2021.12.21
2021年は21個もの日本記録(タイ記録含む)が誕生した。東京五輪イヤーという特別な1年に樹立された日本記録を振り返っていく。
中距離で次々と扉が開く
近年、若手の台頭などもあり少しずつ活況を呈していた男子中距離だったが、2021年はついに歴史が動いた。口火を切ったのは荒井七海(Honda)。5月29日のポートランド・トラックフェスティバル(米国)1500mに出場した荒井が3分37秒05をマークし、2004年に小林史和が樹立した日本記録を更新した。
千葉・八千代松陰高出身で、東海大を卒業後にHondaへ。大学3年目で日本選手権優勝、昨年2月には室内で3分39秒51の室内日本記録を作った期待の中距離ランナーだった。
それに刺激を受けたかのように、7月17日のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会、男子1500mで河村一輝(トーエネック)が、荒井の記録を1秒63も上回る3分35秒42をマーク。『日本人初の3分36秒台』を一足飛びで3分35秒台に突入した。
河村は1周目を55秒台で通過し、2周目は1分54秒のハイペースについていく。来年のオレゴン世界選手権の参加標準記録(3分35秒00)にわずかに届かなかったが、確かに世界が近づいた瞬間だった。
河村は岐阜・大垣日大高時代からインターハイ1500m3位など活躍。明大進学後も中距離をメインとしながらも、ハーフマラソンで1時間4分04秒、箱根駅伝にも出走(4年時10区)している。
今季は4月に3分38秒83の自己新を出すと、日本選手権でも初優勝。秋には記録会で5000mに出場して13分32秒36をマークするなど、スピード・スタミナの両面で成長を見せ、さらに中距離ランナーとして磨きをかけていく。
さらに同日・同大会の男子800mで、源裕貴(環太平洋大)が1分45秒75の日本タイ記録。川元奨(スズキ)が2014年に出した日本記録に並んだ。
昨年までのベストが1分49秒64。だが、これまでのトレーニングの成果が現れた今季は自己ベストを連発した。9月の日本インカレではケガとプレッシャーもあり力を発揮できなかったが、今後は経験を積んでさらなる飛躍が期待される。卒業後はNTNへ。1500mにも参戦するプランもあるようだ。
このレースでは川元も1分45秒83のセカンドベストで走り、金子魅玖人(中大)も日本歴代3位の1分45秒85をマーク。オレゴン世界選手権の参加標準記録1分45秒20も見えてきた。
日本記録ではないが、忘れてはならないのが高校生・佐藤圭汰(洛南高・京都)の存在。4月に3分40秒36を出すと、日本選手権でも積極的なレースを展開して8位。河村が日本記録を出したレースでは3分37秒18をマークした。
佐藤清治(佐久長聖高3長野)が1999年に打ち立てた不滅と言われる高校記録3分38秒49を22年ぶりに更新。日本歴代3位という圧巻のタイムだった。佐藤圭汰は10月に5000mで13分31秒19の高校新、3000mでも7分50秒81の高校最高記録と、3種目で記録保持者に。シニアに大きな刺激を与えた一人だった。
日本記録が立て続けに誕生してもなお世界に届かないのが現状ではあるが、女子の田中希実(豊田自動織機TC)が世界で戦えることを示したように、この選手たちなら――そう思わせる存在感を放った2021年の中距離戦線だった。
◇男子800m日本歴代10傑
1.45.75 川元 奨(日大4) 2014. 5.11
1.45.75 源 裕貴(環太平洋大4) 2021. 7.17
1.45.85 金子魅玖人(中大2) 2021. 7.17
1.46.16 横田 真人(慶大4) 2009.10.18
1.46.18 小野 友誠(法大3) 1994. 6.26
1.46.22 近野 義人(ダイエー) 1994. 6.29
1.46.52 松本 啓典(自衛隊体育学校) 2010.10.11
1.46.59 クレイ・アーロン竜波(相洋高3神奈川) 2019. 6.28
1.46.68 田母神一喜(阿見AC) 2021. 6.27
1.46.71 口野 武史(富士通) 2009.10.18
◇男子1500m日本歴代10傑
3.35.42 河村 一輝(トーエネック) 2021 7.17
3.37.05 荒井 七海(Honda) 2021. 5.29
3.37.18 佐藤 圭汰(洛南高3京都) 2021. 7.17
3.37.42 小林 史和(NTN) 2004. 7.31
3.37.90 戸田 雅稀(サンベルクス) 2019. 7. 9
3.37.99 坂東 悠汰(富士通) 2021. 7.17
3.38.11 渡邊 和也(山陽特殊製鋼) 2008. 5.31
3.38.12 松枝 博輝(富士通) 2019. 6. 1
3.38.24 石井 隆士(日体大教) 1977. 9. 3
3.38.49 佐藤 清治(佐久長聖高3長野) 1999. 5.22
