2022.01.29
♯8
「箱根駅伝2022の“思い出ファースト”」復路編
乃木坂46のメンバーとして大活躍しながら“駅伝好きアイドル”として『観測史上、最大風速』の注目を集める「でんちゃん」こと佐藤楓さん。2021-22年大学駅伝シーズンを通して大会の見どころや注目選手など紹介してきた連載企画もついに最終回となりました。前回に続いて、テーマは今年正月に行われた箱根駅伝。今回は「復路」についてです!
過ぎる時間忘れるくらい夢中で話した箱根駅伝の振り返り。圧倒的な青学大の強さ。距離が縮まらなくたってひたすら前を追い続ける選手たち。困難が立ちはだかっても恐れずに未来をこじ開けた。連載コラム最終回! いつか振り向き、最高の箱根駅伝だったと――。
前回のコラム♯7箱根駅伝2022の“思い出ファースト”往路編
4連覇時代を彷彿させた青学大
こんにちは! 乃木坂46の佐藤楓です。前回から正月に行われた箱根駅伝を振り返っていますが、今回は箱根駅伝・復路編をお届けします。
連載最終回!箱根駅伝についてたくさん語ったでんちゃん!
往路優勝を果たした青山学院大学は、復路も圧倒的な強さを見せます。山下りの6区・高橋勇輝選手(4年)は、前回もこの区間を走って区間3位。今回は下り坂で少し脚が動かずに心配されましたが、勝負どころとなるラスト3kmは素晴らしい走りを見せました。原晋監督からは「スマイルで!」と、素敵な声かけもありました。苦しいタイミングで原監督のような明るい声かけがあるとパワーをもらえますね。
その高橋選手を小田原中継所で待っていたのが岸本大紀選手(3年)。ケガから復活し、2年ぶりの箱根駅伝。その姿に感動して震えました! でも、2年前は2区を走った岸本選手が復路にいるのが少し不思議な感覚でした。11月の全日本大学駅伝の後にもケガをして、12月に入るまで走れない状態だったといいます。それでも区間賞を獲得しました。
ケガから復活を遂げた岸本選手に感動!
8区の佐藤一世選手(2年)も直前に少し体調を崩しながら区間2位。岸本選手、佐藤選手ともにさすがの「駅伝男」ぶりを発揮されました。本来であれば往路の主要区間を務めるような選手たち。小椋裕介選手や下田裕太選手、田村和希選手といったランナーが復路に入っていた15~18年の4連覇時代を思い出しました。
中村唯翔選手(3年)は9区で14年ぶりの区間新を樹立。前回は2区で区間14位と悔しい思いをしていたのですが見事なリベンジを果たしました。復路のエースです! アンカーを務めた中倉啓敦選手(3年)も区間新記録。復路は5時間21分36秒の大会新記録。総合タイムも10時間43分42秒の大会新。往路、復路、総合と完全制覇を達成しました! 改めて、おめでとうございます!!
青学大が完全優勝!おめでとうございます!
◎箱根駅伝2022の全成績&区間賞一覧
2位以下、シード争いが熾烈に!
復路でも区間順に大会の様子や、印象に残った場面を振り返っていきます!
