HOME 駅伝、箱根駅伝

2022.01.03

前回Vの駒大は先頭から3分28秒差の往路3位 大八木弘明監督「厳しいが、何が起きるかわからない」/箱根駅伝
前回Vの駒大は先頭から3分28秒差の往路3位 大八木弘明監督「厳しいが、何が起きるかわからない」/箱根駅伝

◇第98回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km

前回王者の駒大にとって、先頭から3分28秒差の往路3位は、やや物足りない成績だ。

1区は10000mで28分02秒52を持つスピードランナーの唐澤拓海(2年)が先頭から39秒差の区間2位と好走した。区間賞は逃したものの、「しっかり2番手で後ろを離して(タスキを)渡そう」と切り替え、ライバルの青学大には5秒差をつけた。

2区の田澤廉(3年)はエースとしての意地を見せ、1時間6分13秒と区間歴代4位の快走で先頭を奪取。駒大勢では1986年に大八木弘明監督が成し遂げて以来となる2区区間賞を手にし、「素直にうれしい」と頬を緩ませた。

この時点で2位に上がってきた青学大に1分02秒もの差をつけたが、3区と4区が誤算だった。

3区の安原太陽(2年)は区間16位と失速して4人に抜かれると、4区の花尾恭輔(2年)も区間9位で6位へ順位を落とした。ともに11月の全日本大学駅伝では区間上位で優勝に貢献していたため、指揮官としては予想外の展開だった。

「3区、4区はどちらも当日変更で入れ替えた選手。どちらに入れるか迷いましたが、上りにも強い花尾を4区に入れました。安原はスタミナ不足。花尾は最初が遅すぎましたね。あの走りは物足りません」

しかし、5区の金子伊吹(2年)が意地を見せた。「(5秒前でスタートした)帝京大が前回区間賞を取っている細谷(翔馬)選手なので、最初から突っ込んでいってどこまで食らいついていけるか」と、果敢に食らいつき、前を行く創価大、國學院大、東京国際大を次々と抜いていく。2年連続区間賞を獲得した帝京大の細谷や、先頭をひた走った青学大には離されたものの、1時間11分19秒で区間4位。最低限の往路3位をがっちりつかんだ。

「ひたすら強い気持ちを持って走りました。順位を上げることはできましたが、青学さんと離されてしまったので少し悔しい気持ちがあります」と金子。これが初の学生駅伝出走となる2年生だが、大学に入って上りの練習で才能を開花させ、「平地では無理だけど、山なら勝負できるかなと思いました」と5区出走を目指した。中学生の時に箱根5区を現地観戦し、当時青学大だった神野大地の走りを見て箱根駅伝に興味を持ったのだという。

金子の走りについて大八木弘明監督は「1時間12分くらいでは走れると思いましたが、11分台は想定していませんでした。よく走ってくれた」と手放しで喜んだ。

往路を終え、青学大との3分28秒差は「正直厳しい」と指揮官は本音を漏らすも、前回大会で自らが大逆転優勝を演じているだけに、「最後まで何が起きるかわからない」と希望を捨ててはいない。