中距離で次々と扉が開く
近年、若手の台頭などもあり少しずつ活況を呈していた男子中距離だったが、2021年はついに歴史が動いた。口火を切ったのは荒井七海(Honda)。5月29日のポートランド・トラックフェスティバル(米国)1500mに出場した荒井が3分37秒05をマークし、2004年に小林史和が樹立した日本記録を更新した。 千葉・八千代松陰高出身で、東海大を卒業後にHondaへ。大学3年目で日本選手権優勝、昨年2月には室内で3分39秒51の室内日本記録を作った期待の中距離ランナーだった。 それに刺激を受けたかのように、7月17日のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会、男子1500mで河村一輝(トーエネック)が、荒井の記録を1秒63も上回る3分35秒42をマーク。『日本人初の3分36秒台』を一足飛びで3分35秒台に突入した。 河村は1周目を55秒台で通過し、2周目は1分54秒のハイペースについていく。来年のオレゴン世界選手権の参加標準記録(3分35秒00)にわずかに届かなかったが、確かに世界が近づいた瞬間だった。 河村は岐阜・大垣日大高時代からインターハイ1500m3位など活躍。明大進学後も中距離をメインとしながらも、ハーフマラソンで1時間4分04秒、箱根駅伝にも出走(4年時10区)している。 今季は4月に3分38秒83の自己新を出すと、日本選手権でも初優勝。秋には記録会で5000mに出場して13分32秒36をマークするなど、スピード・スタミナの両面で成長を見せ、さらに中距離ランナーとして磨きをかけていく。 さらに同日・同大会の男子800mで、源裕貴(環太平洋大)が1分45秒75の日本タイ記録。川元奨(スズキ)が2014年に出した日本記録に並んだ。 昨年までのベストが1分49秒64。だが、これまでのトレーニングの成果が現れた今季は自己ベストを連発した。9月の日本インカレではケガとプレッシャーもあり力を発揮できなかったが、今後は経験を積んでさらなる飛躍が期待される。卒業後はNTNへ。1500mにも参戦するプランもあるようだ。 このレースでは川元も1分45秒83のセカンドベストで走り、金子魅玖人(中大)も日本歴代3位の1分45秒85をマーク。オレゴン世界選手権の参加標準記録1分45秒20も見えてきた。 日本記録ではないが、忘れてはならないのが高校生・佐藤圭汰(洛南高・京都)の存在。4月に3分40秒36を出すと、日本選手権でも積極的なレースを展開して8位。河村が日本記録を出したレースでは3分37秒18をマークした。 佐藤清治(佐久長聖高3長野)が1999年に打ち立てた不滅と言われる高校記録3分38秒49を22年ぶりに更新。日本歴代3位という圧巻のタイムだった。佐藤圭汰は10月に5000mで13分31秒19の高校新、3000mでも7分50秒81の高校最高記録と、3種目で記録保持者に。シニアに大きな刺激を与えた一人だった。 日本記録が立て続けに誕生してもなお世界に届かないのが現状ではあるが、女子の田中希実(豊田自動織機TC)が世界で戦えることを示したように、この選手たちなら――そう思わせる存在感を放った2021年の中距離戦線だった。 ◇男子800m日本歴代10傑 1.45.75 川元 奨(日大4) 2014. 5.11 1.45.75 源 裕貴(環太平洋大4) 2021. 7.17 1.45.85 金子魅玖人(中大2) 2021. 7.17 1.46.16 横田 真人(慶大4) 2009.10.18 1.46.18 小野 友誠(法大3) 1994. 6.26 1.46.22 近野 義人(ダイエー) 1994. 6.29 1.46.52 松本 啓典(自衛隊体育学校) 2010.10.11 1.46.59 クレイ・アーロン竜波(相洋高3神奈川) 2019. 6.28 1.46.68 田母神一喜(阿見AC) 2021. 6.27 1.46.71 口野 武史(富士通) 2009.10.18 ◇男子1500m日本歴代10傑 3.35.42 河村 一輝(トーエネック) 2021 7.17 3.37.05 荒井 七海(Honda) 2021. 5.29 3.37.18 佐藤 圭汰(洛南高3京都) 2021. 7.17 3.37.42 小林 史和(NTN) 2004. 7.31 3.37.90 戸田 雅稀(サンベルクス) 2019. 7. 9 3.37.99 坂東 悠汰(富士通) 2021. 7.17 3.38.11 渡邊 和也(山陽特殊製鋼) 2008. 5.31 3.38.12 松枝 博輝(富士通) 2019. 6. 1 3.38.24 石井 隆士(日体大教) 1977. 9. 3 3.38.49 佐藤 清治(佐久長聖高3長野) 1999. 5.22
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