青山学院大学がトップをひた走るなか、2位争いが激しくなりました。6区では帝京大学に駒澤大学が追いつくのですが、その後ろから順天堂大学の牧瀬圭斗選手(4年)が迫ります。牧瀬選手は2人の間、真ん中から抜き去ったところは熱かったです! 結果的に駒澤大学の佃康平選手(4年)が抜き返して2位で中継。順天堂大学3位になりました。やっぱり最上級生は頼りになる存在ですね。
順天堂大学の牧瀬選手が区間賞!やっぱり4年生の力は偉大ですね
7区では明治大学の富田峻平選手(3年)が区間2位と力を見せました。國學院大學の木付琳選手(4年)はケガをしていたようで区間20位。試合後の様子が特集番組で放送されましたが、前田康弘監督とのやりとりに感動しました。東洋大学期待のルーキーの1人である梅崎蓮選手も7区で箱根駅伝デビュー。区間11位でしたが、チーム順位を9位で守ってその後の流れを作りました。今後も楽しみです。
8区でも順天堂大学の4年生が活躍します! 津田将希選手(4年)の走りで2位に上がりました。津田選手の名前が呼ばれるたびに俳優の「菅田将暉(すだ・まさき)」さんに聞こえたことでも話題になりましたが、しっかり区間賞を獲得しました。早稲田大学の主将、千明龍之佑選手(4年)は区間5位と力走。中谷雄飛選手、太田直希選手、半澤黎斗選手と高校時代から活躍していた選手がもう卒業で、時の流れを感じますね。
中央大学は中澤雄大選手(3年)が区間3位の走りで3位に上がります。学生長距離界きっての名門チームが久しぶりに上位で戦う姿にワクワクしました。駒澤大学の鈴木芽吹選手(2年)はケガのため本来の力を発揮できませんでした。とても心配ですが、次のレースではきっと復活してくれることでしょう。
このあたりから東洋大がじわじわと上位との差を詰めてきます。9区では前田義弘選手(3年)が2つ順位を上げて7位に上がりました。前田選手の給水を務めたのは石田洸介選手(1年)。出雲駅伝、全日本大学駅伝では区間賞を取っているスーパールーキーです。ケガをしたのかなと思ったのですが、20kmを走るまで調子が上がらなかったということのようです。もちろんファンとしては見たかったですが、キーマンになるはずの石田選手にもかかわらず、将来を考えて起用しないという酒井俊幸監督の判断はさすがだなと思いました。
中央大学と東京国際大学と創価大学が競り合う場面も8区と9区で見られました。この3チームの藤原正和監督、大志田秀次監督、榎木和貴監督は中大OBなんです。“箱根駅伝あるある”なのですが、競り合いの場面では車に乗る監督が、自分のチームの選手ではなく他校の選手へ発破をかけたり鼓舞したりすることもあります。駒澤大学の大八木弘明監督や東洋大学の酒井監督もそういったことがあります。今回の中大OBのように、監督同士が同じ出身大学だったり、大八木監督と國學院大學の前田監督(駒澤大学OB)のように「師弟」だったりのチームが競り合うと、結構、監督が他校の選手を応援する声かけが見られるので、ぜひ注目してみてください!
記録や記事を見ながらたくさんの名場面を振り返る
観測史上、最高の高速駅伝!
総合順位が決するアンカーの10区。上位争いはもちろん、10位までに与えられるシード権争いにも力が入ります。
青山学院大学が独走し、2位を死守したのが順天堂大学。3位争いは駒澤大学と東洋大学で、テレビではあまり映らなかったのですが、気がついたら東洋大学の清野太雅選手(3年)が上位に来ていて、一瞬、駒澤大学を抜いたのですが、最後は青柿響選手(2年)が意地を見せて3位を守り、東洋大学が4位でした。その差は2秒! 200km以上も走ってたった2秒差で決着がつくのも箱根駅伝ですね。
東京国際大学は伊藤達彦選手(現・Honda)がいた2年前に並ぶ過去最高タイの5位。中央大学が10年ぶりにシード権を獲得しました。フィニッシュ直前まで東海大学がシード権内の10位にいたのですが、アンカーにアクシデントがありました。最後まであきらめなかった気持ちがすごかった法政大学が10位に入っています。10位と11位の差はその見た目以上に、この1年間で大きな違いが出てしまうものです。
明大の橋本選手は一般入試で入部した選手なんですよ!
明治大学の橋本大輝選手(4年)は推薦ではなく一般で進学したランナー。14位でのフィニッシュでしたが、復路3位と意地を見せました。橋本選手は区間4位の力走。笑顔でフィニッシュして、関東学生連合の諸星颯大選手(育英大学3年)と健闘を称え合っていた姿が印象的でした。
初出場の駿河台大学は19位。アンカーの阪本大貴選手(4年)は「楽しかった」と笑顔だったのも素敵でした。目標として挙げていた「繰り上げスタートナシ」を実現! 駿河台大学にとってはここからがスタートだと思います。歴史を刻んでいってほしいです。
その他のチームでは、往路では国士舘大学が見せ場を作りましたね。ヴィンセント選手で3位まで順位を上げて上位争いをして、15位でフィニッシュしています。関東学生連合も序盤から健闘して、1区の中山雄太選手(日本薬科大学3年)が1時間1分41秒で区間7位相当。復路は10位相当でした。
今回、青山学院大学が大会新記録で優勝したのですが、繰り上げスタートは復路の戸塚中継所で日本体育大学、鶴見中継所で山梨学院大学と、2チームだけ。11位でシード権を逃した東海大学ですが、11時間を切って(10時間59分38秒)のシード落ちは初めてのことだそうです! それだけ全体のレベルが高かった「高速駅伝」だったことを表していると思います。
1年生も活躍!特に國學院大の平林選手の軽いのに力強い走りは圧巻でした!