連覇、そして2年連続の駅伝2冠へ。「逆転の駒澤」の真価を発揮するつもりだ。

◇第98回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km

前回王者の駒大にとって、先頭から3分28秒差の往路3位は、やや物足りない成績だ。

1区は10000mで28分02秒52を持つスピードランナーの唐澤拓海(2年)が先頭から39秒差の区間2位と好走した。区間賞は逃したものの、「しっかり2番手で後ろを離して(タスキを)渡そう」と切り替え、ライバルの青学大には5秒差をつけた。 2区の田澤廉(3年)はエースとしての意地を見せ、1時間6分13秒と区間歴代4位の快走で先頭を奪取。駒大勢では1986年に大八木弘明監督が成し遂げて以来となる2区区間賞を手にし、「素直にうれしい」と頬を緩ませた。 この時点で2位に上がってきた青学大に1分02秒もの差をつけたが、3区と4区が誤算だった。 3区の安原太陽(2年)は区間16位と失速して4人に抜かれると、4区の花尾恭輔(2年)も区間9位で6位へ順位を落とした。ともに11月の全日本大学駅伝では区間上位で優勝に貢献していたため、指揮官としては予想外の展開だった。 「3区、4区はどちらも当日変更で入れ替えた選手。どちらに入れるか迷いましたが、上りにも強い花尾を4区に入れました。安原はスタミナ不足。花尾は最初が遅すぎましたね。あの走りは物足りません」 しかし、5区の金子伊吹(2年)が意地を見せた。「(5秒前でスタートした)帝京大が前回区間賞を取っている細谷(翔馬)選手なので、最初から突っ込んでいってどこまで食らいついていけるか」と、果敢に食らいつき、前を行く創価大、國學院大、東京国際大を次々と抜いていく。2年連続区間賞を獲得した帝京大の細谷や、先頭をひた走った青学大には離されたものの、1時間11分19秒で区間4位。最低限の往路3位をがっちりつかんだ。 「ひたすら強い気持ちを持って走りました。順位を上げることはできましたが、青学さんと離されてしまったので少し悔しい気持ちがあります」と金子。これが初の学生駅伝出走となる2年生だが、大学に入って上りの練習で才能を開花させ、「平地では無理だけど、山なら勝負できるかなと思いました」と5区出走を目指した。中学生の時に箱根5区を現地観戦し、当時青学大だった神野大地の走りを見て箱根駅伝に興味を持ったのだという。 金子の走りについて大八木弘明監督は「1時間12分くらいでは走れると思いましたが、11分台は想定していませんでした。よく走ってくれた」と手放しで喜んだ。 往路を終え、青学大との3分28秒差は「正直厳しい」と指揮官は本音を漏らすも、前回大会で自らが大逆転優勝を演じているだけに、「最後まで何が起きるかわからない」と希望を捨ててはいない。 連覇、そして2年連続の駅伝2冠へ。「逆転の駒澤」の真価を発揮するつもりだ。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.11.22

とくしまマラソン大会ゲストに東京五輪代表の相澤晃「楽しく走らせていただけること楽しみ」設楽兄弟らも参加

とくしまマラソン実行委員会は11月21日、来年3月のとくしまマラソン2025の大会ゲストを発表した。 男子10000m前日本記録保持者で同東京五輪代表の相澤晃(旭化成)が参加。「この度、とくしまマラソンに初めて参加させて […]

NEWS 3000m障害・三浦龍司インタビュー「雰囲気をガラリと変えられるような選手になりたい」東京世界陸上のメダル争いに求められるものとは

2024.11.22

3000m障害・三浦龍司インタビュー「雰囲気をガラリと変えられるような選手になりたい」東京世界陸上のメダル争いに求められるものとは

男子3000m障害日本記録保持者で、今夏のパリ五輪8位入賞の三浦龍司(SUBARU)がインタビューに応じ、今シーズンを振り返った。 パリでは自己4番目となる8分11秒72をマークして8位入賞。前回の東京(7位)に続く2大 […]

NEWS 積水化学が連覇に再挑戦!日本郵政グループ、資生堂、第一生命グループが追う パリ五輪代表らの激突にも注目/クイーンズ駅伝見どころ

2024.11.22

積水化学が連覇に再挑戦!日本郵政グループ、資生堂、第一生命グループが追う パリ五輪代表らの激突にも注目/クイーンズ駅伝見どころ

第44回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝in宮城2024)は11月24日、宮城県松島町の文化観光交流館前をスタート、仙台市の弘進ゴムアスリートパーク仙台(仙台市陸上競技場)へフィニッシュする6区間42.195km […]

NEWS マキシマム クッショニングを搭載した新作ランニングシューズ「ナイキ ボメロ 18」が登場!

2024.11.22

マキシマム クッショニングを搭載した新作ランニングシューズ「ナイキ ボメロ 18」が登場!

ナイキは22日、全てのランナーに向け、マキシマム クッショニングとロードランニングの快適さに新しい基準をもたらす新作シューズ「ナイキ ボメロ 18」を発売することを発表した。 女性ランナーのニーズと詳細な意見を取り入れつ […]

NEWS WA加盟連盟賞に米国、インド、ポルトガルなどがノミネート 育成プログラム等を評価

2024.11.22

WA加盟連盟賞に米国、インド、ポルトガルなどがノミネート 育成プログラム等を評価

世界陸連(WA)は11月20日、ワールド・アスレティクス・アワード2024の「加盟国賞」の最終候補6カ国を発表した。この賞は年間を通して陸上競技の成長と知名度に貢献する功績をおさめた連盟を表彰するもので、各地域連盟から1 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top