Mochizuki Jiro(Agence SHOT)
1月12日、米国・ニューヨーク州南部地区連邦検事と連邦捜査局(FBI)がロドチェンコフ反ドーピング法に基づく初めての刑事訴追が行われることを発表した。
運動療法士・自然療法士を自称するエリック・リラ氏が違反薬物をアスリートに摂取させた疑いで起訴されている。リラ氏は昨年の東京五輪で不正を行う目的で、中南米から入手した身体強化薬(PED)を米国へ持ち込み、それらを特定のアスリートに提供したものとみられている。
ロドチェンコフ反ドーピング法は2020年に制定された、ドーピング違反に刑事罰を科すことを可能にする法律。訴状によると、リラ氏は2名のアスリートに対してEPO(エリスロポエチン)を含む薬物を提供していたものとみられている。訴状のなかで「アスリート1」と表現されている人物とのメッセージでのやりとりの内容が女子短距離・走幅跳のB.オカグバレ(ナイジェリア)の状況と合致しており、彼女に対して薬物提供を行った可能性が高いことが現地で報じられている。
オカグバレは昨年の東京五輪女子100m予選のあと、ヒト成長ホルモン(HGH)の陽性反応を示して失格となり、10月にはAIU(アスリート・インテグリティー・ユニット、世界陸連の独立不正監査機関)からHGH、EPO(エリスロポエチン)の所持・使用と調査協力の拒否があったことが発表されていた。2008年北京五輪の走幅跳の銀メダリストで、13年モスクワ世界選手権では走幅跳で銀メダル、200mで銅メダルを獲得するなどの実績がある。
この違反により、最長で10年の禁固刑が科される可能性がある。リラ氏は、不当表示防止法違反の疑いでも起訴されており、こちらは最長5年の禁固刑が法により定められている。
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