大会を通じて、1年生の活躍も目立ちました。インパクトが大きかったのは9区の國學院大學・平林清澄選手。終盤で5人抜きはあまり聞いたことがありません! 従来の区間記録に迫る区間2位で10位から5位まで順位を上げました。すごい軽く走っているのに力強くて、あの細い身体のどこにパワーがあるのかなって思いました。法政大学の6区を走った武田和馬選手は区間2位。これで山下りは4年間安泰でしょうか!? 東海大学は5区の吉田響選手が区間2位、7区の越陽汰選手が区間3位。来年以降も楽しみな選手がたくさんいますね。
箱根駅伝の魅力って何だろう……?
少し気が早いですが、来年の箱根駅伝はどうなるのか……。青山学院大学は最強世代の3年生が最終学年。メンバー外だった選手も、早速ハーフマラソンに出場して複数人が62分台をマークしています。次年度も強そうですね! もちろん、駒澤大学も安定して強さを見せてくると思います。東京国際大学は“三本柱”がさらに成長すればすごいチームになりそう。順天堂大学も往路には4年生がいないので全員が残ります。丹所選手が2区、ヴィンセント選手が3区に入ったら、さらなる上位進出がありそうです。来年は中央大学の吉居大和選手、順天堂大学の三浦龍司選手、そして東洋大学の石田洸介選手による1区の激突が見られるかもしれません! 駒澤大学に進学する佐藤圭汰選手(洛南高校)など、新入生も気になるところです。
春からはトラックシーズンが始まります。5月に行われる関東インカレなど結果を気にしています。トラックレースで、新しく成長してきた選手や、これまで駅伝で出走したことのない選手を発見するのも楽しみの一つです!
今回、「箱根駅伝の良さって何だろう」と改めて考えながら大会を見てみました。一人ひとりが、例えば病気だったり、競技生活の集大成だったり、走れなかった仲間の思いだったり、何かしら想いを抱えて走る。そして、仲間、お世話になった家族、応援してくれる人、大会に関わるすべての人の、いろいろ想いが詰まっていて、それが形として見えるのが箱根駅伝の魅力だなって感じました。
箱根駅伝の魅力を再確認。出場されたみなさん、関係者のみなさん感動をありがとうございました!
10月からスタートした月陸Onlineさんの連載は、今回がひとまず最後となります! 初めて連載を持たせていただきましたが、「連載を見て駅伝を見るようになったよ」とか、「初めて箱根駅伝を見たよ」と言ってくれる方もいて、発信したことがそうやってつながっていったことがとてもうれしいですし、楽しかったです。ちゃんとうまく話せていたか不安ですが……。みなさん、読んでくださってありがとうございました! また次のシーズンもできたらうれしいです!!
(※ご好評につき、連載継続の可能性も……!? みなさんの反響をお待ちしています!編集部より)
佐藤 楓(さとう・かえで)/1998年3月23日生まれ。愛知県出身。161cm、A型。愛称はでんちゃん、でんじろう。サイリウムカラーは赤・赤。乃木坂46の3期生として2016年にデビュー。中学、高校とバドミントン部に所属。『帰り道は遠回りしたくなる』で初めて選抜入り。駅伝ファンとして知られ、駅伝関係の仕事も多数こなしている。10周年記念ベストアルバム『Time flies』が発売中。「乃木坂46の10年がぎゅっと詰まった素敵なアルバムです!シングルはデビュー曲から最新曲まで全部入っています。これを聴けば乃木坂46を知り尽くせると思います!」(From楓)。5月14、15日には「10th YEAR BIRTHDAY LIVE」を控える。最新情報は公式HPやブログ、インスタグラムをチェック! |
構成/向永拓史 撮影/船越陽一郎
乃木坂46佐藤楓の「駅伝ちゃんねる」
♯7箱根駅伝2022の“思い出ファースト”往路編
特別編 箱根駅伝を好きになる“きっかけ”を伝授
♯6今、話したい箱根駅伝がある
♯5全日本大学駅伝の思い出は眠らない
♯4もうすぐ~全日本大学駅伝~
♯3出雲と予選会のこと、知ってる?
