現役引退を発表している女子長距離のレジェンド・福士加代子(ワコール)が、ラストレースとなる大阪ハーフマラソンに出場し、1時間16分を過ぎたあたりでフィニッシュした。
最後まで笑顔だった。長居スタジアムの最後の直線。右手を何度か挙げながらフィニッシュへ向かう。12月に現役引退を発表した福士。1月16日の都道府県対抗女子駅伝を終え、残すはこの大阪ハーフマラソンだけだった。挫折も栄光も味わった大阪。福士は「代名詞」とも言える満面の笑みでフィニッシュした。「マジできついって。こんなボロボロになるはずじゃないのに」。やっぱり笑っていた。
数々の記録を打ち立て、オリンピックは4大会出場。5大会出場した世界選手権では13年のモスクワ大会マラソン銅メダル。まさに日本陸上界のレジェンドだった。
1982年3月生まれで、青森・五所川原工高から2000年にワコールに入社。01年に3000m、5000m、10000mの3種目でジュニア日本新記録を打ち立てて頭角を現した。
02年の日本選手権で5000mと10000mで2冠を獲得。7月に5000mで日本記録を更新すると、10月の釜山アジア大会では、日本記録をさらに0.02秒更新する14分55秒19をマーク。10000mでは日本歴代2位の30分51秒81でいずれも銀メダルを手にした。
初の五輪代表となった04年のアテネ大会では10000mに出場。08年北京(5000mと10000m)、12年ロンドン(5000mと10000m)に出場するなど、トラック種目で日本女子長距離界を牽引した。
マラソン初挑戦は08年の大阪国際で、この時は終盤にスタミナ切れを起こして失敗。4度目の挑戦となった13年の大阪国際で2位(後に優勝者のドーピング違反で繰り上げ優勝)に入り、同年のモスクワ世界選手権代表に選ばれた。本番では日本勢2大会ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得した。
16年の大阪国際で優勝を果たし、リオ五輪代表に選出。4回目の五輪は14位だった。30代後半を迎えてからも第一線で活躍。19年の名古屋ウィメンズで日本人2番目の8位に入り、東京五輪マラソン代表を決める同年9月のMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)にも出場している(7位)。
トラックのラストランは昨年5月、東京五輪選考会の日本選手権10000m。引退レースを前にしても「さっそうとかっこよく走りたい」。現役ラストに選んだのは、転倒しながらもフィニッシュし、そして世界への扉を掴んだ大阪。倒れても倒れても、笑顔で走り続けてきた、誰からもあこがれられ、目標とされた日本陸上界のレジェンドがシューズを脱いだ。
自己記録は5000m14分53秒22(05年、日本歴代2位)、10000m30分51秒81(02年、日本歴代4位)、マラソン2時間22分17秒(16年、日本歴代10位)。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.17
-
2025.01.16
2025.01.12
【テキスト速報】第43回都道府県対抗女子駅伝
-
2025.01.14
-
2025.01.12
-
2025.01.15
2024.12.22
早大に鈴木琉胤、佐々木哲の都大路区間賞2人が来春入学!女子100mH谷中、松田ら推薦合格
-
2024.12.22
-
2024.12.30
-
2025.01.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.01.18
都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔
◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝前日の1月18日、オーダーリストが発表された。 エントリーされていた2人の日本記 […]
2025.01.17
西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録
1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]
2025.01.17
編集部コラム「年末年始の風物詩」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]
2025.01.17
中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝
◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]
2025.01.17
栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表
日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]
Latest Issue 最新号
2025年2月号 (1月14日発売)
駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