◇第98回箱根駅伝・復路(神奈川・箱根町~東京・大手町/5区間109.6km)
主将で4区を走った飯田貴之(4年)は「圧倒的な力を示せた。いい駅伝ができました」と堂々を話した。原晋監督がかねてから「史上最強軍団」とうたっていたが、その評価が「口だけじゃなく、現実のものになった」(原監督)。
往路から安定したタスキリレーだった。1区・志貴勇斗(2年)が区間5位。「初舞台で緊張しましたが、楽しくレースができました」と、しっかり役割を果たした。2区に入ったエースの近藤幸太郎(3年)は「最低限の走りができてホッとしています」と区間7位ながら2位へと躍り出る。
3区に入ったルーキーの太田蒼生は強心臓ぶりを見せて区間2位でトップへ。この快走にも「東京国際大の丹所(健)さんについていっただけ。運も味方してくれました」と淡々と振り返る。4区の飯田も区間3位でつなぎ、5区に入ったこちらも1年生の若林宏樹が区間3位で往路優勝のフィニッシュ。「こんな貴重な体験をできてありがたいです」と初々しく話した。
順調に来ていたが、悔し涙を流したのは6区の高橋勇輝(4年)。57分台を期待されたが、59分03秒で区間8位。「本来であれば4年生として差を広げなければいけなかった。申し訳ない」と言葉を絞り出す。だが、「それを帳消しにするくらい復路の選手が走ってくれた」と高橋は続ける。
前回、主将の神林勇太をケガで欠いた影響が響いて4位。それからは「何があっても崩れないチームというのを目標にしていた」と飯田が言うように、決して崩れない総合力を積み上げてきた。
ケガから復活を遂げた岸本大紀(3年)が、「ケガもありましたが最終的にまとめることができた」と、青学大にとって今大会初の区間賞で勢いを加速させると、8区・佐藤一世(2年)も万全ではないなかで区間2位。圧巻だったのが9区・中村唯翔(3年)と10区・中倉啓敦(3年)の連続区間新。中村は篠藤淳(中央学大)の区間記録を14年ぶりに46秒も更新して見せた。
中倉は「中村が区間新できたので負けられないと思いました」と奮起。前回10区で4位と悔しいフィニッシュテープだったが、「今回は一番うれしいかたちでゴールができてよかったです」と話し、「たくさんの方の思いがつまっている」タスキをトップで大手町に持ち帰った。
原監督は「選手にあっぱれ、褒めてあげたい」と笑顔。「青学大には強くなるメソッドがあります。その通り自律すれば成長できる。自ら考え、行動し、課題に向き合っていける」と、教え子たちの快走に胸を張った。
4年生は飯田、高橋の2人だけ。エース・近藤、復活を遂げた岸本、そして今回区間新を叩き出した中村、中倉が3年生。過去最強軍団として大会新を叩き出した青学大に、4連覇を飾った時以上の黄金時代がやってくるかもしれない。ライバル校へ強烈な印象を与える圧倒的な完全優勝だった。

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