♯2お互いに支え合って箱根駅伝本戦に行こう
♯1出雲駅伝はテレビ観戦したくなる
4連覇時代を彷彿させた青学大
こんにちは! 乃木坂46の佐藤楓です。前回から正月に行われた箱根駅伝を振り返っていますが、今回は箱根駅伝・復路編をお届けします。 連載最終回!箱根駅伝についてたくさん語ったでんちゃん! 往路優勝を果たした青山学院大学は、復路も圧倒的な強さを見せます。山下りの6区・高橋勇輝選手(4年)は、前回もこの区間を走って区間3位。今回は下り坂で少し脚が動かずに心配されましたが、勝負どころとなるラスト3kmは素晴らしい走りを見せました。原晋監督からは「スマイルで!」と、素敵な声かけもありました。苦しいタイミングで原監督のような明るい声かけがあるとパワーをもらえますね。 その高橋選手を小田原中継所で待っていたのが岸本大紀選手(3年)。ケガから復活し、2年ぶりの箱根駅伝。その姿に感動して震えました! でも、2年前は2区を走った岸本選手が復路にいるのが少し不思議な感覚でした。11月の全日本大学駅伝の後にもケガをして、12月に入るまで走れない状態だったといいます。それでも区間賞を獲得しました。 ケガから復活を遂げた岸本選手に感動! 8区の佐藤一世選手(2年)も直前に少し体調を崩しながら区間2位。岸本選手、佐藤選手ともにさすがの「駅伝男」ぶりを発揮されました。本来であれば往路の主要区間を務めるような選手たち。小椋裕介選手や下田裕太選手、田村和希選手といったランナーが復路に入っていた15~18年の4連覇時代を思い出しました。 中村唯翔選手(3年)は9区で14年ぶりの区間新を樹立。前回は2区で区間14位と悔しい思いをしていたのですが見事なリベンジを果たしました。復路のエースです! アンカーを務めた中倉啓敦選手(3年)も区間新記録。復路は5時間21分36秒の大会新記録。総合タイムも10時間43分42秒の大会新。往路、復路、総合と完全制覇を達成しました! 改めて、おめでとうございます!! 青学大が完全優勝!おめでとうございます! ◎箱根駅伝2022の全成績&区間賞一覧2位以下、シード争いが熾烈に!
復路でも区間順に大会の様子や、印象に残った場面を振り返っていきます! 青山学院大学がトップをひた走るなか、2位争いが激しくなりました。6区では帝京大学に駒澤大学が追いつくのですが、その後ろから順天堂大学の牧瀬圭斗選手(4年)が迫ります。牧瀬選手は2人の間、真ん中から抜き去ったところは熱かったです! 結果的に駒澤大学の佃康平選手(4年)が抜き返して2位で中継。順天堂大学3位になりました。やっぱり最上級生は頼りになる存在ですね。 順天堂大学の牧瀬選手が区間賞!やっぱり4年生の力は偉大ですね 7区では明治大学の富田峻平選手(3年)が区間2位と力を見せました。國學院大學の木付琳選手(4年)はケガをしていたようで区間20位。試合後の様子が特集番組で放送されましたが、前田康弘監督とのやりとりに感動しました。東洋大学期待のルーキーの1人である梅崎蓮選手も7区で箱根駅伝デビュー。区間11位でしたが、チーム順位を9位で守ってその後の流れを作りました。今後も楽しみです。 8区でも順天堂大学の4年生が活躍します! 津田将希選手(4年)の走りで2位に上がりました。津田選手の名前が呼ばれるたびに俳優の「菅田将暉(すだ・まさき)」さんに聞こえたことでも話題になりましたが、しっかり区間賞を獲得しました。早稲田大学の主将、千明龍之佑選手(4年)は区間5位と力走。中谷雄飛選手、太田直希選手、半澤黎斗選手と高校時代から活躍していた選手がもう卒業で、時の流れを感じますね。 中央大学は中澤雄大選手(3年)が区間3位の走りで3位に上がります。学生長距離界きっての名門チームが久しぶりに上位で戦う姿にワクワクしました。駒澤大学の鈴木芽吹選手(2年)はケガのため本来の力を発揮できませんでした。とても心配ですが、次のレースではきっと復活してくれることでしょう。 このあたりから東洋大がじわじわと上位との差を詰めてきます。9区では前田義弘選手(3年)が2つ順位を上げて7位に上がりました。前田選手の給水を務めたのは石田洸介選手(1年)。出雲駅伝、全日本大学駅伝では区間賞を取っているスーパールーキーです。