたら「入賞」を見据えて頑張りたいです。
***
2月14日に発売した「月刊陸上競技3月号」ではオレゴン世界選手権特集として田澤廉にインタビュー。これまでの歩みやオレゴン世界選手権に向けたより具体的なプランを聞いた。
月刊陸上競技3月号購入はこちら


|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.03.25
箱根駅伝予選会のスタート時刻を変更「温暖化の影響による選手の安全確保」
-
2025.03.25
-
2025.03.25
-
2025.03.25
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.19
-
2025.03.19
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
-
2025.03.19
-
2025.03.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.25
箱根駅伝予選会のスタート時刻を変更「温暖化の影響による選手の安全確保」
関東学生陸上競技連盟は3月25日、箱根駅伝予選会のスタート時刻について、次回から変更すると発表した。 前回までは午前9時35分スタートだったが、第102回大会予選会から午前8時30分スタートと、約1時間前倒しする。 「温 […]
2025.03.25
100mH福部真子「引退しないといけないのかな…」菊池病の公表に葛藤も「あとで後悔したくない」元気な姿アピール
女子100mハードル日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)がインタビューに応じ、昨年末に公表した「菊池病」と発覚した時の状況や、今の調子、復帰に向けた思いを聞いた。 「元気です!見てもらった通り!」。オンラインで画面越 […]
2025.03.25
大阪に約270人の高校生アスリートが集結! 「切磋琢磨していきたい」 3泊4日の全国高体連合宿スタート
2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月25日、大阪・ヤンマースタジアム長居で始まった。全国から選手約270人が参加し、20度を超える汗ばむ陽気の中で打ち解けながら練習に取り組ん […]
2025.03.25
HOKAが「CLIFTON 10」発売に先駆けてイベント 鎧坂哲哉「クッション性とフィット感が良い」
デッカーズジャパンは3月25日、パフォーマンスフットウェア&アパレルブランド「HOKA」の人気シリーズの新作シューズ「CLIFTON 10(クリフトン 10)」の発売に先駆けてメディア向けの商品説明会・トークセッションを […]
2025.03.25
富士通加入の平林樹「世界一になる」鈴木康也は「マラソンで世界へ」
富士通が3月25日、2025年度新加入選手の合同取材会見を開き、男子長距離の篠原倖太朗(駒大)、平林樹(城西大)、鈴木康也(麗澤大)、女子400mハードルの山本亜美(立命大)が登壇した。 城西大の主将を務めた平林は「こう […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報