ケガをしたのかなと思ったのですが、20kmを走るまで調子が上がらなかったということのようです。もちろんファンとしては見たかったですが、キーマンになるはずの石田選手にもかかわらず、将来を考えて起用しないという酒井俊幸監督の判断はさすがだなと思いました。 中央大学と東京国際大学と創価大学が競り合う場面も8区と9区で見られました。この3チームの藤原正和監督、大志田秀次監督、榎木和貴監督は中大OBなんです。“箱根駅伝あるある”なのですが、競り合いの場面では車に乗る監督が、自分のチームの選手ではなく他校の選手へ発破をかけたり鼓舞したりすることもあります。駒澤大学の大八木弘明監督や東洋大学の酒井監督もそういったことがあります。今回の中大OBのように、監督同士が同じ出身大学だったり、大八木監督と國學院大學の前田監督(駒澤大学OB)のように「師弟」だったりのチームが競り合うと、結構、監督が他校の選手を応援する声かけが見られるので、ぜひ注目してみてください! 記録や記事を見ながらたくさんの名場面を振り返る観測史上、最高の高速駅伝!
総合順位が決するアンカーの10区。上位争いはもちろん、10位までに与えられるシード権争いにも力が入ります。 青山学院大学が独走し、2位を死守したのが順天堂大学。3位争いは駒澤大学と東洋大学で、テレビではあまり映らなかったのですが、気がついたら東洋大学の清野太雅選手(3年)が上位に来ていて、一瞬、駒澤大学を抜いたのですが、最後は青柿響選手(2年)が意地を見せて3位を守り、東洋大学が4位でした。その差は2秒! 200km以上も走ってたった2秒差で決着がつくのも箱根駅伝ですね。 東京国際大学は伊藤達彦選手(現・Honda)がいた2年前に並ぶ過去最高タイの5位。中央大学が10年ぶりにシード権を獲得しました。フィニッシュ直前まで東海大学がシード権内の10位にいたのですが、アンカーにアクシデントがありました。最後まであきらめなかった気持ちがすごかった法政大学が10位に入っています。10位と11位の差はその見た目以上に、この1年間で大きな違いが出てしまうものです。 明大の橋本選手は一般入試で入部した選手なんですよ! 明治大学の橋本大輝選手(4年)は推薦ではなく一般で進学したランナー。14位でのフィニッシュでしたが、復路3位と意地を見せました。橋本選手は区間4位の力走。笑顔でフィニッシュして、関東学生連合の諸星颯大選手(育英大学3年)と健闘を称え合っていた姿が印象的でした。 初出場の駿河台大学は19位。アンカーの阪本大貴選手(4年)は「楽しかった」と笑顔だったのも素敵でした。目標として挙げていた「繰り上げスタートナシ」を実現! 駿河台大学にとってはここからがスタートだと思います。歴史を刻んでいってほしいです。 その他のチームでは、往路では国士舘大学が見せ場を作りましたね。ヴィンセント選手で3位まで順位を上げて上位争いをして、15位でフィニッシュしています。関東学生連合も序盤から健闘して、1区の中山雄太選手(日本薬科大学3年)が1時間1分41秒で区間7位相当。復路は10位相当でした。 今回、青山学院大学が大会新記録で優勝したのですが、繰り上げスタートは復路の戸塚中継所で日本体育大学、鶴見中継所で山梨学院大学と、2チームだけ。11位でシード権を逃した東海大学ですが、11時間を切って(10時間59分38秒)のシード落ちは初めてのことだそうです! それだけ全体のレベルが高かった「高速駅伝」だったことを表していると思います。 1年生も活躍!特に國學院大の平林選手の軽いのに力強い走りは圧巻でした! 大会を通じて、1年生の活躍も目立ちました。インパクトが大きかったのは9区の國學院大學・平林清澄選手。終盤で5人抜きはあまり聞いたことがありません! 従来の区間記録に迫る区間2位で10位から5位まで順位を上げました。すごい軽く走っているのに力強くて、あの細い身体のどこにパワーがあるのかなって思いました。法政大学の6区を走った武田和馬選手は区間2位。これで山下りは4年間安泰でしょうか!? 東海大学は5区の吉田響選手が区間2位、7区の越陽汰選手が区間3位。来年以降も楽しみな選手がたくさんいますね。箱根駅伝の魅力って何だろう……?
少し気が早いですが、来年の箱根駅伝はどうなるのか……。青山学院大学は最強世代の3年生が最終学年。メンバー外だった選手も、早速ハーフマラソンに出場して複数人が62分台をマークしています。次年度も強そうですね! もちろん、駒澤大学も安定して強さを見せてくると思います。東京国際大学は“三本柱”がさらに成長すればすごいチームになりそう。順天堂大学も往路には4年生がいないので全員が残ります。丹所選手が2区、ヴィンセント選手が3区に入ったら、さらなる上位進出がありそうです。来年は中央大学の吉居大和選手、順天堂大学の三浦龍司選手、そして東洋大学の石田洸介選手による1区の激突が見られるかもしれません! 駒澤大学に進学する佐藤圭汰選手(洛南高校)など、新入生も気になるところです。 春からはトラックシーズンが始まります。5月に行われる関東インカレなど結果を気にしています。トラックレースで、新しく成長してきた選手や、これまで駅伝で出走したことのない選手を発見するのも楽しみの一つです! 今回、「箱根駅伝の良さって何だろう」と改めて考えながら大会を見てみました。一人ひとりが、例えば病気だったり、競技生活の集大成だったり、走れなかった仲間の思いだったり、何かしら想いを抱えて走る。そして、仲間、お世話になった家族、応援してくれる人、大会に関わるすべての人の、いろいろ想いが詰まっていて、それが形として見えるのが箱根駅伝の魅力だなって感じました。 箱根駅伝の魅力を再確認。出場されたみなさん、関係者のみなさん感動をありがとうございました! 10月からスタートした月陸Onlineさんの連載は、今回がひとまず最後となります! 初めて連載を持たせていただきましたが、「連載を見て駅伝を見るようになったよ」とか、「初めて箱根駅伝を見たよ」と言ってくれる方もいて、発信したことがそうやってつながっていったことがとてもうれしいですし、楽しかったです。ちゃんとうまく話せていたか不安ですが……。みなさん、読んでくださってありがとうございました! また次のシーズンもできたらうれしいです!! (※ご好評につき、連載継続の可能性も……!? みなさんの反響をお待ちしています!編集部より)佐藤 楓(さとう・かえで)/1998年3月23日生まれ。愛知県出身。161cm、A型。愛称はでんちゃん、でんじろう。サイリウムカラーは赤・赤。乃木坂46の3期生として2016年にデビュー。中学、高校とバドミントン部に所属。『帰り道は遠回りしたくなる』で初めて選抜入り。駅伝ファンとして知られ、駅伝関係の仕事も多数こなしている。10周年記念ベストアルバム『Time flies』が発売中。「乃木坂46の10年がぎゅっと詰まった素敵なアルバムです!シングルはデビュー曲から最新曲まで全部入っています。これを聴けば乃木坂46を知り尽くせると思います!」(From楓)。5月14、15日には「10th YEAR BIRTHDAY LIVE」を控える。最新情報は公式HPやブログ、インスタグラムをチェック! |
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2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
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